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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第1章 勇者マストダイ!! 【勇者なのに……〇〇されました。】
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第69話 お前も十分ヤバイ


「アレがオードリーの正体……!?」


「とうとうババアが本性を表しやがった!」



 砕けた拳の再生中に奇妙なものを見る羽目になった。ヘイフゥと対峙しているオードリーに変化があったのだ。服を破り捨て全身金属質の体を露にしたのだ。アレは正に新型ゴーレム、タルカスやジムと同じような戦闘用のゴーレムそのものじゃないか!



「ゴーレムになっていたのか、アイツは! アンタは知ってたのか?」


「年の割に若作りを保っていられた理由がアレだ。正体を知っていたわけじゃないが、おおよその予測はついていた。工房(ファクトリー)と親密に関係を持っている時点で”あり得る”と俺は踏んでいたんだぜ。」


「ジュリアと同じ様な武器を使ってんのにやけに細いと思ったら、人間やめてやがったのか……。」



 あの戦槌を軽々と振り回せてる時点で何かおかしいとは思っていたんだ。アレには特別な魔力が込められているから見た目以上の破壊力があるのも知っている。だけどそれ以外は普通に大型の戦闘用金槌なのでそれなりの重さがある。


 ジュリアの戦槌も見せてもらったことがあるが、槌頭の先端部分が宝石みたいになっている以外は全部金属だから、相当な重さがある。俺でも振り回すのには骨が折れるほどだ。要するに怪力がないとアレをブン回すのは難しいんだ!



「アンタの上司は強さを手に入れるために人間の体を捨てたのか……?」


「いいや、違うな。あの女は若さと美しさ、そして権力、それら全てに執着していたからこそ、あの姿になったんだろうぜ。神殿騎士団(テンプルナイツ)や聖女に対抗するためになりふり構わない手段にてを出したんだ。」


「それだけのために……?」


「それだけ敵対派閥の力を恐れていたんだよ。それだけ圧倒的だったんだよ、神殿騎士団(テンプルナイツ)の影響力がな。」



 教団トップの派閥、神殿騎士団(テンプルナイツ)。その噂は俺も何度か耳にしたことがある。法王の身辺や聖都の警護を司っているだけあって、その影響力は絶大であるらしい。基本、彼らは他の派閥を顎で扱える程の特権を持っているとされている。クルセイダーズが袂を分かって別勢力となったのもそれが遠因になっているらしい。百年ほど前に起きた事件が決定的になったとも言われているが……、



「人の体を捨てただけじゃないぜ。ある意味、工房(ファクトリー)と手を組んでいること自体も問題だろうぜ。」


「それは……なんで?」


工房(ファクトリー)ってのはかつて教団や学院によって壊滅に追いやられた組織の後継組織だからな。お前も聞いたこと位はあるだろう、錬金術師ってのが昔いたことを?」


「れ、れんきん……じゅつし?」



 なんか聞いたことがあるような、ないような? 前にファルが言っていた魔術や神聖魔法とは違う系統の術を使う連中がいた話と関係がある? 元は何の変哲もない石ころを金塊に変える研究から始まったとかいうやつ?


 フェルディナンドが研究していた”賢者の石”とも関係があるとかないとか? とにかくなにかとなにかの組み合わせで別のモノを作り出す技術が昔存在したという話を聞いた。それが”れんきんじゅつ”とかいう名前だったよう……な?



「奴らは俺の義手やゴーレムといったカラクリ仕掛けの物品を作り出す研究をしていてな。それを鍛冶屋の副業みたいに擬装(カムフラージュ)して人知れず技術を進歩させ、ゆっくりと勃興の機会を虎視眈々と伺っていたのさ。」


「表から見れば鍛冶屋さんにしか見えないってこと?」


「まあ、そういったところだ。あのババアや俺の義手を見てもわかる通り、奴らは新たな生物の系統すら産みだそうとしている。魔術師どもも顔負けするくらいに研究熱心な連中だ。ある意味、狂人の集団とも言えるぜ。」



 あのタルカスに裏から手を貸していたのが”工房”って組織なのか。確かにあの新型ゴーレムは対魔法を想定した防御障壁みたいなのを備えていた。あの過剰とも言える防御機能は、いつの日か教団や学院を打ち倒すために備えていたからこそだったなんてな……。



「でもな、奴ら以上にとんでもない能力を備えている奴がいるんだぜ? 独自の武術、独自の技術の武器まで使ってきやがるし、過去の英雄の力まで使えるとかいう奴がな。」


「え? そんなとんでもないヤツがいるのか? どんなヤツ? なんて名前?」


「ここにいるじゃねえか。」


「え……!?」



 腕を振り上げ誰かを指差すと思ったら……その指は俺の方向を向いていた。なんだ、俺の後ろに誰かいるのか……と思って振り返ってみても、誰もいない。しかし指はこっちの方向に……? 一体誰のことを? 俺の背後霊……とか?



「って、誰よ? 俺に見えてない誰かが後ろにいるのか?」


「違う。自覚がないのか? お前の事だよ!」


「え? 俺? なんで?」


「ハッ! 自覚がないとは困ったヤツだ! あれだけ俺がグシャグシャにしてやった拳が元通りになってやがるのに! 義手までキレイさっぱり何事もなかったかのように新品さながらになってんじゃねえか!」


「ありゃ? いつの間に? もう治ってる?」



 見ていないうちに拳の再生が終わっていた。動かそうとするだけでも激痛が走る程に傷ついていた拳が元に戻っていた。生身な左手だけでなく、義手の右手も元に戻っている。やはりこれは完全に俺の体の一部となってしまっているようだ。


 痛みなどの感覚があるだけでなく、他の部分と同じように壊れても元通り。見た目は変わらず金属でしかないのにな。はずせなくなった代償として体の一部になったのは間違いないようだ。

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