第83話 過去の失態が今に繋がりました!
「何がおかしいか言ってやろうか? 多分、俺にはこの毒は効かない。」
「そんな不可思議な事がありえるはず……、」
何しろ、この毒は……前に一回食らったことがあるからねぇ! 耐性がついてしまってたっぽい。額冠のおかげもあって更に耐性が付いているのだ。一度、食らった毒は二度も通用しない! ……って、ブレンダンの決め台詞みたいだな。
「あり得るんだよ! 俺はアンタの部下から狙撃された事がある。その時使われた矢には同じ毒が使われていた。その時は額冠を外していたから、危うく死にかけたけどな。」
「耐性などと……強力無比な毒でそのような事が起こるはずが……、」
「俺自身の耐性と額冠の加護があったから無効化できた。要は前に毒で仕留め損ねた事が今に繋がってるんだよなぁ。あの隊長代理、クビにするか処刑するなりした方がいいんじゃないの? アイツ今ごろ処刑場で縛られたままになってるから、そのまま処す事もできるんじゃない?」
あの時、狙撃した犯人は再びやらかしてしまうという事態になった。余計な遊びをせずにさっさと処刑すれば無様な醜態を晒さずに済んだのに……。しかも武器アリで武器を持たない相手に瞬殺されるという失態まで犯した。ここまでミスを犯してしまえば、降格なり減給なりの処分が下されることは間違いない。代理さん、ザマァ、である。
「毒が効かなかったくらいで勝ったつもりになるのはまだ早くってよ! この棘を攻略された訳ではありませんのよ!」
「そうか。そうだよね。ついさっきまでならね。」
「はっ!? い、いつの間に!!」
「そういうこと。おしゃべりしてる間に再生は終わったみたいだな。」
この間に再生が完了していた。俺の右腕に食い込んでいたブレンダンの義手の破片が地面に落ちたときに俺は気がついた。話している間に腕に違和感を感じたと思ったら、破片が排出されたのが再生終了の合図となっていたのだ! そして、この破片もこの後有効に使わせてもらう。
「部下の度重なる失態に足を掬われてしまいましたなぁ♪」
「きいいっ!! 許しません許しませんわよ! 貴方を無数の槍で刺し貫いて見せますわ!」
バ・ゴーンさんは再び体に生えた棘での攻撃を再開した。複数の棘をあちらこちらから伸ばして攻撃してきていた。しかし、今は義手もあるし、剣もある。攻撃を捌くのには十分な態勢が整っているのである。しかも、棘の性質も大体これで見極めることができた。棘は明らかに義手のついた右腕や剣を狙うかのような攻撃ばかりになっているのだ。狙ってやっているというより、まるで引き寄せられているかのようだ。
「今から、棘の攻略に入りたいと思うんだけど、準備はいいかな?」
「は? 何をふざけたことを! この鉄壁且つ無限の攻勢を維持できる”触れ得ざる血棘”を攻略出来るはずがありませんのよ!」
「じゃあ、遠慮なく! ほい!」
「……!?」
俺はある物の粉末を振り撒いた。振り撒いた途端、無数の棘たちは全て明後日の方向を向き、何か見えないものを探しているかのように右往左往し始めた。撒いたのはブレンダンの義手の破片。義手であらかじめ粉々にしておいてからこの行動に出た。棘の性質を見極めるために使ったのだ!
「なっ!? 棘たちが言うことを聞かない! どうしてこのような事が! 粉を撒かれた程度でこんな!」
「言うことを聞かないんじゃなくて、立派にお仕事した結果がそれなんじゃないかな? その棘って……多分、金属に反応して防御行動を起こすんじゃないの?」
「それがどうしたと言うんですの!」
「その金属が一杯あったらどんな事になるかな、って思って試してみたんだよ。そんなことしたら、いくら自動って言ったって混乱するんじゃないかなと思ったんだ。」
「やはり、金属に反応して動いていたのか。ロアも同じ結論に至ったのだな。」
「そういうこと!」
ヘイフゥも同じ推測を立てていたんだろう。金属製の武器には反応して、素手の攻撃に反応しなかったのを見ておかしいと感じたのだ。攻撃に使っている辺り、手動でも動かせるようだが、基本的に防御を優先しているので、自動が本人の意思とは関係ない行動を取り始めたのだ! 自動ってこういうときに不便になるよね!
「こうなってしまえば、アンタは身を守る術はない! 調子に乗って戦槌まで置いてきてしまってるしな!」
「そう簡単には……、」
「いくんだよなぁ!!」
俺は剣を一閃させて腰の部分を斬りつけ、上半身と下半身を切り離してやった! 防御機能はまともに働くこともなく、主人はあっけなく真っ二つとなってしまう結果になった。普通に考えればこれで絶命してしまうだろうが、相手はゴーレムの肉体だ。あえて殺さないように無力化する事に留めた。
「か、体が!?」
「これで終わりだ。もうアンタは戦えないだろう。早いうちに降参することをおすすめするぜ。」
王手! こっちの言葉で言うならチェックメイト、だな。思想が片寄っているとはいえ、相手は人間。殺すわけにはいかない。更正してくれるとは限らないが、止めまで刺してしまったらただの悪党と同じになってしまうからな。今はここから脱出することを優先的に考えた。




