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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
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第199話 全部跡形もなくなりました……。


「跡形もなくなった……な。」


「パーサー・ナックスさんまで殉職してしまったでヤンスぅ!?」



 極大の閃光は何もかも飲み込んで更地にしてしまった。スレイブは跡形もなく消えた。それに巻き込まれる形で三チームのカラクリまで消えてなくなった。俺らのオリッツォンテ号やインペラトール号は原型は留めているものの、衝撃波で吹き飛ばされ転がり回された挙げ句に使い物にならなくされてしまった様だ。これじゃレースどころの話ではない。



「なんという威力……。破壊の術式を凌駕する物がこの世に存在していたとは……。」


「何でだ? 俺たちの所属する工房(ファクトリー)が世界最先端じゃなかったのかよ……。ありえねぇ……。」



 破壊の術式を操る銀仮面やその相棒トニヤですら途方にくれていた。今回は広範囲攻撃用のナンチャラ・バスターとかいう物を持ち出してきていたようだが、それすらも上回る威力を目にしてしまい戦意喪失してしまったのだろう。


 技術の粋を集めて開発されてきたものが一瞬にして、全否定されたような物だ。自分達よりも更に高度な技術を持った存在がいるとわかってしまった以上、今後の活動の指針を見失ってしまうのも無理はない。



「通常なら物理的な破壊だけで済むはずなんじゃが……結界すら吹き飛ばしてしまったようじゃ。」


「アレって、”絶空八刃”じゃないと倒せなかったハズなんだろ? 敵はただ吹き飛ばされただけでまだ無事な可能性は……?」


「無いのう。妾の魔力探知に反応はない。あれほど強く立ち込めていた闇の魔力……それが綺麗さっぱりかき消されておるわ。そなたの奥義すら凌駕していると言わざるを得んのう。」


「俺の奥義以上、破壊の術式以上だっていうのか……アレは……。」



 魔法で作られた異空間や結界なんてものは通常、破壊なんて出来ないのだそうだ。こういう類いの物を解除するには、その起点となる触媒、魔力を維持するための設備を壊したりしない限りは無理なんだそうだ。


 あの奥義はその法則を完全に無視して破壊できるのだから、世間では前代未聞とされている。それを可能とする方法がまた一つ現れたのだから、さらに常識がひっくり返ってしまったのだといえる。



「あ、ああ……。」


「どうした? 大丈夫か?」


「これは一体? 一体何が起きたっていうんだい?」


「お前……憶えてないのか?」


「おいらは気を失っていたんじゃないのかい? あの悪魔に身動きを取れなくされてから、いつの間にか意識が失くなっていたんだ。気が付いたら、こんな事になっていた……。」



 ウィンダムはあの一撃を放ったあと、ずっとそのまま立ち尽くした状態で固まっていた。しかし、あの鬼神のような気配は完全に消え去っており、元の勇者2号に戻っている。受け答えの様子からしてもやはり、さっきとは別人のように変貌している。あの閃光と共に禍々しい性格まで吹き飛んでしまったかのようだ。



「聞いて驚くと思うが、これは全部お前のやったことなんだ。」


「そ、そんなはず……!?」


「実際にはお前の知らない、お前自身が引き起こした事実なんだ。みんな見ていた。嘘じゃない。」


「おいらの知らない自分……?」


「別人みたいだったぞ。”おいら”じゃなくて”俺”って自分のことを言ってたからな。その武器の名前とか、聞いたことの無い流派の技まで使っていた。これは全部本当の事なんだ。」


「う……ああ!?」



 ウィンダムはこれまでの間に引き起こした事象を受け入れられないでいるようだ。自分がしたこととして許容できない。まるでそんな感じだ。そのギャップにひどく苦しんでいるようで頭を抱えて、顔をしかめて心の苦しみにうちひしがれているようだった。心苦しいが、記憶を取り戻すことや正体を明らかにするためには仕方の無いことだと思って、真実を話したのだ。



「この武器……スクリーマーについて何か憶えていることは?」


「わ、わからない! うう……! 頭が!?」


「それくらいにしておいてやれ。」


「グレート……?」



 俺は武器の名前を聞けば何か思い出すんじゃないかと思ったら……頭痛を訴え苦しみ始めた。これはいつも発症する現象だ。普段でも何か記憶の核心に迫ろうとしたときに必ず同様のことが起きていた。うっすらと記憶はあるようだが、細かい部分を思い出そうとするとこうなってしまうのだ。これを見かねたグレートに制止されてしまった。



「無理に記憶を引き出そうとすれば、精神が崩壊してしまいかねない。この男の心には何らかの制限(ブロック)がかけられているように思う。」


「なんだそれ?」


「この男……なんらかのトラウマを心に持っている。記憶を失った原因はそこにあるのかもしれん。もしくは精神操作を受け、本人の意思で記憶を探れないようにされているようにも思える。」


「一体誰がそんなことを……?」


「知っているとも言えるが、知らないとも言える。」


「それじゃ、知らないって言ってるようなもんじゃないか!」


「これ以上はノーコメントだ。この先の事に影響する故にな……。」


「なんだよそれ!」



 グレートはこれ以上詮索するのはやめろと言う。意味がわからない。確かにウィンダムの体を気遣っているというのならそれは正解かもしれない。しかし、なんだ? なんか精神を操られてるだの、トラウマがあるだの何か知っているかのような思わせ振りな発言をしやがって! だいたい、この男自体も正体不明なことには変わりがないんだ。勇者三人のうち二人が出自不明の謎の人物ってどういう事なんだよ……。

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