↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
222/239

第222話 そしてまた、旅立つ……。


「自ら渦中に飛び込むようなものじゃ。それでも行くのじゃな?」


「ああ。じっとしている訳にもいかないからな。」



 レースの日から三日後、俺は聖都へ旅立つ事にした。とはいっても真正面から入っていくのではなく、裏口から忍び込んで様子を見てくる程度に留めようと思っている。どうしてそんな場所に行くかと言うと、タンブル達の活動を手伝うためだった。聖都すぐ傍のある場所へ行くのだという。



「タンブル達の世話にもなったから、その手伝いをしようと思ってる。」


「魔王の手伝いか……。とはいえ、その実態は反教団ゲリラとも言えるから、身を隠すならいっそ揃って動いていた方が得策か。妾からはそれ以上なにも言えん。教団に対しても少々思うところがある故、中立的立場をとっておるからのう。」



 魔王を古くから知っているから俺がタンブル達と協力関係にあることに複雑な思いを抱いているようだ。サヨちゃんの知っている犬の魔王とは全然別人だから不問にしているのだろう。


 彼女は騎士団(クルセイダーズ)とは交流があるものの、王庁側の勢力の関係とは一線を引いているらしい。教団は古くから竜族を”異端”認定しているため、関わらないようにしているのだとか。騎士団はある程度関係を軟化させているためそうでもないらしいんだが。



「この国最大のスラム街と言われるモースト・ウッデン。教団の捜査網から逃れられるとはいえ、最も危険な街じゃ。心しておくのじゃぞ。」


「なんとか生き抜いてみせるさ。タンブル達の仲間が身を潜ませているらしいからある程度融通は利くと思う。」



 行き先は巨大なスラム街。今は聖都の傍、あくまで聖都の外ということになっているが、昔は聖都の一部であったらしい。いわゆる旧市街と呼ばれる区画に貧しい人たちやならず者達が住み着いた結果、スラム街となり聖都から切り離されたのだという。


 でも、地理的には地続きとなっているので裏口のように機能しているらしい。そこにはあらゆる裏社会の勢力が身を潜ませているだけでなく、反教団勢力の拠点ともなっているようだ。タンブルの仲間というのもその中に含まれているというわけだ。



「で、サヨちゃんはどうすんの? あいつらの修行を続けんの?」


「そうじゃな。今は一時的に山から降りてきただけじゃからのう。あのバカ娘をもう一度鍛え直した上で、再び冒険者としての経験を積ませようと思うておる。今回は一人、参加者が増えておるから、更に骨が折れそうじゃわい。」


「ああ、シジミちゃんも付いていくんだっけ?」



 どうやらシジミちゃんも弟子入り志願したらしい。なんかプリメーラ・パーティーの仲間入りを果たしたようだしな。弟子入りとはいっても魔法の修行とかではなく、経営者としての心得とか座学中心で勉強しに行くつもりのようだ。ずっとサヨちゃんの元にいるのではなく、経営の仕事もこなしながら勉学に励むつもりらしい。



「あのバカ娘、隙あらば勧誘を進めおるんじゃ。クレメンスの所の技術者まで引き入れようとする始末! 節操がないヤツで困るわい!」


「その話はタニシから聞いた。ノーラとシトラスも勧誘しようとしてたんだよな? それどころかイツキも勧誘被害にあったらしいいし……。」



 相手が何らかの組織や勢力に所属していてもお構い無し! 人材を引き抜いて自分のパーティーに加えようとするとは節操がない! まだ勇者候補とはいえ、あまりにもやり過ぎな感じがする。同性に限らず、異性にまでてを伸ばそうとするから質が悪い。しかも、異性に関してはなんか癒し要素で加えようとする傾向がある。


 イツキはなんと、”モフモフ”枠としての加入を検討していたらしい。前もロッヒェンを”マスコット”枠で入れようとしていたくらいだしな。なんでこうも男に対しての扱いが雑なのか? 俺とかタニシをゴミ扱いしてくるし……。



「まだ、あやつの仲間は素性が知れておるから良い。そなたの後輩、あのウィンダムという小僧は何者なんじゃ?」


「アイツはね……仲間というか、刑務所脱出の恩人でもあるんだ。記憶喪失になっているから、記憶が戻るまで面倒を見るつもり。」


「妾はそのようなことを言っておるのではない。あやつの素性が気になるのじゃ。得体が知れぬ。」



 レース中ピンチになったとはいえ、あの異常事態に何か思うところがあるようだ。あの過剰とも言える圧倒的破壊力で制したからには危険視せざるを得ないのだろう。古竜のサヨちゃんから見ても、アレは驚異的に感じるのかもしれない。タンブルですら、あの力に恐怖を感じたとも話していたしな。その両者さえも恐れさせる力の由来はどこにあるのだろうか?



「なあ……アイツの記憶を戻すために協力してもらえないか? ほら、俺と最初に会ったときみたいに、記憶を覗いてみれば何かわかるんじゃないのか?」


「断っておこう。手を出さぬ方が吉と見ておる。」


「え? なんで? その方がいいんじゃないのか?」


「あの手の者を見て思うたことじゃが……どうも開けてはならぬ禁忌に触れてしまう恐れを感じずにはいられんのじゃよ。あの様子からして、何者かに記憶を封じられている様にも見受けられるからのう。妾達の知らぬ大きな存在が関わっておるのかもしれん。」


「……?」



 サヨちゃんなら記憶喪失の問題を解決できるんじゃないのか、と思ったらやんわりと断られてしまった。アイツの力だけではなく、その記憶さえも危険視しているようだ。何者かが敢えて記憶を封じている可能性も示唆した。危機的状況に陥ったときだけ人格が変わる様を見て何か不吉な物を感じたのかもしれない。アイツの中には開けてはならない禁断の箱が存在しているとも……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。