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生徒会長はオタク男子を攻略できない  作者: naomikoryo


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121/150

第121話 「夏休み終盤、海イベントの招待状が来る」

夏休みも残り一週間。


アキラはようやく本来の夏休みらしい生活を取り戻しつつあった。


朝は少し遅めに起きる。

涼しい部屋で課題を進める。

録画したアニメを消化する。

推しイベントの通販情報を確認する。

そして、夜にはミレイと少しだけメッセージをする。


花火大会以来、アキラの中で何かが変わっていた。


ミレイに会えない日でも、メッセージが来ると嬉しい。

返信を考える時間も、前ほど怖くない。

いや、怖い時もある。

ただ、その怖さも少し楽しくなっていた。


(これはもう、判定保留では無理があるのでは)


そう思いかけた時、スマホが鳴った。


トオルからだった。


夏休み最後にクラスの何人かで海行かね?


アキラは画面を見て固まった。


海。


夏。


クラス。


女子もいる可能性。


つまり、危険イベントである。


(海イベント……。学園ラブコメにおける最高危険度イベントのひとつ。水着、日焼け、砂浜、距離感の崩壊。これは回避推奨では?)


すぐに返信する。


遠慮する。僕は海洋フィールド適性が低い。


即返信。


頼む。男子が少ないんだ。俺たちを助けると思って来てくれ。


アキラは眉をひそめる。


男子が少ない。


それはどういう状況なのか。


さらにメッセージが来る。


ユナたち女子からも「アキラ君誘って」って言われてる。


アキラはスマホを置いた。


(なぜ僕が指名されている。クラス内イベントで妙なフラグが立っている)


トオルから追撃。


マジで来てくれ。俺ひとりだと女子のテンションに飲まれる。男子の壁になってくれ。


男子の壁。


意味はよくわからないが、トオルが本気で困っているのは伝わってきた。


アキラはしばらく悩む。


海は苦手だ。

人混みも苦手だ。

そもそも水着という単語だけで、脳内がエラーを起こす。


しかし、トオルにはいつも助けられている。

名前呼びの時も、モテ期バグの時も、何だかんだで横にいてくれた。


(友人救援クエストか……)


アキラは返信した。


わかった。行く。だが海では僕を戦力として数えないでくれ。


トオルから即返信。


助かる! お前がいるだけで面白いから戦力。


(戦力評価が不本意すぎる)


その後、アキラは何気なくミレイにメッセージを送った。


ミレイ先輩、今度クラスの数人で海に行くことになりました。トオルに救援要請されました。


送ってから、アキラは少しだけ不安になった。


わざわざ伝える必要があったのか。


いや、花火大会以降、何かあるとミレイに話したくなる。


それは自然なことになっていた。


しばらくして、返信が来た。


そうなのね。気をつけて行ってきてね。


文章は普通だった。


でも、いつもの絵文字のような柔らかさが少しだけ足りない気がした。


アキラは首を傾げる。


(気のせいか?)



◆オチ


夜、姉のマドカに海へ行くことを話すと、彼女はにやりと笑った。


「女子もいる海イベント? 会長には言った?」


「言いました」


「勇者だね」


「え?」


「いや、何でもない。たぶん次のイベント、荒れるよ」


アキラは青ざめた。


「姉さん、未来視スキル持ってるの?」

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