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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第3章 勇者マストダイ!!【聖都、燃ゆ。】
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第224話 聖剣に選ばれし者


「あなたは神殿騎士団(テンプル・ナイツ)の方なんですか!?」


「その通りだ。私はジアーナ・トップフォースだ。」



 私の推測通り、この人は神殿騎士団(テンプル・ナイツ)の一員だった。彼女は私の指摘と共に名乗り直した。トップフォースという姓であると言う。その名には聞き覚えがある。


 確か、神殿騎士団(テンプル・ナイツ)の総長を務めている人物がそういう姓だったと思う。この人が総長、とは思えないので親族や家族に当たる人なのかもしれない。



「たった一人で私と戦うために? 重大な使命を帯びている方がどうして?」


「本来なら部下を何人か伴って参じるはずなのだがな。本来なら貴公を捕縛しなければならないところを特別に許しを得て現れたというわけだ。無抵抗な者を捕縛するのは私の流儀に合わないのでな。」


「私と一戦交える事で、名目上は打ち倒した上での捕縛、としたいのですか?」


「私自身はあなたを捕らえる事に興味はない。あの勇者が逃げ隠れしている以上はこのような手段を取らざるを得ないのだ。」



 私を捕らえるのは不本意だと考えている? 法王庁の人にしては意外な考えを持っていると思った。真面目な方ではあるけれど教団の教義に忠実というわけでもないみたい。何よりも騎士である事を重んじているのかもしれない。ここまで騎士然とした女性は初めて会った気がする。これが聖剣を持つ者の風格なんだろうか?



「彼は言われもない濡れ衣を着せられたからこそ、逃れる羽目になったんです! 彼は最初、罪を受け入れるつもりで異端審問会に連行されていきました。裁判は行われましたが、彼の罪の決定的な証拠が提示されなかったと聞いています。彼に罪はありません!」


「私も一騎士故、罪に関してとやかく言う立場ではないが、剣を交えればわかると信じている。剣には振るう者の本心が現れると信じているからだ。剣を交えた後、判断をするつもりだ。そして、貴公と戦うのもその一環である。貴公の人となりを見てみたいと思っているのだ。」


「そこまで言うんでしたら、他人を巻き込むような真似は止めてください!」



 彼女にとっては教義よりも、自身の騎士道精神、何よりも剣術に対しての絶対的な情熱を傾けている様に思えた。聖剣の使い手だからこそ剣とそれを振るう人には敬意を持っているのかもしれない。


 この考え方はある意味ミヤコちゃんに似ているかもしれない。彼女自身は世界に良い影響を与える活動をしたいようだけど、根は剣の巫女としての心を保っている。彼女は剣などの武器を労っているからこそ、雑な扱いをする持ち主には厳しい目で見ている。ジアーナさんとあの子には共通する情熱みたいな物を感じずにはいられなかった。



「貴公は勘違いしているな。」


「何を……ですか?」


「この場で戦う、と勘違いしているのではないか? ある意味ではそれは正解だが違うと、私は言いたい。」


「一体何を言いたいのですか?」


「聖剣を持つ者は常に民を守る事を尊び、この世の悪を討ち滅ぼす使命を持っている。そのために特別な場所を用意する権限も同時に与えられるのだ。それを”裁定の間”と呼ぶ。」



 彼女は私と戦う意思を決して曲げようとしなかった。私の懸念は間違っているとさえ言っている。間違っているのなら、その問題をどやって解決するのだろう? どうしても避けられない事実をどう回避するのか気になる。聖剣と共に与えられる権限というのはどういうものなんだろう? 彼女の行動・言動には疑問が尽きない。



「裁定の間……?」


「民を巻き込まぬよう、器物や建物を損壊せぬよう特別に決闘の場を用意することが許されているのだ。その場へ移行すれば、貴公の懸念は解消する。安心されよ。」


「一向に展開が読めないのだけれど……?」


「聖剣よ、我に裁定の機会を与え給え!」


「……!?」



 仮住まいの家屋の中にいたはずが、ジアーナさんのかけ声と共に一変した! 家具などが並んだ一般的な家屋の風景から突如、真っ白な空間へと一瞬で切り替わったのだ。見る限り周囲には何も存在していない平坦な真っ白な地平へいつの間にか私達は移動していた。二人以外には誰も存在していない。誰も巻き込むことはないという言葉の意味はこの現象を指していたみたいだった。



「ここが”裁定の間”だ。これで貴公も心ゆくまで私と戦えるだろう?」


「確かに人々を巻き込みませんけど……私はまだあなたと戦うつもりにはなれません!」


「まだ戦う決心が出来ないと? 困った方だな。これでは私がただの襲撃者になってしまうな。」


「申し訳ありませんが、お引き取りください。」


「勇者ロアの首がかかってるとしても戦わないとおっしゃるのかな? 私は勇者を上回る力を持っているとわかっても同じ事が言えるだろうか?」



 彼女は外套を脱ぎ捨て甲冑姿を露わにした。騎士としての佇まいと女性としての美しさを両立させた立派な姿だった。この姿を見れば誰だって見惚れてしまうだろう。ある意味、この世を救済する救世主と呼ぶに相応しい姿とも言えた。私はそんな人と戦わないといけないんだろうか? 戦いたくはないけれど、そのまま追い返してしまえば、ロアに危険が及んでしまうかもしれない……。

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