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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
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第97話 まさかのお姉ちゃん登場!?


「ねえ、ねえ! アレ買っていこうよ! 食べようよ!!」


「ったく、しょうがねえなぁ。ちょっとだけにしとけよ。」



 俺とキョウナがタニシの謎の挙動を訝しんでいる間に、センベイ君が売られている”新型のお菓子”とやらを購入しようと身を乗り出そうとしていた。イツキがちょっと渋るような態度を取ったのも理由がある。


 この後、夕食で特別な店に案内すると言っていたのだ。そのために腹のスペースは空けておけよ、と言いたかったのだろう。でも、たかがお菓子なんだし大丈夫なんじゃないだろうか? 俺もどんな物か見たいので、一緒に屋台の前に近付いていった。



「こ、これ、2個下さい!」



 近くに来て見ても、何で出来た食べ物かサッパリわからない。何種類かある色のそれらを大きめのスプーンで容器から掬って、茶色のとんがり帽子を逆さにした感じの容器に、半球状になったお菓子本体を盛り付けて客に渡している。


 一個だけではなく二個三個と重ねて乗せる事もあるようだ。不思議とある程度の固さはあるようで、半球状の形を保ったままで容器に乗っかっている。固さ質感的には味噌の様な感じはある。味はもちろん甘いんだろうけど。



「あっ! 私と同じコボルトだね、珍しい! じゃあ、ちょっとサービスしてあげようかな?」


「やったあ! ありがとう! 冷たい、冷たい! でもウマい!」



 自分と同族のコボルトだったためか、店員の女の子はセンベイにサービスをしていた。二個乗せる値段で一個追加で乗せてもらっている。もらって礼を言ったら速攻でセンベイは食べ始めている。何か冷たいって言っているのが意外だった。


 確かにアレが入っている大きい容器には明らかに霜が付いているし、凍らせて保存しているお菓子のようだ。果物の絞り汁を凍らせたもので出来ているのかもしれない。看板の果物から推測するとそんな感じだ。しかし……あの真っ白な物はなんだ? アレは何の果物を使っているのだろう?



「お兄さん、ご注文は?」


「え? ああ、その前にその白いヤツって何で出来てんの?」


「これはミルクですよ! 牛さんのお乳。それにお砂糖を入れて凍らせるとこういう感じになるの。これが”アイスクリン”。私達コボルトは白いのを食べれないけど、それに対応する為にジュースを凍らせた物も用意してるの。」


「そうなんだ? じゃあ、一個もらおうかな、白いヤツを?」



 なるほど牛乳を使っていたのか。他が果物由来だからてっきり同じかと思っていた。果物の味の物を用意しているのは色んな種族や味の好みに対応する為だったとはな。”新型のお菓子”を謳っているだけのことはある。しっかりとそういう所も考えられているようだ。商売がうまいな。この子、ただ者ではないのかもしれない。



「あら? お兄さん、もしかして……?」


「へ? な、何か?」



 俺も注文した”アイスクリン”を受け取った後、店員の子が何かに気付いたようだった。もしかして……バレた? 俺らが脱獄・逃亡犯だという事に? 俺は身バレを防ぐために額冠を外した状態ではあるのだが、下手をしたら教団からの情報が流れてきているのかも知れない! 顔自体は魔法による写し絵で紙に印刷されて出回っている可能性はあるので、バレてしまっている可能性が……?



「もしかして、うちの弟の友達なんじゃない?」


「へ? 何のことかな……?」


「タニシの友達でしょ? ゆ……じゃなくて、ロアさんでしょ?」


「もしかして、アイツのお姉さん?」



 犯罪者としてバレたとかじゃなく、勘違いとかでもなく、タニシと言う名前が出てきたので間違いない! 確かに”弟”と言ったし、タニシ本人も姉がいることを話していたし、アイツの姉で間違いないだろう! たしか名前は……シジミちゃんだったはずだ。まさか、タニシの身内とこんな所で会うなんて思ってなかった!



「そう! 私の名前はシジミ! シジミ・オガワです!」


「ホントにお姉さんだったとは! どおりで似てるわけだ。」


「弟がお世話になってます! 色々、迷惑をかけてると思うけど……。」


「あー、いやいや、俺にとってはほぼ唯一ってくらいの遊び友達みたいなもんだから……。」



 友達の身内と会ったときに行われる定番とも言えるやり取りが交わされる結果となった。俺としてはあんまりこういう機会に恵まれなかった物だから、感慨深い物があった。しかし、定番とはいえ、”迷惑をかけて”っていうのは本当にリアルでそう思ってそうな雰囲気がある。


 ゲンコツのオッチャンとこの前再会したときもそんな感じだった。タニシが軽く小言を言われるやり取りも込みで。なんか聞いたところによると、このお姉さんって結構怖い性格らしいしなぁ……。



「そういえば、あの子はどこへ?」


「え? あはは? な、なんて言うか、急に用事を思い出したとか何とかでどっかに行っちゃったよ?」


「あら? そうだったのね?」



 俺は見逃さなかった。その時、彼女の目が獲物を狙う狼の様な眼光が灯ったのを! さっきからまん丸とした可愛らしいお目々だったのが、一瞬だけ恐ろしい殺気を放ったのが信じられなかった。しかし、これでタニシが失踪した理由が判明した。恐れているのだ、この姉のことを! 顔を合わせたくないからそそくさと逃げていったのだ!

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