第204話 大暴れ! ノウザンウェルの狂犬!?
「オガワ流制裁術その二! 地獄悶絶固め!!」
(グキ、ゴキ、バキ、ベキ!!!!)
「ぎぃにゃあああっ!!!!????」
ノウザンウェルの狂犬こと女番長シジミちゃんの地獄の制裁が始まった! 全体重をかけた疾風の両足飛び蹴りに続いて今度は打って変わって、ダウンしたままのトニヤに合わせてグラウンドに移行した。
相手の手足を複雑に絡めて固定した上で締め上げる! 首、腕、足の三ヶ所を同時に極めるという恐ろしい技だ! こんな技をかけるからにはかけて側の相当なセンスとバランス力が要求されるが、シジミちゃんは難なくそれを見事に極めているのだ!
「ちょ! やめろ! 俺を殺す気か! 調子に乗ってんじゃねえぞ!!」
「は? 何を言っているのかしら? 死ぬくらいで……済むとお思い?」
(ガキ、ギギ、グギ、ゲギ、ゴギ!!!!!!)
「げろぶしゃーー、あっ!!!!????」
「ダメでヤンす! トニヤ君はもう……存在すらなかった事にされてしまうでヤンしゅう!! 姉ちゃんの死のコースからは誰にも逃げられないんでヤンス!」
まだトニヤも悪態をつけるくらいの気力は残っていたようだが、かえってそれが命取りになった……。まるで雑巾に含まれた水を徹底的に絞りきるが如く、更に強く締め上げられるのだった。
このままでは確実に命が危ないがシジミちゃんはその程度で済ますつもりはない様子。さっきの制裁術の流れからすれば、あと8つ程段階が用意されているはずなのだ……。
「まだまだくたばる段階じゃないわよ! そぉれ!!!」
(バイーーーン!!!!)
「と、跳んだ!! なんてジャンプ力だ!!」
「ああーっ!? 普通ならこの段階でみんな事切れることの多い、序盤の強技のセットアップに入ったでヤンしゅう!!」
「オガワ流制裁術その三! 垂直落下式アトミックスマーーーッシュ!!!!!」
(ズドーーーーーーーン!!!!!!!)
「げぼぶるしゃあーーーーっ!!!!!?????」
仰向けに倒れ、既にグロッキー状態のトニヤに追い討ちをかけるように第三の制裁が加えられた! 空高くジャンプしたかと思ったら、そのままの勢いでトニヤの腹部目掛けて両足で落下した! これはエグい! 最初のキックのアッパーバージョンじゃないか! ただでさえ強いあのキックを落下で更に威力を高めている。しかも無防備な土手っ腹を狙っての一撃……。これは死ぬわ。
「まだまだこんなの地獄の三丁目よ。この段階で情けない悲鳴を上げてるようじゃ、先が思いやられるわね!」
「ごへ! ち、ちくしょうめ!」
「オガワ流制裁術その四! 生娘式ブドウ圧搾絞り!!」
(※ボストンクラブ)
「ぶ、ぶしゅううっ!!??」
「オガワ流制裁術その五! ネック・ハーベスト・スペシャル!!」
(※ギロチンドロップ)
「ギンッ!!!???」
「オガワ流制裁術その六! 小麦・大麦石臼引き絞り!!」
(※スピニング・トーホールド)
「じじじじっ!!!!????」
「オガワ流制裁術その七! ココナッツ・ダイナマイト・シュート!!」
(※サッカーボールキック)
「ゴンッッ!!!!????」
「オガワ流制裁術その八! 搾りたて・椰子の実ジュース絞り!!」
(※チョーク・スリーパー・ホールド)
「……んぐっ、きゅうっ!!!!!?????」
「オガワ流制裁術その九! 滅多打ちミートハンマー・スマッシュ!!」
(※|パウンド《馬乗り状態でパンチ連打》)
「……。」
シジミちゃんの怒涛の攻撃は雨あられのように続いた。強烈な技のオンパレードで、しかも打撃技と固め技を交互に極めている。確実に緩急をつけて全身にくまなくダメージを負わせているような印象。
途中から麦やらブドウやら食材とかを連想させる名称ばかりだった……。絞って、引いて、割って、苅って。まるで相手の命を収穫するかの如く、繰り出されていったのである。もうトニヤは声すら上げなくなってしまった。……というか、まだあと一個残ってるよね?
「とうとう最後の仕上げを残すだけになったわね? 覚悟はいいかしら?」
「……。」
「あらあら情けない。気を失っちゃってるのね? でも、死んだフリかもしれないから容赦なく……いくわよ!!」
(ばぁんっ!!!!!)
シジミちゃんはラストの極め技のセットアップに入った。トニヤを両足で真上に蹴りあげ、落ちてきた所をブリッジの体勢で再び打ち上げる。それを何度も繰り返した。完全にトニヤは止めを刺されるだけと思っていたら……急に目を覚ましたかのように動き出し、腰の後ろに隠してあった物を下にいるシジミちゃんに向けて構えた! アレは破壊の術式のデバイスだ!
「シジミちゃん! 逃げろぉ!!」
「待っていたぜ、この瞬間を! 消えちまい……、」
(ズガンッ!!!!!!)
デバイスから破壊の術式が発動されようとしたとき、トニヤの手元からデバイスが消え失せた。トニヤはそのままシジミちゃんの技を食らい続ける羽目になったのだが、一体何が起きたのかわからなかった。しかし、彼らの後ろにある木に奇妙なものが打ち付けられている事に気付いた。なにか杭の様な物がデバイスを横から貫き釘付けにしていたのだった。
「あ、あれは!? ま、まさか……!?」
何者が投げつけたのか、若しくは打ち出したのか、それを確かめようと周囲を見渡すが誰もいない。近くの木々に誰かが潜んでいるかもしれないが、気配が感じられない。一瞬だけ何か懐かしい気配がしたような気がしたが、その気配は完全に消えている。しかも、あの杭……。アレの持ち主といえば、あの男しか考えられないが、アイツはもうこの世にはいないはず……?




