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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
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第104話 ※本来の用途以外でのご使用はお止めください。


「ふーむ。こりゃ、ヒドイな。これをこんな風に使うなんて発想をするヤツがいるとは思わなんだ。」



 耐魔コーティング材の吹き付けられた棍棒を見て、最初に親方が発した言葉がそれだった。やはり本来の用途での使用であったためか、技術者としても何か思うところがあるようだ。自分が作った物が犯罪に使われたような感覚なのだろう。


 しかも教団が、である。世間的な目で見れば、悪いのはこちら側ということになってしまうが、作り手にため息をつかせてしまうというのも中々なもんだと思う。



「こんな使い方をするとは……。相手に向けて吹き付けるような使い方なんて想定してない。これはあらかじめ塗布して腐食を防いだりするのに使うもんだ。」



 聞いたところによると、コーティング材っていうのは”耐魔”のものだけじゃないらしい。元々は錆止めから始まり、耐熱、防水、傷防止等のコーティング塗料を開発しているらしい。その用途も義手・義足用と考えると納得がいく。どんな環境でも使用できるようなもの作りをしているのだろう。その姿勢には使い手のことを思いやっている姿勢が感じられる。



「これを考えたヤツが言ってたよ。毒に対してのアンチテーゼみたいなもんだと。これはオレにとって毒みたいな役割をするのは事実だしな。」


「ハハ、坊さんが何言ってんだよ、って話だな。お前らも敵対相手になりふり構わず毒を使っているようなもんだしな。」



 タンブルが棍棒を汚された時の話をした。正体をぼかして言ったため神官が行った行為と勘違いしたようだ。実際は元勇者が考えたんだよなぁ。元勇者が発想の転換で兵器としての使用を考えた。相手が魔王だからといっても許されるようなものでもないだろう。そんなことをし始めたら、悪辣な魔族達と変わらない。商売目的のフリーの傭兵とかならわかるが、宗教団体が使う手段としては悪辣過ぎると思う。俺だってそんな真似しようとは思わない。



「こりゃ、教団との取引停止も考えなきゃいかんな。こんな悪用されちまったら、わしらの評判までガタ落ちになっちまうよ。あくまで世の中のために開発したものだしな。悪用なんてされたらたまったもんじゃねえ。」


「止めとけよ、おやっさん。教団との取引停止なんて悪手だぜ。それをいいことに吊し上げの対象にされかねないぜ。それが教団、特に審問会とテンプル騎士団のやり口だからな。」


「ああ、お前の言うことはもっともだ。わしも今の立場くらいはわきまえてる。昔一人でやってた頃なら即断してたんだがな。今の大所帯じゃ、そんなこともできねえとはな。悔しいもんだぜ。」



 親方の心境的にはコーティング材の提供を停止したいと思っているようだ。でも、今は立場上、それはできないということも理解しているみたいだ。会社を持っているということは社員を養っている。大口顧客を切ったら、とんでもない大損になるだろう。それじゃ会社も維持ができなくなる可能性もある。それにイツキが言うようなケースも十分あり得る。



「で、おやっさん、コーティング材は落とせそうか?」


「可能は可能だろうが、きれいさっぱり落としきるにはいくらか時間がかかるぞ。」


「どのくらいだ?」


「軽く二週間ほどはかかるかもしれん。希釈液に浸け込んだ後に、ブラシとかで磨いてやる必要があるだろうな。そもそも、後から剥がすようには作ってねえから、手間のかかる作業になる。」


「しばらくはオレも休業だな……。」



 タンブル少々しょんぼりした顔でため息を付いた。たしかにこれはデーモン・コアそのものなので、心臓をまるごと洗濯に出したようなもんだ。これじゃ魔王だって休業せざるを得なくなる。俺の立場なら額冠や剣を修理に出すようなもん。あ、でも、なしで戦う羽目になるのはいつものことだったな。勇者に休業はないのだ……。



「しばらくは滞在することになりそうだな。この町まで追手が来なければいいが……。」


「じゃあ、タンブルのはこれで決定ってことなら、今度はこっちをお願いしたいんですけど?」


「ん? ああ、勇者の方からも依頼があるのか? どれ、見せてみな。」



 ウィンダムを手招きで呼び寄せ、親方の側まで来させた。いつもウィンダムは例の武器をベルトで肩に下げて持ち運んでいるので、それを作業台の上に下ろすように指示した。相変わらず重々しく武骨な外観をしていると感じる。持っているだけで肩がこりそうな武器だな。



「なんだこれは? これは……武器なのか?」


「うん、まあ、武器ではあるみたいなんすよ。こいつが槍みたいに使ったりしてるんです。」


「これが……武器か? いったいどんな技術でつくったのか、わしでも想像がつかんぞ。」


「おやっさんでもわからないのかよ!」



 直前まで見ていた物もかなりのレア品だと思うのだが、こっちは更にぶっとんだ存在なようだ。最先端技術を開発している親方でも初めて見たと言わしめる程の謎の一品。今はただ、槍として使っているとだけ説明したが、コイツの潜在能力の件まで話したらもっと困惑するかもしれない。果たして、この武器の出自は判明するんだろうか?

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