第240話 アンデッドを超越したアンデッド!?
「くそう! コレならどんな敵でもミンチに出来るんじゃなかったのかよ!」
「気持ちを切り替えろ! お前は今持ってる武器じゃまともに戦えないんだから!」
ガンダーが作り出した暗黒魔神、いやネオ・アンデッドとでも言うべきか? その化け物は驚異的な肉体強度を誇っているようだ。アンデッドってのは基本的に死体、つまり、既に壊れたモノを無理矢理動かしているから脆いという認識だ。でも、目の前の怪物はその常識を覆したと言える。堅いというわけでもない、ある程度柔軟性のある表面は刃物をモノともしない強度を持っているのだ!
「コレならどうだ! 離れたところからでもバッサリだぞ!!」
「やめろ、ウィンダム! そいつにハサミが通用するわけ……」
(ベキャッ!!!)
「ああっ!? ハサミがもげた!? グリップも折れちゃった!!」
あの食い意地丸ですら通らなかったのだ。ハサミなんて通用するわけがない! ハサミの刃は敵の体に少し食い込んではいるものの、くにゃっと折れ曲がり根元の番いの部分で片方の刃がもげてしまった!
ウィンダムの言うように、ハサミの開閉を操作するレバーも破損してしまっている。堅いものを無理矢理斬ろうとした時と同じ結果になっている。とにかく並大抵の刃物は通じなさそうだ。
「グワグワッ!! 刃物なぞ効くものか! 旧来のあらゆるアンデッドの弱点を克服したのが、コレだ! ダーク・サーヴァントは究極のアンデッドモンスターなのだ!」
「ス、素晴らしイ……。敵ながらアッパレ。」
やっぱり防御力は折り紙付きのようだ。元からそういうつもりでこのモンスターを作り出した様だ。あまりの強さにオプティマはポカンと口を開けたまま、それに見とれ恐れるどころか感心して賞賛してすらいる。あの変態が感心するほどなのだから相当な完成度なのだろう。だが敵としては最悪だ。死なない上に並みの武器が通用しないのだ。
「どうすればいいんだ……。」
「お前は下がれ。俺の剣ならなんとかなるかもしれない!」
「それでもおいらはまだ戦える!」
(ガッ、ガッ!!)
手持ちの武器を全て失い、ウィンダムはわなわなと体を震わせていたが、武器はなくとも戦えると言い張り素手で殴りかかっていった! そこそこに重たそうなパンチを繰り出しているが、当然びくともしていない。
ただ硬質なモノを叩いているというよりは肉の塊を叩いているかのように表面は波打ってはいるが形は崩れない。とにかくそんな感じで攻撃の衝撃は吸収されてしまっている。
「うぐっ!? こ、拳がっ!?」
「グワワ! 素手で攻撃するからそうなるのだ! ダーク・サーヴァントの体は猛毒のダーク・ジェルに覆われている! 素手で触れれば毒に侵され、武器で斬りかかれば腐食する効果を持っているのだ! これはスライム系の魔物を研究して応用したものだ。どうだ強いだろう?」
おかしな体をしていると思ったら、どうやら表面はスライムの様なもので覆われている様だ。スライムってのはダンジョンや洞窟のような暗い場所に出没する粘液や粘菌のような魔物だったはずだ。
その性質上、武器で斬ったり叩いたりする攻撃は通じにくい上に、武器を腐食させる効果を持った粘液で覆われているので戦士泣かせののモンスターらしいな? でも、こういうのは割と魔法に弱い。特に炎に弱いと聞いたことがある!
「無理するなよ! 相手には相性ってのがあるんだ! 何でもかんでも殴りかかっていいものじゃないんだぞ?」
「わかった。おいらがあまりにも考え無しだった……。」
「前座は引っ込んで、ようやく勇者のお出ましか? 待っていたぞ。楽勝過ぎて居眠りしちまいそうだったぜ!」
「じゃあ、目ぇ醒まさせてやるよ! バーニング・イレイザー!!」
(ブワッ!!!)
剣に灼熱の闘気をたぎらせ、横薙ぎに打ち払い豪炎の衝撃波を放った。相手は闇の魔物。特に光のオーラに弱いはずだ。炎の攻撃に弱いはずだから、浄化の炎を纏った勇者の豪撃が有効だと思った! 炎の斬撃は相手の表面を切り裂き、同時に切り口から炎を噴出させた。これで次第に全身を焼き尽くす……と思われたが……、
「……!? なんでだ? 炎が弱まっていく……?」
「残念だったな。残念ながら勇者の奥義は対策済みだ! この身で味わったグレートの技の痛みは今でも忘れてねえ! あの男に一杯食わせてやろうと思って試行錯誤した甲斐があったぜ!」
「光が……炎が飲み込まれていく……。」
「闇ってのは全てを飲み込むんだ! 周りを照らすしか能のない光の限界がコレよ! 全てを真っ黒に塗りつぶすのが闇と魔の真骨頂なんだぜ!」
相手の表面に出来た切り傷は次第に小さくなり、炎も徐々に小さくなって鎮火されてしまった。相手の表面はウニウニと別個の生き物の様に動き切り裂かれた表面を少しずつならしていった。完全に何事もなかったかのように再生してしまった……。




