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【第4部】勇者参上!!~勇者マストダイ! 不適格勇者を直ちに排除せよ!!~  作者: Bonzaebon
第2章 勇者マストダイ!!【誕生、勇者2号! ……逃亡中だけど。】
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第103話 肉体言語で語り合う者達


「これで俺を捕えられると思ったか!」



 イツキは後ろからドワーフらしき男から完全に技で捕えられてしまった。しかし、イツキはすぐに逃れる動きを見せ、急に重心を落として膝を曲げてしゃがみこむ姿勢をとった。同時に両腕を高く伸ばして、拘束を緩める事に成功し、そのまま一気に脱出を図った。ただ逃れるだけと思ったら、同時に相手の片腕を取り肘を折り曲げ固定する形へ持っていった。これは関節技だ!



「フン、多少は腕を上げたようだな!」



 ドワーフはイツキの技をそのまま自分も互いにかけるような形に持っていき、呻き声を上げたイツキから脱出した。そこからまだ続くのかと思いきや、今度は動かずに腕組した状態でイツキと向き合う姿勢をとった。挨拶代わりの技の応酬はこれで終わりのようだ。



「でも、まだまだ甘いな。同じ技で返されるって想定をしてないようじゃ、まだまだ甘ちゃんよ。」


「うるせえ! どこにもアンタみたいなレスリング野郎がいるわけじゃねんだ。このレスリングバカが!」



 イツキと対面する形になってようやく、ドワーフ男の姿をハッキリ見ることができるようになった。典型的なドワーフ体型ではあるが、少し身長は高めに感じる。しかも、広野の巨岩を思わせる筋肉の付き方をしており、見るからに強そうな外見をしていた。工場の作業服装ではあるが、右足に金属の靴?を履いているのがわかった。作業のための防護目的だろうか?



「ちょっと、ちょっと、おじさん! いきなり格闘技の試合なんてよしてほしいんだけど? これを見に来た訳じゃなんだから!」


「すまんな、お嬢。つい、弟子が帰ってきやがったから、久しぶりに遊びたくなっちまったんだ。」


「やっぱ、おじさんて事はつまり……?」


「そうよ。この人がアレキサンダー・アルゲンさん。通称”親方”、またはアレックス社長。この町ではいろんな意味でレジェンドなのよ。」



 昨日からおじさんとかおやっさんって単語しか飛び交ってなかったから、今日になって初めて本名が明らかになった。字面的にものすごく強そうな荘厳すぎる名前だと思った。しかも名前負けしない風格を持っているので、向かい合ったらチビりそうなくらいの迫力がある。



「イツキとお嬢が知り合いだとは思わなかったぞ。いったいどこで知り合った?」


「つい、昨日だよ。私がデモンストレーションをやってたら、商品を買いに来て……、」


「何? アレを買いにか? 食いもんに誘き寄せられたんだか、お嬢の可愛さに誘き寄せられたんだか……。」


「誰がだよ! 俺は別に食い意地張ってねえから!」



 少なくとも、イツキはそうではない。俺も含めた他のメンバーは”アイスクリン”に引き寄せられてしまったと言っても過言ではない。珍しくレンファさんも思わず狐面を速攻で外して興味を示していたくらいなのだ。みんなで仲良く食べたが、イツキだけは食べてなかった。「甘いのは性に合わねえ」とかカッコつけてやがったけど。



「むう? お嬢の方は否定しない訳か? 俺が仲人になってやってもいいぞ?」


「やだもう! おじさんたら!」


「なんでそういう話になるんだよ!」



 ああ、なるほど。共通の知り合いだからこそ二人をくっつけようと思ったのか。シジミちゃんもまんざらではないようで尻尾を振りながらイツキをチラチラ見ている。何だかんだで、イツキはコボルトとしてはイケメンな方らしいし好印象を持っているのだろう。イツキもさっきは気を遣ったのか、”シジミちゃんにおびき寄せられた”件は否定しなかったしな。特に悪くは思ってなのかも?



「お嬢、昨日のはうまくいったらしいな? 今日もやるんだろ? 機材の不調とかはないか?」


「うん、機材は問題なく動いてるよ。それよりも、この人たちが色々見てほしい事があるからここに来たって言ってるけど?」


「イツキの仲間に……もしかして、アンタは勇者か?」


「勇者ロアと言います。シジミちゃんの弟の親友でもあるんですが……、」



 俺自身が勇者であることを強調するよりも、タニシの親友だということにしておいた方がいいかなと思った。そうでもしないとここに辿り着いた理由なんて話せないしな。昨日聞いた話では、親方は昔からタニシのお父さんにお世話になっているらしく、親方からすれば恩人とも言える相手なのだそうだ。最近はシジミちゃんのビジネスにも関わっているようだ。



「ある、と言っても、この場には来てないのか?」


「あの子ったら、私の姿を見た途端に逃げちゃったらしいのよ!」


「ああ? 逃げた?」



 親方も困ったような顔をしている。タニシについても何か知っているのだろう。きっと、どら息子のことで愚痴を聞かされたりしているに違いない。しかも逃げて、この町のどこかに隠れているのだとしたら、探し当てることにも乗り出すかも? 恩人の息子が失踪するのを黙って見ているだけで済ますとは思えない。



「あはは、多分アイツの事だから心配はしなくてもいいと思いますよ? それよりも、イツキの友達が困ってるみたいなんで、そっちを優先してやって下さい。」


「まあ、アンタが言うのなら……。じゃあ見せてみな、わしに見せたい物があるんだろう?」



 すぐにでもお嬢のためにタニシを探しに行きたいんだろうけど、先に用件を済ませてもらおうと思った。例の棍棒に付いた汚れは例え落とす方法があったとしても、すぐには落とせない可能性もある。シミの付いた衣服を洗うのだって大変な作業だからな。棍棒に付いた塗料を落とすのも大変なはずだしね。

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