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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
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第184話 当たらなければ、どうということはない!


「フハハ! 二人がかりとはいえ私に敵う程ではない。状況は依然として変わっていないのだよ!」


「こんな馬人形なんかに!」



 苦戦するシャンリンにプリメーラが加勢したのは良かったが、まだ一方的に押されている。二人が連携して攻めはするが、槍の一閃でまとめて薙ぎ払われてしまう。そして素早い突きの連続で、押し戻されるという流れの繰り返しだった。最早、完全に遊ばれている。スレイブはこの期に及んで、わざと手を緩めているのだ。



「そんな攻撃で十分か? 貴様らの最大の奥義を使わねば勝てぬのではないかな?」


「舐めんなぁ! 私らの力見せてやる! リンシャン、あの技使うよ!」


「了解!」



 二人は剣を逆手に持ち、それぞれ左右対称になるように剣を振りかぶった状態で並んだ。奥義とはあの合撃の事で間違いなかろう。剣からは炎の魔術が迸り、剣を一際大きく見せるほどの魔力量を使用している。出来るだけありったけの力を以て、スレイブに立ち向かおうとしている。これくらいの勢いでなければ相手に敵わないと判断したのだろう。



「くらえ! フェニックス・イレイザー!!!!」


魔力付加(エンチャント)と勇者の一撃の組み合わせか! 面白い!!」



 奥義を目の前にしてもスレイブは平然としている。それどころか面白がり、技の性質を分析している。プリメーラ達の放った火の鳥は敵を焼き尽くそうと勢い良く向かっていく……が、途中でその勢いは止まった。それどころか、その形を歪め徐々に減衰していくではないか! 良く見ればスレイブは自分の前方に電光の障壁を張り巡らしているではないか!



「ええっ!? なんで!? 私たちの技が!?」


「火の鳥さんが消えてしまったアル!」


「ハハハ! 知らなかったのか? 炎は電光の力場を展開すれば弱まるのだよ。あくまで相手が炎だった時に限定されるがな。運のない奴等よ。貴様らが炎以外の属性に長けていれば、私まで技が到達していたかもしれんのにな!」



 スレイブは得意気に言いながら勝ち誇る。ついでに妾にもチラリと目配せをしてきている! これは妾の魔術であっても通用しないとアピールしているのだろう。確かに近年、魔術学院の論文にもあったことを思い出したわ。電光の力場は炎を退ける力があると。これを新たに消火の魔導器に応用する研究も行われているのだ。(※脚注参照)



「最大の奥義も形無しと言ったところだな。光の闘気と組み合わせることによって、我々魔族にも通用すると思ったのであろうが、徒労に終わったな! 私が黒雷の使い手でなければ多少は打開できたであろうに。」


「そんなのずるいよ!!」


「迂闊だったアル……。雷の使い手に炎が効かないなんて知らなかったアルよ。」



 知らなくて当然じゃ……。師である妾とて失念していた程の事象じゃ。この世の魔術師の中でも知っている者はごくわずかであろう。近年実証されたばかりの知識を、最近魔術を習い始めた小娘達が知り得るはずがない。応用技術は基礎を習得してからこそ役に立つのだ。こればっかりは妾の手落ちだったという他ない。気付いておれば無駄撃ちを防げたものを。口惜しいわ!



「……破壊(デストラクション)!!」


(ズドン!!)


「ぬう!?」


破壊(デストラクション)!! 破壊(デストラクション)!! 破壊(デストラクション)!!」


「ふっ、はっ、ぬん!!」



 弟子達が途方にくれていたその時、得意気に勝ち誇る魔神を攻撃するものがいた。破壊の術式……掃除屋が隙を狙って攻撃し始めたのだ。ほぼ背後という位置からの攻撃にも関わらず、スレイブはまるで矢をかわすようにスルリと器用に切り抜けて見せた。連射しようが変わりがない。いとも簡単に察知しかわしているのだ!



「私の破壊の術式ならば、炎が効かぬ貴様であっても損壊は免れない!」


「はっはっは! 通常の魔術は私には効かぬ。ならば極大の破壊の魔力なら、と言いたいのだな?」


「この術式の前では防護障壁であっても効果はない! 魔族であってもたちまち消滅するのみだ!」


「そうだとも。魔術返しといった例外はあるが、我らであっても倒せるであろうな。だが……、」


「なんだ! はっきり言え!」


「……当たらなければ、どうということはない!!」


「抜かせ!!」



 掃除屋の銀スーツの娘は魔導器を相手に向けて矢継ぎ早に術式を放ち続けた。だが、スレイブには一向に当たる気配はなかった。事前に察知しているかのように先読みでかわしている。そう、これは魔族でなくとも可能な回避動作である。ある程度の実力を持った魔術師なら誰でもできることなのだ……。



「なぜかわされるのか、教えてあげようか?」


「だまれ!」


「威力はある。だが、その反面、使用する魔力は膨大だ。そう、膨大だからこそ丸わかりなのだよ! 特に我々魔族は魔力の流れに敏感なものでね。それが手に取るようにわかるんだよ! どの向き、どれくらいの範囲で放出されるのかといった事も瞬時にわかる!」



 魔族は他の種族と違い、活動のほとんどを魔力によって行っている。だからこそ筋力や体力といった要素で並外れた能力を持ち得るのだ。精霊魔術を使えないという欠点はあるが、魔術の扱いにも長けているから達の悪い種族だといえるのだ。腕力でも魔力でも、大抵の種族など相手にならぬ程強いのだ……。


(※現実でも電場で消火出来ることは実証されています。ハーバード大のルドビゴ・カデマルティリ氏によって。電気の魔法の杖と呼ばれているそうです。)


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