第72話 新技に賭けろ!
「どぉらぁぁっ!!!」
ブレンダンの猛攻は続く。依然として隙がほとんど見られないため、俺は俺は攻めあぐねいていた。チャンスを見極め、必殺の一撃を入れなければ勝ち目はない。その活路を見出すために俺は全神経を研ぎ澄ませていた。相手の一撃一撃を捌きながら、あの技を極める瞬間を待ちかねていた。
「お前から来ねえなら、力尽くで叩き潰して終わりにするまでだ!」
ブレンダンはひときわ大きく振りかぶり、横薙ぎの一撃を見舞ってくる! 俺は上体を逸らしつつ、剣を合わせて軌道を少しでもずらそうとした。だが、その行為はむなしくあっさりと剣を弾かれ、大きく仰け反らされる結果になった。この後に追撃が来れば確実にやられる……と見せかけた作戦だった。そのまま剣で円弧を描きつつあの技のセットアップに入る。
「極端派奥義、”旋円回弧”!!」
「ぬうっ!?」
剣を弾かれ反対側から旋回した軌道で相手を斬る! 二度目だがこの技を狙うしかなかった。この技で反撃して叩くしか手はないと思っていたから。そのまま切り伏せられると思っていたが、恐るべき事に相手が上体を反らして回避していたのだ! しかも、俺の剣の軌道の反対側から再び横薙ぎの一閃を入れてきた!
「甘えよ! 俺に同じ技が二度も通用すると思うな!!」
「読んでいたのか!」
(ガギィィィッ!!!!!)
俺の行動を読んでいたからこその反撃だったのだ! 剣と剣が激しくぶつかり合った! しかもお互いの刃と刃が真正面からぶつかり合い火花を散らす! そして相手の剣の質量に敵うはずもなく、無様にへしゃげ、砕かれる結果になった。俺も相手の剣が纏った衝撃波に巻き込まれ大きく吹き飛ばされる結果になった。
(ドシャアアアアッ!!!!)
「うわーーっ!?」
「ざまぁねえな!!」
思い切り吹き飛ばされ、何度も地面を転がらせられる羽目になった。でも、やられたとはいえ怪我はしていない。これはある意味、剣がダメージを引き受けてくれた様なものだろう。剣が盾代わりとなり代わりに砕けたことで相手の剣撃の威力を殺してくれたから、吹き飛ばされただけで済んだのだろう。
「運の良い奴よ。俺の一撃を食らって武器を破壊されるだけで済むとはな。」
「くそ……あの技を読まれているとは思わなかった……。」
「あの技には見覚えがあった。俺の本能が危険と判断して、反撃の行動に移らせた。これは戦場で培ったカンだからこそ物を言うんだぜ。幾多もの死闘をくぐり抜けた証って事よ。」
俺の技が通用しなかった……。まだ実用化して間もない技だったし、梁山泊公認の技でもなかったから破られても当然だったと言うしかない。俺の技よりも、ブレンダンが戦場で培ってきた経験の方が上だったのだ。この点に関しては完全に敗北したと言う他はない。勝つには違う方法を模索するしかないのだ。
「大抵のヤツはこう思うだろう。武器を失った方が敗けだと。」
「ハハ……これじゃ敗けなのには変わりないよな……。」
「俺はそう思わねえ。そこらの雑魚とは違ってな。お前にはまだ義手が残っている!」
「こんなのただの手の代用品だぞ! そっちのと違って武器満載な兵器とは違うの!」
「ハッ! 見え透いた嘘を! お前のそれは剣以上の凶器だってのは調べがついてるんだぜ?」
まさか……義手が伸縮するギミックについて知られてしまったのか? 俺が実戦で使ったのは二回。その内一回は他に目撃者の少ない限定空間で使ったから、見られてしまった可能性があるのはティンロンと戦った時か?
あの時は周囲に誰もいなかったが、コイツの部下が潜んでいた可能性はある。コイツ自身はフェイロンと戦っていたそうだから、情報が漏れるのだとすればそこからしか考えられない。いつの間にか盗み見られていたようだな。
「それにな……俺は処刑技を破られている。そのままで終わると思うか?」
「ここで終わりにした方が良くない……?」
「終わって……、」
俺が終了を促したら、ブレンダンは剣を肩に担いで首を回してバキバキと骨を鳴らして見せた。それから背中を見せタンブルとシャルルが戦っている方向へと歩きだそうとした。え? まさか本当に止めるのかと思った瞬間、俺の方向にもう一度向き直った。
「……たまるかよ! バーカ!!」
「で、ですよね~!?」
ブレンダンは再び剣を構えて突進してきた! 避けようと身をかわすが、再び突進してくる! それを何度か繰り返す内に相手が入れてきたフェイントに引っ掛かり、剣お峰で殴られ頭上高く打ち上げられてしまった! もちろんこれは”あの技”へ移行するためのセットアップに違いなかった。
「今度こそ、この技で首を落とす!!」
一度打ち上げられたが最後、脱出する間もなく二度目、三度目と打ち上げられる羽目になった。……ダメだ。今度こそ確実に死ぬ! 前みたいにフォー・ナインが助けに入るかもしれないが、その対策くらいはしてくるはず。二度と同じ技は食らわないのがわかってしまったからな……。




