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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第1章 勇者マストダイ!! 【勇者なのに……〇〇されました。】
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第77話 戦槌が大きくなった……!?


――――遡ること少し前、


「”鉄の処女(アイアン・メイデン)"……? 確か、こちらの国で使われている処刑器具の事だったと記憶しているが、何かの間違いかな?」



 なんとも趣味の悪い処刑器具がこちらの国では存在すると聞いたことがある。女性の姿を象った箱形の処刑器具で、観音開きの蓋で開閉できるようになっており、内部には無数の針が備え付けられているという。その中に罪人を入れ、大量失血死させるために作られたものだという。



「間違いではありませんわ。ワタクシ達異端審問会のエージェントは処刑器具の名をコードネームとするのが慣例となってますの。これはワタクシがかつて襲名していた物に肖って、この姿になったのですわ。」



 一説には吸血鬼が効率良く生き血を手に入れるために作られたものだと言われているらしいな? おぞましいことこの上ないが、我が国の凌遅刑の方がもっと猟奇的なのだから、なんとも言えん。録でもない事を考える人間は世界中に存在するのだと、実感せざるを得ない。



「それは自ら処刑器具と化したと解釈しても良いのかな?」


「そう解釈していただいても結構。ワタクシは美貌の維持と職務を全うするための理想の肉体を手に入れたのです!」


「歪んだ妄執が形になったと言わざるを得んな!」


「あなたもきっとこの体の素晴らしさを思い知ることになりますわ!」



 両者共に動き始めた。先にこちらが攻撃を仕掛け、それを皮切りに牽制の突きを立て続けに繰り出していく。何一つ余談の許さない攻撃を繰り出しているのだが、その全てを相手はかわしている。先程よりも機敏な動きになったのは明白だと言える。



「ただ体を乗り換えたくらいで良く動くものだ! まともな人間なら十数年の経験を経なければならぬというのに!」



 人ならざる姿を露呈した後だから、その立ち振舞いを気にすることを止めたのかもしれない。明らかに人の身では不可能な動きをしている時があるのだ。攻撃を回避するときにあり得ない方向へ間接を曲げたり、大きな動きをするための準備動作が一切ない時があるのだ。



「そんな汗くさい、泥臭い思想などとっくに時代遅れなのですわ! 技術と魔術、そして神秘が交われば、それすら凌駕することすら可能となるのです!」



 あの体は魔術やその他の思想、技術が融合した物だと言っている。それを意味することが何なのかはわからない。しかし、人が積み重ねてきた技、経験を凌駕するなどあってはならないことだ。これは武術の未来のためにも負けられない戦いだ!



「それは武術家に対する侮辱だ! その考えが過ちであることを理解させてみせる!」


「逆に認めさせてあげますわ。お武家さん達の時代はもう終わりであるということを!」



 相手の尋常ではない運動能力に対抗するため、並みの人間ならとっくに蜂の巣のように穴だらけになりそうな攻撃の嵐を繰り出しているのだが、決して当たることはなかった。


 正体を暴いた時には服を掠めたというのに、今は一切沿うことが発生しない。少しでも掠めたという事実が本人のプライドを傷付けてしまったのかもしれない。相手はあまりに回避に専念するが故、攻撃が疎かになっているのも確かだが……。



「ワタクシの動きの機敏さは十分理解していただけたと思いますわ。今度はワタクシが攻める番です!」


「敢えて手を出していなかったとでも言うのか?」


「これはワタクシの体を十分に味わって頂くためのデモンストレーション。そして、あなたの様なお武家さん達の時代が終わりだと知らしめるための儀礼でもあるのですよ!」



 私の槍を大振りな動きでかわしたかと思うと、その反動を利用して戦槌をおおきく振りかぶって打ち下ろしてきた! 私はとっさに飛び退いてかわしたが、今までいた場所の地面が大きく抉れて窪みが発生していた。相変わらず規格外の破壊力だ。先程よりも規模が大きくなっているとさえ思える。



「ホホホ! 驚いたでしょう? 先程までよりも威力が大きくなっていることに。ちなみにこれはまだまだ序の口でしてよ。この戦槌の真の力を発揮するにはこの体が不可欠なのです!」


「何!? 戦槌が大きくなった……!?」



 相手は一度、通常の威力を見せた後に、更なる力の解放を宣言した。そこで変化を見せたのが戦槌そのものだった。見た目が一瞬にしてふた回りほど大きくなった。折りたたまれていた物を展開して大きくするような機構を持つ武器も存在するが、あの戦槌はその理屈では説明が付かないような変容を見せたのだ!



「この戦槌は持つ者が正しいと思えば思うほど威力は強くなりますの。そしてその強さに応じて質量も増大する魔力が込められていますのよ。これがいわゆる”無限の正義インフィニット・ジャスティス”と呼ばれる力なのですわ!」


「無限の正義……!?」



 使い手の精神に応じて強化される性質を持つ武具だというのか? しかも、物質的な質量まで増大するなどという力は今まで聞いたことがない。これが魔術という物が成せる技なのか? これは思ったよりも厄介な相手だと思わざるを得ない……。

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