第218話 ゲーッ! 象の戦闘員!!
「ちょっと待って。博士って誰の事?」
「何をおっしゃいますか! アナタの事ですよ! ア・ナ・タ!」
もう一人増えたかと思ったら、プリちゃんはその人まで話に巻き込むつもりみたい。何か特別な呼び方をしているので、錬金術師の人と同じで目を付けていたのかもしれない。ということは、この人も勧誘対象? プリちゃん、それはあまりにも欲張り過ぎなのでは? フェイも二人同時に狙うことはしなかったのに……。
「そんないきなり博士なんて言われても……、」
「いやいや! 博士ではありませんか! アナタの作品の数々を見ただけでも良くわかります!」
「うん? カラクリの事を言ってる?」
「そうっすよ! あのいかにも猫猫しい感じが素晴らしいと思いまして!」
「あ、ああ、そう……。」
どんどん食い下がり前のめりに接近しながらプリちゃんは猛烈にアピールしている。その姿にハカセさんと錬金術師さんは若干引きぎみになっていた。それでもプリちゃんはしきりにカラクリの感想を言ってるけれど、表現が独特すぎてついていけない。猫らしさが全面に出ていたから良かったと言いたいみたいだけど、空回りしている様な気がする。
「それで何がしたいのかな、君は?」
「そりゃあもう、やることと言えばアレしかないじゃないですか?」
「アレとか言われても……見当がつかないんだけど?」
「アレって言ったらアレっすよ! ……世界征服しかないじゃないっすかぁ!!」
突然プリちゃんの口からとんでもない言葉が飛び出てきた! その時、宴会場の時間が停止したように見える……程にみんなの動きを凍りつかせてしまった。ある意味、悪い人にだけに許されてるような言動をプリちゃんが使っちゃったものだから、みんな凍りついてしまったんだと思う。プリちゃん、勇者の仲間を募るって言ってなかったっけ?
「……せ、世界征服かい? それは大きく出てきたもんだねぇ……。」
「当たり前じゃないっすかぁ? 男は大きい夢を語ってなんぼ、って言うじゃないっすか?」
「それ以前に君は女じゃないか? しかも相当上位に位置する位の……、」
「ああーっ! そんな細かいことは気にしないでくだせえ。小事に拘るってのは男の沽券に関わるっていうからねぇ。男はとことん器を大きくも持たなきゃあいけないのよ?」
「……でも、君は男じゃないだろ……。」
もうなんだか、プリちゃんの言動が酔っ払いのオジサンみたいになってきてる……。プリちゃんは調子が乗ってくると暴走し始めるのは周知の上だけど、時々男の人みたいになってしまうというか……。言動だけならいいけど、行動まで男の人になりきってるときがある。かわいい女の子を見ると、特に自分が持っていない長所を持っている子にはセクハラ行為までし始める……。
「で? 具体的にあたしと組んで何がしたいの?」
「それはねぇ……まずは手始めにメタル獣戦闘員を大量生産したいなぁ! 猫、犬、ウサギにネズミ、様々な動物で戦闘員作って汎用性を高めたいと思ってましてなぁ! 最終的に象の戦闘員を作って、敵に『ゲーッ! 象の戦闘員!!』って言わせるのが、ワシの夢ですねん!!」
「色んな戦闘員を……? そんなに種類作っても、結局は中身一緒になるような……?」
「でも、ゆくゆくは我々幹部がチームを組んで歌姫戦隊を組むという構想がありましてなぁ。そうしたら、何が必要になると思います?」
「歌姫戦隊……。なんだか発想が飛躍しすぎていて想像がつかないんだけど? シトラス、あんた、必要な物ってわかる?」
「なんでそこで私に振るの! わかんないよ、そんなこと! ……莫大な資金とかが必要なんでわ?」
なんだかもう飛躍しすぎて何の話かわからなくなってきちゃってる……。戦闘員とかいうのを動物さんモチーフにしたいのはわかる。つい最近、獣人の人に心引かれてしまったみたいだから、回りにそういうのを置きたくなったんだな、と……。今度は自分達が徒党を組むときの構想を話し始めたけれど、彼女の必要としている物とはなんだろう? 聞いてみたいけど、ちょっと怖い。
「必要不可欠な物とは……巨大ロボっすよ!! 巨大ロボこそ、戦隊のロマン!! 男の夢なんやでぇ!!」
「いや、だから、君は男じゃないだろ……。」
「いやもう、5つのメカが合体してギューンってなって、大暴れしまくるんや! そいでもって、敵にトドメ刺すときゃあ、巨大必殺剣取り出して思いっきりズッバァァァァッっと一思いにバッサリやるんがええんや! 最初の標的もしっかり決まってまっせぇ! あのアホ勇者をまっぷたっつにしてから、グリグリ踏みしだいてクチャクチャのぺーにしたんるんや! 爽快やろなぁ! 想像しただけでも、涎が出てきますわぁ!!」
「勇者をクチャクチャのぺーに……、」
巨大ロボ……? ロボとは? 何かよくわからない知識がプリちゃんの口から溢れ出てきたけれど、とにかく巨大なカラクリを作って大暴れしたいのだという夢を持っているのはわかった。わからないけどわかったことにしておこう。それはそうと、なにやら恐ろしい気配がこちらに近付いてきている気がする……。そろそろプリちゃんを止めないと取り返しのつかないことになりそう。




