第125話 「海に来たら女子のテンションが高すぎる」
海当日。
駅に集合した時点で、アキラはすでに帰りたくなっていた。
メンバーはトオル、アキラ、男子二人。
女子はユナを含めて四人。
ほぼ同数。
だが、テンションの差がすごかった。
女子たちは朝から元気だった。
「海だー!」
「天気よくてよかったね!」
「黒瀬くん、ちゃんと来た!」
「ほんとに来た!」
アキラは首を傾げる。
「僕は珍獣扱いですか」
ユナが笑う。
「だって黒瀬くん、海とか来なさそうだもん」
「正しい評価です」
トオルが小声で言う。
「頼む、今日は俺たち男子の生命線だからな」
「生命線にされても困る」
「女子だけで盛り上がると俺ら置いていかれるんだよ」
「僕も置いていかれる側だと思う」
電車で海へ向かう。
アキラは窓の外を見ながら、少しだけミレイのことを考えていた。
今頃、何をしているだろう。
メッセージを送るべきか迷ったが、海に着いてからにしようと思った。
そして海に到着。
青い空。
白い砂浜。
眩しい海。
アキラは目を細めた。
(日光の暴力。海フィールド、視覚攻撃が強い)
女子たちはすぐに更衣室へ向かう。
男子も着替える。
アキラは黒いシンプルな水着にラッシュガードを羽織った。
日焼け止めも塗った。
準備はできた。
しかし、心の準備はできていない。
砂浜に戻ると、女子たちがすでに集まっていた。
ユナは明るい色の水着にパーカーを羽織っていて、元気に手を振る。
「黒瀬くん、似合うじゃん!」
アキラは固まる。
「水着に似合うという概念があるんですか」
「あるよ!」
他の女子たちも笑う。
「黒瀬くん、意外とちゃんとしてる」
「ラッシュガード似合うね」
「なんか爽やか」
アキラは処理落ちする。
(女子からの装備評価が連続発生。これは海イベント特有のバフかデバフか判断不能)
トオルは横でにやにやしている。
「よかったな、黒瀬」
「助けを求めていいか」
「俺も今、女子のテンションに押されてる」
砂浜では、ビーチボールをする流れになった。
アキラは全力で後衛に回る。
「僕は支援職なので」
ユナがボールを持って言う。
「じゃあ黒瀬くん、支援よろしく!」
「海でも支援職扱いが通った……」
しかし、ボールは容赦なくアキラの方へ飛んできた。
アキラは慌てて受けようとする。
結果、ボールは顔に当たった。
女子たちが笑い、トオルが腹を抱える。
(海イベント、物理攻撃もある)
その時だった。
砂浜の少し離れたところに、見覚えのある姿が見えた。
リコ。
そして、その隣に。
アキラは完全に停止した。
ミレイがいた。
◆オチ
トオルがアキラの視線を追った。
「……おい、あれ会長じゃね?」
アキラは小さく答えた。
「海フィールドに最高難度ヒロインが出現しました」
ユナが楽しそうに言った。
「あ、面白くなってきた」




