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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第1章 勇者マストダイ!! 【勇者なのに……〇〇されました。】
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第92話 なんとか逃げることに成功しました……。


「これでなんとか逃げ切る事は出来たかな。」


「やっとゆっくり出来るでヤンしゅ~!!」



 今は収容所から遠く離れた山の中。その夜にたき火を囲んで野営の準備をしている。俺達はフラワー・ロードを渡った後、途中で何度も転移魔法を繰り返したりして聖都からある程度離れた地域まで逃れる事に成功した。


 位置的に山を一つくらい越えてるらしいので、追い付かれたりする心配もないという話だった。ちゃんとクロガネ団は逃走ルートまで計画して、あんな救出作戦を成功させてみせたのだ。イツキの手腕は大した物だと言わざるを得ない。



「大したもんだ。アイツらが追いつけないくらいまで逃げ切らせてみせるなんてな。」


「成功したとか思ってんだろ? これはどちらかと言えば結果オーライってのが良いとこだぜ。色んな部分でしくじってるしな。俺自身も含めて、誰もが何かしらやらかしてる。その上で全員生還できたのは奇跡だな。」


「そんなにミスしてたっけ? とてもそんな風には……?」


「あの場に処刑隊がいやがった事が最大の誤算だった。隊長のブレンダンが問題を起こした時点で、隊そのものが更迭されたとおもっていたからな。」



 タニシ達が旅芸人に化けて潜入してきた時にスミスの”鼻”でバレてしまった。アレさえなければ、なんとか予定通りの流れになっていたのだという。どの辺でバレていたのかはわからないが、何か待ち伏せというか逆に罠に嵌められていた感が強かった様にも感じた。


 その辺はシャルルが対処したからかもしれない。あの男は随分と頭が良く回る人間だ。オードリーにすら指示を出していたようにも見えるし、あの現場の総責任者はあの男だったのだろう。



「奴らがうまく立ち回っていたのはシャルルの働きが大きいのだろうな。審問会の連中だけではああはならない。その隙を突くはずだったが、アイツは想像以上にキレる男なのは間違いなさそうだ。」


「お前がそう言うんならよっぽどなんだろうな。アイツの頭のキレ具合は最高水準って考えといた方が良さそうだな……。」


「あの男が教団の裏側で暗躍しているという噂は前から聞いていたが、あそこまでズブズブの関係とは思わなかったぜ。お前を陥れるだけにしては内側にあまりにも入り込みすぎている様にも感じるな。今後はあの男の事ももっと探った方がいいかもしれん。」



 カレルやエルのお母さんの話からすると、シャルルはあの事件の後から様子がおかしくなったのは事実だし、カレルを弟子として教育しながら影で暗躍していた様なのだ。


 カレルがシャルルの後を継ぎ勇者となってしばらくしてから師とは疎遠となり、ますます、師の考えが、目的がわからなくなっていたとも聞いた。しかもシャルルはあの秘密会議の一員だという噂もある。あのフェルディナンドと席を同じくしていた存在だったのだとも……。



「それよりも最大の功労者はコイツだろう。コイツがいなければオードリーは倒しきれなかっただろうしな。」


「ああ、そうだな。」



 俺とイツキはその功労者の寝顔を見る。そう眠っている。フォー・ナインと呼ばれている男はずっと眠っているのだ。あのあまりにも強力な一撃でオードリーを吹き飛ばし、俺らと共にフラワーロードを渡りきったアイツは途端に力尽き卒倒したのだ。まさか、命を失ったのかと肝を冷やしたが、寝ているだけだった。あの一撃のために体力を使い尽くしたのだろう。



「何者かもわかっていないってのに、あんなおっかない攻撃をするもんだからな。切り札も良いとこだ。ジョーカーのカードが最後に役に立ってくれた。」


「アレは強力すぎるぜ。一歩間違えば世界を滅ぼしかねない力だから多用させない方がいいだろうな。本人の負担だって大きいみたいだし……。」


「考えすぎなんじゃないか? 俺達クロガネ団にとっては良い切り札になりそうだ。」



 ”あの一撃”をどう見るかは意見が分かれそうだ。イツキやタンブルは好意的に見ているようだが、俺やヘイフゥは危険な力だと警戒している。そして、キョウナって娘もあの異様な光、破裂音に恐怖を抱いたようでフォー・ナインを見る度、震えだしていた程だった。本能的に”あの一撃”に対して危機感を抱いているようだ。



「どの道、正体がわかればアレがどういう物かわかるはずだ。これから専門家の意見を聞きに行くから大抵のことはわかるだろう。」


「そういえば、この後は何処へ行こうとしてるんだ? 専門家ってなにか研究してる施設にでも行くのか?」


「まあ、そういうことだ。これから自由交易都市ヴェスパに行くんだ。そこに例の工房(ファクトリー)の本拠地がある。」


工房(ファクトリー)って、審問会と裏で繋がってる組織じゃないか! 大丈夫か、そんなところへ行って?」



 工房(ファクトリー)って、やたらとオードリーやブレンダンの話に出てきた組織名だった。あのゴツい鉤爪の義手やタルカスに新型のゴーレムボディを開発し提供していた連中だ。そんな所へ行ったら通報されてあっさり捕まるのでは、と普通は考えるだろう。それでも行こうとしているのは何か策でもあるんだろうか?



「大丈夫だ。大丈夫も何も、奴ら工房(ファクトリー)の連中は仕事では提携しても、精神までは肩入れした連中には染まらないのをモットーとしているプロ集団なんだ。あくまで自分たちの技術や研究にのみ心魂を傾けているんだ。心配することはない。」


「何だそりゃ? 信じがたい話だな……。」


「それに、連中の前身となる組織がどこか知っているか? なんと、あの錬金術師協会だぜ? 教団や魔術師教会に言いがかりを付けられ壊滅させられた組織の。アイツらに宗教はない。過去の恨みもあるし、何にしても技術一辺倒なんだよ。そこだけは頑固に貫き通している連中なんだぜ?」



 聞いたことがある……! かつてこの世に存在していた第三の魔法関連の組織! 神官、魔術師、そして錬金術師。大別すれば三種類の魔法使いがこの世に存在していたのだ。神の奇跡、精霊の力都は異なる、物質の法則を使った魔法の技術があるのだと。彼らがまだこの世に存在していたとは思わなかったな……。

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