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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
205/239

第205話 長かった制裁よ、さらば!!


「オガワ流制裁術ラストワン! シジミ・スペシャル地獄巡り~精一杯の手心を添えて、ニース風~!!」


(ベキバキボキバキビキビチッ!!!!!!!!!!!)


「げぶばべぼっ!!!!!!!??????」



 謎の介入があったものの、シジミちゃんの制裁タイムは順調に続行されていた。トニヤは数回空中に向けてバウンドさせられた後、空中でシジミちゃんによって捉えられ複雑怪奇な関節技の様な物を極められたのであった。


 奴の全身の関節が悲鳴、というか断末魔の叫びを上げているのが手に取るようにわかる! シジミちゃんはその姿勢をしばらく維持した後、少しホールドを緩めながらトニヤを下にして落下を始めるのだった。



「長かった制裁よ、さらば!!」


(ズドーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!)


「ッゲゲゲボッ!!!!!!!???????」



 え? 空中で極めた関節技で最後だと思われたが……まさかのフィニッシュ技が用意されていた! トニヤを下にしつつ頭部が一番最初に地面に付くような体勢を取りながら落下したのだ! 何という恐ろしい技なのか! こんなん絶対絶命するやん! この時点で技名にあった”地獄巡り”の意味するところを理解した。全三工程を経ているからこその地獄巡りだったのだ……。



「終わったわ。これでもう復讐なんて行為に手を染めることはないはず!」


「復讐どころか人生が終わりそうになってるよ……。」


「終わりなんて考えちゃダメ! 前向きに生きなきゃ! 下を向いてるから復讐なんて根暗な行為に手を染めることになるのよ!」


「えぇ……。」


「自分のやってきた暴挙をなかった事にしているでヤンス! 恐ろシッコ……。」



 こ、怖い。これだけの暴挙というかオーバーキルをしでかしたのに、前向きに生きろよ、で締めくくってしまうとは……。出来れば敵に回したくはないな。敵に回すくらいなら、自ら死を選ぶかもしれない! だって十回くらい殺されるようなもんでしょ? 俺だったら無理だわ。絶対、一個目の技で余裕に死ねる自信あるわ。



「というか、タニシ? さっきの乱入は誰がやった事なのか気付いたか?」


「何がでヤンスか? トニヤ君が反撃を急に止めた様にしか見えなかったでヤンしゅよ? あの様子を見ながらひたすらおもらシッコしてたでヤンしゅう。」


「ホラ、あの杭、どこかで見覚えないか?」


「さあ? あっしにはサッパリ……。股間もサッパリしたでヤンしゅう。」



 誰か他に目撃者が、と思いタニシに聞いてみたものの、何も見ていなかったようだ。気付く余裕すらなかったかのような反応だ。じゃあ、他の二人は、と思ったが技の真っ最中だったから、気付いているはずなどない。特にトニヤは気付いていれば、自らの行動を阻止されるはずがないのだ。もちろんシジミちゃんなんて……、



「クンクン……。なにかこの杭、そこの情けないお兄さんと同じニオイがするわね。」


「おっ? さすが! 名探偵シジミちゃんかな?」


「正確には、持っている装備と同じニオイが付いているわ。つまり、この二つは同じ場所で作られた可能性があるわ!」


「何だって!?」



 銀色仮面のデバイスとあの”杭”は同じ場所で作られた可能性があると? あの杭を使ったのは掃除屋さんサイドと同じ陣営……の可能性もあるが、そんなことするような奴がいるとは思えない。では”あの男”だったなら、どうか?


 奴の装備は義手・武器を含めて工房(ファクトリー)製だと聞いた。同じ装備、フェイタル・ギアの使い手? そうなると持ち主は二人に絞られてくるが、片方はトニヤの邪魔をするのは不自然に感じる。どちらかと言うと俺を直接狙い撃ちしてくるだろうからな。そうなるとやはり……”あの男”の介入か?



「どうしたの? 勇者さん? そんなに私を助けた人のことが気になる?」


「うーん? 気にはなるけど、生きているとは思えんし、なんで見ず知らずのシジミちゃんをどうして助けたのかが気になる。」


「きっと素敵な感性の持ち主なのよ。私のような才気あふれる美少女を助けるなんて見る目あるわ!」


「姉ちゃんみたいな暴君を助けるような人なんているはずなにでヤンしゅ!」


「あぁ? 今なんつった?」


「何でもないでヤンしゅう……。」



 やったのが”あの男”だったとしても謎が残る。なぜシジミちゃんを助けたんだ? 俺の知るアイツならやりそうな事じゃないんだ。俺と彼女の関係すら知らないはずなのに。助けるのだとしたら? 俺の仲間を助けるのだとしたら……このレースの一部始終を見ていたということにならないか? しかし、生きていたと考えるには絶望的な状況だったし、どうして俺の前に姿を現さないんだ……?



「出てこいよ! いるんだったら返事をしてくれ、ブレンダン!!!」



 俺の声だけがむなしくその場に木霊した。誰も姿を現さない。どこからともなく、あのふてぶてしい態度で大柄な体を揺らしながら現れてくれることを期待したが、その望みは叶えられなかった。ただ、どこかで見守ってくれていて、俺の仲間を助けてくれた。会えないのは残念だが精一杯の感謝をしたい。次に会ったときには何か礼をしなきゃいけないな……。

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