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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
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第213話 予言? 予見? 今後の未来に見えているもの。


「話は少し脱線してしまいましたが、ここから話すことの前提にはなっているので心してお聞きください。」


「あんなことが……もう一度起きるっていうのか?」


「全く同じとは保証できませんが、恐らくそうなります。ある意味必然です。」



 今後、似たような事が起きる……。いろんな人間を巻き込んで大きな騒動へと発展すると? 今後、どこへ行くかも定まっていないのに、目の前の人物は今後を見通している。異端審問会に追われる前までは聖都へ向かい法王猊下に謁見する予定ではあったが、今行くのは難しいだろう。確実に捕まる。


 とはいえ、お呼びがかかっていたのにそれを反故にするのか、という懸念もある。どちらへ進んでも世間からの非難は避けられない。犯罪者として生きるか、捕らえられて勇者としての汚名を残すか、の二択である。



「あなたの知り合いからの情報にもありましたように、神殿騎士団(テンプルナイツ)があなたの事を捕えるつもりでいるようですしね。教皇猊下からお呼びがかかっていたのでしょう? それを盾に出頭するよう要求してくる可能性は十分あり得ますね。」


「えぇ……。ほんとにありそう! それじゃ、俺の逃げ場なんてないじゃん! でも、異端審問会と取り合いになったりしない? それぞれ思惑があるんじゃなかったっけ?」


「ええ、そうですとも。少くとも審問会のトップが急逝したので、今は騎士団が有利でしょう。」



 教団には様々な勢力が乱立し、絶えず勢力争いをしている。特に聖都に拠点を持つ”三大勢力”の連中達は特に互いの仲が悪いらしいな。最初に聖都へ来たときに会った聖女様率いる聖歌隊もその一大勢力に含まれる。俺を捕えに来た審問会もそう。あの時も両者の権力闘争に巻き込まれそうになった。ブレンダンともその時初めて会ったんだよな……。



「オードリーはいなくなったかもしれないけど、シャルルは? あの人、審問会の人間じゃないのに躍起になってけど? なんかオードリーを利用していたようにも見えたし、あの人が実質的なリーダーなんじゃないの?」


「あの人は教団全体を行き来する顧問に過ぎませんよ。表だって組織を率いる立場ではありません。オードリーという協力者を失った以上は、今後はしばらく表には出てこれないでしょう。彼と対立している立場の神殿騎士団(テンプルナイツ)総長がいる限りはね。」


「騎士団の総長……?」



 シャルルはある意味失脚したと考えていいのか? 簡単に諦めるようなタイプではないと思うが、協力者ともいえるオードリーがいなくなり、実質的なNo.2であるブレンダンも表向きは生死不明になっているはずだ。


 シャルルはあまりにも自分の駒を失いすぎたと、ピッグは言いたいのだろう。そりゃ、ライバルが調子付くはずだ。しかし、あの騎士団の総長と言えば俺の尊敬する”あの人”の殺害疑惑があるんじゃなかったっけ?



「教団の中でも法王に次ぐ権威を持っていると言われる人物ですね。その名もヴィアチェスラフ・トップフォース。かつて、教団内最高の戦士達に送られる称号”六光の騎士”の筆頭でもありました。今は娘さんが後を引き継いでいますけどね。」


「ヴぃあちぇ……? なんか呼びにくい名前だな?」


「ああ、そのせいもあって通称”トップフォース卿”と呼ばれることが多いです。または単純にテンプル騎士団総長ですかね。」



 なんだか聞きなれない語感の名前が来たな。幸い、姓の方が読みやすい名前だったので助かったと言える。これでカレルの仇の名前が判明した。この国の中でもかなりの権威を持った存在だとはいえ、俺の恩人を死に追いやった事は許せない。何が目的だったのかは知らないが罪を暴くまでは俺は倒れるわけにはいかないのだ。



「その人物が今後あなたの前に立ち塞がることでしょう。彼はフェルディナンドに匹敵する人物なのですよ。権威の事も考えれば、それ以上とも言えますね。彼もまた極端な思想の持ち主でして……。」


「あんなヤツが何人もいると思うとゾッとするんだけど……?」

「彼は教団の権威向上を名目として浄化運動を推進しているのですよ。特に私達のような獣人を目の敵にしている人達の筆頭とも言えるわけです。目的のためならいかなる手段も講じると専らの噂です。」



 ああ、なんだか彼の言いたい事が見えてきたような気がする。同じだ。フェルディナンドと。あの男も能力無き者を見下し、世界には不要なものとして全面的に一掃しようとしていた。しかも、嵐の王(ストーム・ルーラー)を名乗って新たな神になるとまで言っていたような気がする。



「彼は恐らくあなたに対して酷な選択を迫ってくるでしょうね。何らかの形で勇者の座を剥奪しにかかってくると思われます。あなたの大切なものを人質に取るような真似をするでしょう。」


「俺にそんな事を迫ってくると……?」


「そうです。だからこそあなたに一言申しておきたいのです。”選択を間違わない”ようにと。かつて、額冠を手放しておりましたが、それがどういった影響を世界に与えたのか、よく考えた上で選択してください。」


「そんなの……みんなの命を守ることを優先するに決まってるじゃないか!」


「……そうですか。あなたならそう言うと思ってましたよ。ですが、それが全てにおいて正しい選択とは限らないということを覚えておいてください。このままではあなたがきっと後悔する羽目になりかねませんね。私から言えるのはここまでです。それ以上はまだ少し時間のあることですし、じっくりお考えください。」


「……。」



 テンプル騎士団の総長が俺を全力で潰しに来る……。まだ確定した訳じゃないが、教団に所属するアイツがもたらした情報なんだ。もうすでに何らかの動きを見せているのだろう。レースに熱中している間に、何か重大な事が起きていた可能性がある。そう考えると背中に冷たいものが伝うのを感じずにはいられなかった……。


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