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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
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第182話 漆黒の雷覇槍


(ガギィィィィン!!!!)


「そういえば貴様だったか? バイアリーを倒したのは!」


「決して私一人で勝てる相手ではなかったアル! あなたはあの人よりもっと強いアルね!」



 シャンリンの剣の一閃がカラクリ騎士の盾によって容易くブロックされた! 最早レース等続けられる様相ではなくなったため、完全に三チームとも進行を止め戦闘状態へと突入した。先陣を切ったのはシャンリン。そうせざるを得ないと判断したのであろう。


 他はまともに戦闘に移れる体勢ではなかったのだ。プリメーラは電撃のダメージが残っておるし、掃除屋共も金色の小僧の介抱に追われておる。本人もたった一人で勝てるとは思っておらぬ。あくまで体勢を立て直すための時間稼ぎを買って出たのじゃ。



「あ~、しびしび! まだ痺れが抜けきらないよぉ!」


「ホレ! しっかりせんか! 腹の傷を直したときのように治癒魔法を使うのじゃ! はようせんとシャンリンの身に危険が及ぶぞ!」



 いつまでも攻撃をくらったままで怠けているプリメーラに渇を入れてやった。対したダメージを受けぬ程に手加減された電撃であったというのに、いつまでも回復しようとしなかったからだ。


 今となっては自分で回復できるというのにこの体たらく! シャンリンが甘やかすから、それに甘えるという体質が日頃から染み付いてしまっている。シャンリンも出来た娘じゃが、かえって毒となってしまっておる。今後は二人の処遇をもう少し考えねばなるまい。



「その年で二刀流を使いこなすとは対したものだが、私の攻撃を凌ぐのには少し心もとないな。」


「あなたは武器を持っていない! 素手で2本の剣を防ぐのは無理アルよ!」


「武器か? 出して欲しいか? 今は様子見のサービスタイムをくれてやっているのに、急かされたのであれば仕方あるまい。我が武器をとくと見よ!」



 スレイブ・ニィルの傀儡を名乗るカラクリ騎士はシャンリンとの間合いを離し、右腕を天に向かって掲げて見せた。すると周囲が暗くなり、上空には漆黒の雷雲が漂い始めた。あれは本来の雷雲とは違う。雷の精霊の気配を感じぬ代わりにどす黒い気配が濃厚となるばかりなのだ。間違いなくダーク・フォースによって再現されたまやかしの雷雲に違いないであろう。上級魔族は闇の魔力によって擬似的に精霊魔術を再現するのだ。



「出よ、漆黒の雷覇槍ガンゴニール・スピアー!!!」


(ガガァァァァァァン!!!!!!!!!!!)


「雷を自分に落としたぁ! 自滅してんじゃん!」


「たわけ! よく見るのじゃ! 奴の手元に槍が形成されていっておる!!」



 プリメーラは自滅と勘違いしておるが、スレイブは暗黒の雷を自らの利き腕に落としその魔力を凝縮していっている。次第に槍の姿に変わっていき、その姿を物質化してもいる。実体化させるほどの魔力量を有しているのだ。その強度、威力は計り知れないものがあると、見ただけでも震えが来るほどの威圧感を放っている。これが……古来の戦士達を多数屠ったとされる黒雷の槍!



「もう後戻りは出来ぬぞ。貴様らは一人残さずこの槍によって貫かれ、消し炭と化すであろう。」


「そう簡単にはやらせないアル!」


「バイアリーを破りしその力、存分に見せてみよ!」



 シャンリンは意を決してスレイブに斬りかかっていく。電光石火とも言えるその動きだったが、スレイブはそれ以上の早さでシャンリンの一撃を制した。先に仕掛けたのは小娘の方だというのに、スレイブが逆に先制する形となるほどであった。シャンリンは二本の剣を交差させそれを防ぐが相手の力があまりにも強いためか、支えるだけでも精一杯という有り様だった。



「やはり、そんな華奢な体つきでは私の攻撃を凌ぐのは辛かろう。如何に技術が優れていようと、膂力が足りねば相手に押し切られてしまうであろう。それが定命の者の限界よ。」


「そんなお人形の力を借りて言うことではないネ! あなた自身がここにやって来ていたら違う結果になったアルよ!」


「何を勘違いしているのかな? 傀儡の姿であるから、貴様との勝負が辛うじて成り立っているのである。私本体が相手をすれば貴様は瞬時に命を落とすであろう。」



 スレイブが傀儡を通して語っているように、奴自身がこの場に来ていればこの場にいる全ての者は瞬時に葬り去られるであろう。例え妾が本来の姿に化身したとしても、結果は変わらない。竜族の力を以てしても対抗するのは難しい。竜の防護鱗(ドラゴンスケイル)であっても完全に防ぎきれない。それほどまでに闇の魔力の効果は絶大なのだ。



「これで貴様も我ら魔族の力を思い知ったであろう? 恐怖に震えながら死んでいくが良い。それ!」


「うあっ!?」


「リンシャンをやらせてたまるかぁ!!」


(ガインッ!!!!!)



 スレイブは力任せにシャンリンの体勢を押し崩し必殺の突きを入れようとした。その時、間一髪でプリメーラが剣を閃かせ割って入った。もたもたしている間にシャンリンの命を奪われるか、とも思っていたが肝心なところでバカ娘は奮起したようじゃな。これでなんとか持ちこたえられるか? 後方から本命のロア達がやって来るまで……。


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