第16話:「黒瀬くんから返信が来ません」
ミレイはスマホを見つめていた。
黒瀬くんにメッセージを送った。
返信は来た。
けれど、返信まで三十分かかった。
(もしかして、迷惑だったのかしら)
リコに相談する。
「黒瀬くんから返信が来るまで三十分かかったの」
リコは冷静に言う。
「普通です」
「でも、文章が短かったわ」
「普通です」
「私、変なことを送ったかしら」
リコはメッセージ画面を見る。
こちらこそ。黒瀬くんと連絡が取れるようになって安心しました。
リコはしばらく沈黙する。
「会長、これ結構攻めてますね」
「攻めていないわ。安心しただけよ」
「だから、その安心が強いんです」
ミレイは自分の言葉を見返して顔が熱くなる。
(確かに、少し近すぎたかしら)
その日、アキラが生徒会室に来る。
ミレイは妙に意識してしまう。
「黒瀬くん、昨日のメッセージだけれど」
アキラもびくっとする。
「はい。僕の返信速度が遅かった件でしょうか」
「いえ、そうではなくて」
「すみません。初回返信の文面を考えすぎました」
ミレイは驚く。
「考えてくれていたの?」
「はい。失礼がないように」
その言葉に、ミレイは胸が温かくなる。
黒瀬くんは、変わっている。
でも、とても丁寧だ。
「ありがとう。嬉しいわ」
アキラは明らかに動揺する。
「嬉しい……これは返信成功判定ですか」
「成功判定?」
「いえ、何でもありません」
リコが横から言う。
「二人とも、メッセージ一通で一話使えますね」
◆オチ
その夜、ミレイは勇気を出して送る。
明日も生徒会室に来てくれる?
アキラから即返信。
もちろんです。
ミレイはスマホを胸に抱く。
リコにそれを見られ、
「会長、スマホを抱きしめるのは末期です」
と言われる。




