表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第1章 勇者マストダイ!! 【勇者なのに……〇〇されました。】
87/101

第87話 彼は犠牲になったのだ……。


(バシュゥゥゥゥン!!!!)


「あっ!? アニキが出てきたでヤンス!!」


「ロア! 無事だったか?」



 外の世界に出てきてみると、みんなが一ヶ所に集まっていた。出てきた場所はどうやら公演を行っていた広場であるらしい。みんな安心したようすで俺を見ているが、俺はそんな気分ではなかった。やっぱりブレンダンを置いてきた事が気にかかっているからだ。



「……俺は脱出できたけど、ブレンダンが犠牲になってしまった……。」


「やはり、彼が殿を務めた結果なのだな……。」


「アイツがオードリーを? そんな力が残っていたのか?」


「わからない。俺との戦いの後は魔法で回復してもらっていたから、多少は動けたかもしれないが……、」


「彼に何があった?」


「アイツは棘に穴だらけにされていた。それでも、オードリーを釘付けにするために羽交い締めにしているのを止めなかった……。俺には脱出しろと……、」



 周囲に沈黙が立ち込める……。ブレンダンが犠牲になって、自分達が助かったという事実に、手放しで喜ぶわけにもいかなかったのだろう。敵側の人間ではあったが、犠牲を産み出してしまったことにそれぞれみんな、何か思うところがあるのだろう。



「気に病む事はない。私が引き留めなかったのが悪かったのだ。責めるのならば、私を責めればいい。」


「そんなことできるわけない……。俺も助けられなかった。結果的にアイツはもう……戻ってこれない。」



 最後の瞬間、アイツは無数の棘に刺され猛毒に侵されもしていた。あの時点で助けても、助からなかったかもしれない。もっと前に、オードリーを羽交い締めにする前に切り捨てていれば、展開は違ったかもしれない。もっと早く判断していれば助かったかもしれないのだ。



「アイツは……いいヤツだった。敵だったけど、戦っていて楽しかった。割りと本気で戦っても壊れない人間なんてそうそういないし。ずっと喧嘩友達の関係でいたかったかな。」



 タンブルはしみじみと語った。タンブル自身だけではなく、クロガネ団からすれば宿敵の様な存在だったはずだ。追うものと追われるものという関係性だったのに。それでも、不思議と悪くない相手だと認識していたのだろう。好敵手の損失はある意味、生き甲斐を一つ失うようなものだと、俺は思っている。珍しくタンブルの顔が曇っているのがそれを物語っている様な気がした。



「私は……彼と戦った経験はないが、いつかは手合わせしたいと思っていた。彼ほどの武人は梁山泊では中々お目にかかれなかったからだ。しかし、仕方がない。本人が望んだ戦場での死……それは尊重してやらねばなるまい。」



 ヘイフゥも彼の死を悔やんでいる。ほとんど接点のない二人だったが、戟覇のフェイロンとも互角に渡り合える様を見たと聞いたので、何か思うところがあったのだろう。


 ヘイフゥの仮面の下の素顔も知っている身としては、ここまで武術家としての側面を見せさせられると、本当に同一人物なのだろうかと、混乱してしまう。もしや、あの仮面自体が持っている人格なのではと思う。それぐらい当人と性格が解離している様に思えるのは気のせいだろうか?



「なあ、みんな。アイツの死を悔やんでいる時間はないんじゃないか? ここから逃げることを優先しないと、それこそアイツの死が無駄になってしまうぜ?」


「そう……だな。はやいとこ、こんなところからずらかろうぜ!」



 みんながブレンダンの死に気を落としていると、イツキが優先すべきことを冷静に呼び掛けた。そこでみんなはハッとなり、逃げるための方法を模索し始めた。ここは収容所の中庭に当たる場所だ外に出るには中を通らないと行けない。……あ、でも転移の魔法である程度ショートカットすれば多少はなんとかなるかな……?



「しぶとい方々ですね? それともオードリーが役立たずなだけなんですかね? それはそうと、あなた方を逃がすつもりはないので覚悟していただきたい!」


「しゃ、シャルル!!」


「ああっ!? もう囲まれてるよ!?」



 聞いたことのある声がしたと思ったら……シャルルが建物の中から現れた。そして建物の中から衛兵がぞろぞろとやって来る。もう既に囲まれてしまっていたのだ! 最初から万が一を考えて配備していたのだろう。オードリーが失敗する可能性も考えていたわけだ。



「やっぱりそうなるよね。イツキ、アレを使うよ。」


「おうよ。わかってるって。脱出の策自体は用意していたしな。キョウナ、アレを出してやってくれ!」



 クロガネ団は脱出の策も用意していたみたいだ。それもそうか。この場所を襲撃して破壊するのが目的だったのだから。最初から脱出込みで計画されていたのだ。キョウナと呼ばれた竹箒を持った子が何やら転送門を出現させている。アレは収容所の外に繋がっているんだろうか?



「みんな、あの中に入れ! 今すぐに!」


「転移魔術か! 逃がしはしませんよ! 皆さん、彼らの妨害をしてやってください!」



 俺らは急いで転送門の近くに集まった。俺は衛兵の接近を阻止するためにみんなを守るように立ちはだかった。俺だけじゃなくて他にも同じ真似をしようとする影が……。ヘイフゥにタンブル、そして何故か、フォー・ナインまで混じっていた。なんだか、見る度に目付きに輝きが増してきている様な気がする……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ