第23話 「文化祭実行委員、なぜか黒瀬アキラを指名する」
私立青春高校に、文化祭の季節が近づいていた。
アキラは文化祭を警戒していた。
(文化祭。それは学園イベントの王道。メイド喫茶、演劇、後夜祭、告白。危険要素の詰め合わせパックだ)
そんなある日、クラスで文化祭実行委員を決めることになった。
誰も手を挙げない。
沈黙が続く。
アキラは下を向いていた。
だが、クラスの女子が言う。
「黒瀬くん、生徒会室によく行ってるし、向いてるんじゃない?」
別の女子も言う。
「そうそう、頼れそう」
アキラは顔を上げる。
(頼れそう? 僕が? それは人違いでは?)
トオルが隣で小声で言う。
「いけ、野良サポート」
「野良サポートに公式任務を与えるな」
結局、アキラは文化祭実行委員に選ばれてしまう。
放課後、実行委員の初会議に行くと、そこにはミレイがいた。
生徒会長として全体統括を担当するらしい。
「黒瀬くんも実行委員なのね」
ミレイは嬉しそうに笑う。
アキラは思う。
(なるほど。これは逃げ道のない大型イベントだ)
会議では、各クラスの企画案が出される。
お化け屋敷。
カフェ。
縁日。
演劇。
謎解き迷路。
アキラは謎解き迷路に過剰反応する。
「謎解き迷路……つまり校内ダンジョン生成イベント」
ミレイが真剣にメモする。
「校内ダンジョン……楽しそうね」
リコが止める。
「会長、文化祭パンフにその名称は載せません」
会議後、ミレイがアキラに言う。
「黒瀬くんがいてくれると、心強いわ」
アキラはまた固まる。
(心強い。尊いに続く高火力ワード)
「僕でよければ、支援職として頑張ります」
ミレイは微笑む。
「頼りにしているわ」
アキラは心の中で膝をつく。
(連続攻撃……!)
◆オチ
帰宅後、トオルに言う。
「文化祭イベントに強制参加になった」
トオルは笑う。
「青春じゃん」
アキラは青ざめる。
「青春高校で青春イベントが始まる……タイトル詐欺じゃなかったのか」




