第81話 やっぱりバ・ゴーンなんですよね?
「ううっ!? 鎚頭さえ当たっていればこんな事になるはずがないのに!」
「やっぱ、その部分に当たりさえしなきゃ、ただのハンマーと変わりないんだな?」
「気を付けろ! その戦槌は必要に応じて巨大化させる能力があるぞ!」
なんか前に見たときと大きさが違うと思っていたら、本当に巨大化していたらしい! なんでも壊すとかいう能力すら反則的なのに、巨大化まで出来るなんて! というか、見た目がゴーレムみたいになっているから、巨大化した戦槌でも余裕で振り回せるのだろう。タルカスと同じか。
「それだけじゃない。あの体には棘で攻撃を防御し、時には死角への攻撃にすら使うことが出来る! 毒も塗られているから用事した方がいい。」
「なんか厄介な機能がモリモリなワケか? さすが、バ・ゴーンさんよ!」
「おだまりなさい! ワタクシはそのような名前ではありませんの!」
なんかまた厄介そうな防御機能を盛ってきているらしい。前のは転移魔法の障壁みたいになってたけど、今度は物理的に棘?を生やして身を守るのか。毎度毎度、オモシロ愉快なシステムを考えるもんだ。武術の技をカラクリ技術で対抗する、つもりなんだろうけど、やっぱせせこましさを感じちゃうよね? 素直に武術を身に付けようよ……。
「いやいや、あのキャラクターのモデルになっているとか? バ・ゴーンさん?」
「言いがかりはお止しなさい! 大体何故古くから伝えられる伝説の登場人物のモデルになれるんですの! 順序が逆でしてよ! ワタクシもそこまで長寿な人間ではありませんのよ!」
「じゃあ、作品のイメージ・キャラクターでもされてるんでしょう? 儲かりまっか?」
「ワタクシはそのような戯曲に興味ありませんの! 頼まれても丁重にお断りですわよ!」
「ボチボチなんですね? それはもったいない! 絶対やればバズるのに?」
「教団の啓蒙ならともかく、お商売の広告塔なんて滅相もないですわ! 断じてお断りです!!」
なんだ、もったいない。まさしく、伝説の邪神官バ・ゴーンその人みたいな外見してるのに。タイアップすればお金なんかガッポガッポ儲かるはずなのにねぇ? ホントに頭の中で描いてたイメージとこれほど合致する人なんて滅多にいないと思うんですよ? もったいないなぁ。
「おふざけはそこまでになさい! 今から貴方に神聖な裁きを下します!!」
「ええ? もう終わりですか? しょうがないなぁ……。」
「どうせ大方、その義手の再生の時間稼ぎのおつもりだったのでしょう? ワタクシの目は節穴では御座いませんのよ!」
「ありゃ? バレてたのね? もうホントにイケズなんだから……。」
「”いけず”なのは貴方の方です!!」
くそう! 少しでも義手の回復時間を稼ごうと思ってたのに! 俺の狙いはとっくに見透かされていたらしい。ヘイフゥの一大事だったため、義手や剣の再生を待っている訳にはいかなかったのだ。そのために少しでも相手を戦い以外の事に気を逸らせて、時間を稼ごうと思ったのだが、脆くもその策は崩れ去った。しばらくはこの状態で戦わないといけない。
「武器なしでワタクシに勝つのは無理でしょうね。早々にお沈みなさい!」
「そう簡単にやられてたまるか! 剣と義手がなくても凌ぎきってみせる!」
武器なしで戦うのは無謀だが、毒で弱っているらしいヘイフゥを戦わせるわけにはいかないのだ。体から出る棘には毒、の話をしていたので、恐らくそれを食らってしまったのは安易に想像がつく。
左上腕の辺りに刺し傷があったから、多分そこからなのは間違いないだろう。毒で不自由な体よりも、武器とかが壊されただけの状態ならどっちが継戦能力があるのかと考えただけだ。相手はブンブンと戦槌を振り回してくる。
「ええい! ちょこまかと動きますわね!」
「そんな食らったら終わりな攻撃なんか当たってたまるかよ! しかもこっちは回避に専念するしかないの!」
武器もない状態なのだからちょこまか動くに決まっている。とはいえなにか攻撃する手だてはないものか? あの棘が出てくる体に対してなんとか攻撃を当てる手段は……って、言っても、最初に蹴りが入ったのは何故だ?
あのときは棘に邪魔をされなかったみたいだが、バ・ゴーンは失念していたのだろうか? いや、でも前の防御システムからするとアレの発動は全自動だったみたいだしな? なにか引っ掛かる物を感じる。棘が出てきそうにないところを狙うとか……?
「きいっ! 早く潰れておしまいなさい!」
(ブウンッ!!!)
「今だ!」
バ・ゴーンはひときわ大きく戦槌を振りかぶり、横に一回転させつつ攻撃を見舞ってきた。その行動は読めていたため、姿勢を低くしつつ相手の足元に滑り込む。そのまま足を蹴りで払ってやった。目論見は成功し、相手は転倒する結果となった。流石に足元とか手首から先みたいな部分には棘が生えないのだろうか?




