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生徒会長はオタク男子を攻略できない  作者: naomikoryo


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113/150

第113話 「花火大会前日、服装選択で詰む」

花火大会前日。


アキラは重大な問題に直面していた。


何を着ていけばいいのか。


学校なら制服という万能装備がある。


だが花火大会は私服だ。


私服。


それはアキラにとって、最も自由度が高く、最も事故率の高い装備選択画面だった。


(服装選択。ここで間違えると第一印象にデバフがかかる。いや、ミレイ先輩とはもう知り合いだが、それでも花火大会用装備として適切である必要がある)


アキラはクローゼットを開ける。


黒いTシャツ。

推し作品のロゴTシャツ。

推しキャラのシルエットTシャツ。

なぜか似たような黒いパーカー。

イベントで買った限定Tシャツ。


姉のマドカが部屋を覗く。


「うわ、黒い」


「闇属性ではない。着回し効率重視だ」


「花火大会に推しTで行く気?」


「候補には入っている」


「外しなさい」


アキラはショックを受ける。


「推しを外すとは」


「推しは心に着ていきな」


「名言っぽいが意味が重い」


結局、マドカが服装を選んでくれることになった。


白いシャツ。

濃いめのパンツ。

薄手の羽織り。


普通。


だが、普通に見えることがアキラには難しい。


鏡の前に立つと、マドカが満足そうに頷いた。


「よし。清潔感ある」


「清潔感はステータスなのか?」


「かなり重要」


「今まで僕は初期値が低かった可能性がある」


「ようやく気づいた?」


アキラは鏡を見る。


悪くない。


たぶん。


しかし問題は服装だけではなかった。


待ち合わせ。

会話。

屋台。

花火。

帰り道。


イベントが多すぎる。


アキラはノートに書き出した。


花火大会チェックリスト


一、待ち合わせに遅れない。

二、ミレイ先輩を見て固まりすぎない。

三、屋台で挙動不審にならない。

四、人混みではぐれない。

五、花火を見る。

六、ちゃんと楽しかったと言う。


六番目で手が止まる。


ちゃんと楽しかったと言う。


これは大事だと思った。


ミレイに、誘ってよかったと思ってほしい。


アキラはスマホを開く。


ミレイからメッセージが来ていた。


明日、楽しみにしているわ。


アキラはしばらく画面を見つめた。


返信する。


僕も楽しみです。かなり。


送ってから、少し照れる。


しかし消せない。


本音だった。



◆オチ


マドカが服を見ながら言う。


「明日、会長が浴衣だったら?」


アキラは完全に停止した。


「浴衣……?」


その可能性を考えていなかった。


マドカは笑った。


「はい、追加ボス出現」


アキラは椅子に座り込んだ。


「夏イベント、難易度調整が雑すぎる」

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