蠢く種子16
天狼が去ったからと言って、軍の仕事は終わらない。
敵がいなくなったら、負傷兵の手当て、防御施設の点検修理、備品の損耗を確認し、補給の手配。
もちろん、兵達は生き物だから食事や衛生といった日常業務がなくなるわけもない。
「ウェールズ卿が到着した後の襲撃でよかった。大分楽をさせてもらえている」
負傷兵の治療を見守りながら、国王フィリップは傍目には立派に見えるよう背筋を伸ばした立ち姿で、そう安堵を零す。
声にいささか疲れがあるのは、天狼と大立ち回りした後に、今も負傷兵の命を繋ぐために強化魔術をかけ続けていることを思えば当然のことだ。
そんな体調でも、少しでも負傷兵を勇気づけようと、見栄のために立っていられることが、王族の優秀さを物語っている。
「ノア殿からの依頼が後方支援でしたので、それ用の人員を選抜して連れて来ただけですわ。王国宰相の役職に相応しい慧眼の賜物かと」
「ひいては王国宰相を任じていた余の慧眼というわけだ。これまでの行いが正しかったと思い知るのは、気分のよいものだ」
王と臣下として、正しい距離感で会話していると、食事が負傷兵のところまで届くようになった。
メアリの配下が作った、具沢山の鍋料理だ。
治療の他、砦内のこうした炊事や洗濯といった方面も、東部派遣騎士団が引き受けている。おかげで、人員が損耗した砦の戦後業務がなんとか回っている。
「これまでは、こういったことを神等教に頼っていたのでしょうか」
「そういうことだ。天狼の襲撃が増えてから、徐々に徐々に摩耗してこの状況だな」
中々に人員の損耗が深刻になってきているようだ。
もちろん、破綻はまだ先だろうが、日常業務が回らなくなれば兵の士気が下がる。
士気の下がった兵は損耗が増え、どこかで一気に崩れる。
「まあ、今は我がウェールズ家をお頼りください。砦が片付いたら、マクシミリアン殿下が向かった前線の方にも、支援に向かいますので」
「うむ。苦労をかけるが頼む。向こうでも、天狼が陣地を牽制している間に歩兵に渡河されて、揉み合いになっている。負傷兵はこちらより多いだろう」
「承知しています。医薬品と時間の限度を考え、配下に識別救急を命じていますので、最大数の救護ができるでしょう」
「識別救急? 聞き慣れない言葉であるな」
「難しいことではありません。負傷者や病人が大量に発生した場合、処置できる人数は、物質的・時間的・人的に限られます。そのため、怪我や病の程度に応じて分類し、治療の必要のない者と治療をする者を判断するのです」
説明されて、フィリップは頷いて納得を示した。
なんということはない、為政者であれば日常的に行っていることだ。
あちこちから寄せられる陳情要請に対し、限られた予算、限られた兵力をどう振り分けるか。
常に迫ってくる問題に、
「あそこは大したことではないから助けはいらぬ」
「あそこを助けようとすればいくら支援をしても足りぬから切り捨てる」
「その分こことあそこを支援すれば確実に持ち直す」
など、問題の程度に応じた判断を下している。
切り捨てられる者からすれば、たまったものではないだろう。
しかし、切り捨てねば助けられぬモノもある。
フィリップは同業者として、識別救急とやらになにかを言う気はない。
言ったところでどうしようもないことに、忙しい支配者は労力を割きたくないものだ。
軽傷者も業務に復帰し、被害状況の確認も終わった。
通常業務に戻った兵によって、回り始めた砦の状況に、メアリはそろそろ移動の準備を始めようとした。
そこで、メアリの植物的な感覚に、嫌な気配が触れた。
植生がかぶっている相手を見つけ、相手の繁殖を妨害し、絶滅させ、自身の子孫が土壌を独占しようとする植物が発する、殺気。
珍しいものを感じたメアリは、ゆっくりとその気配の方を振り向く。
俊敏な動きをする必要はない。植物の殺意とは、少しずつゆっくりと、しかし長く確実に、根を伸ばすものだから。
毒の滴る根が伸びる先にいたのは、野暮ったい濃紺のローブ姿の少女だ。
メアリと年の頃が変わらないその娘もまた、真っ直ぐにメアリを見ていた。
感情の落ちた無表情は、死神の髑髏面にも似て、避けようがない致命的な関係であることを想像させる。
お互い、生理的に、本能的に、お互いを敵だと認識しているのだ。
メアリが、少女に向かって一歩を進める。
少女もまた、メアリに向かって歩き始める。
まるで、鏡に映った同一人物だ。
しかし、それは互いの所作が否定する。
メアリは艶やかな黒髪をかき上げて堂々と、世の中を嘲笑するような笑みを浮かべ、踏みつけるように行く。
少女は、同じく艶やかな黒髪を揺らさぬようにゆっくりと、胸の前でゆるく手を組み、わずかに目を伏せた淑やかな態度で臨む。
お互いの、それぞれの個性に満ちた歩みが止まったのは、至近距離。
初対面の人物同士にしてはあまりに近すぎて、危険にも見える。その距離で、真っ直ぐに見つめ合いながら、平然とメアリが切り出す。
「私はメアリ・ウェールズよ。あなたの名は?」
「はい。わたくし、世俗の名を捨てておりますが、導師様より名付けを頂き、クランマと名乗っております」
「そう、クランマ。あなたが、神等教の聖女ということかしら」
「はい。導師様より、聖女の洗礼を受けております。あなた様も、ウェールズと申しますと、音に聞く王国西部のウェールズ辺境伯家のお嬢様でいらっしゃいますね」
お互い、初対面の相手の素性について尋ねながらも、断定した口調だった。
当然である。
人間的な、言語による意思疎通によらずとも、両者はすでに十分な情報を、植物的に、相手から読み取っている。
お互いに敵意を感じるのも当然。
植生を同じにするのも当然。
同じ花に実った種子が、土に落ちて別々に育った後、空中で葉を触れ合わせたようなものだ。
メアリ・ウェールズの中に混沌花があるように、聖女クランマの中にも魔法植物が根付いている。
それも、かなりの近縁種に違いない。それがわかるほどの、近い血縁関係がある。
これで確定した。神等教には、結社の離反者が存在する。
メアリはそれを片付けねばならない。
メアリは深窓のお嬢様ではあるが、西部での経験を積んだために、掃除は得意な方である。
****
聖女クランマは、内心を叱るように自身の胸を押さえた。
メアリ・ウェールズと顔を合わせた時、いやその直前から、どうにも自分はおかしかった。
神等教の教えは、他人を自分のように愛せ、である。ところが、メアリの存在を感じ取った瞬間、胸の内に沸き起こったのは敵意だった。
なにか、倒すべき存在がそこにいる。許しがたき存在がそこにいる。
そう感じて視線を向けた先に、メアリ・ウェールズがいたのだ。
よく知りもしない相手にそんなことを思うなんて、聖女と呼ばれる身でなんと罰当たりな。
メアリ・ウェールズは、平等を貴いとする神の教えの敵ではあるが、そんな敵をも平等にすることが聖女たる自分の務めなのだ。
クランマは、胸を押さえながらゆっくりと息を吐く。
目を開くと、周囲には熱心な神等教の信徒である修道女が、クランマの指示を待っている。
「お待たせしました。今日もわたくし達の務めを始めましょう。今回は、ウェールズ家の方々も負傷兵のお世話に当たっています。わたくし達はそのお手伝いです」
ウェールズ家の手に余る者達を、クランマに任せる形になる。
これはメアリからの提案だが、クランマも妥当だと思っている。すでにウェールズ家は治療を始めているのだから、後から来た自分達が下手に前に出ても混乱するだけだろう。
修道女達に説明しても、それは納得を得られた。
「ですが、兵の皆さんは、大丈夫でしょうか? ウェールズ家といえば、血染めだとか恐ろしい噂も聞こえていますが……」
しかし、不安は小声で出て来る。
メアリ・ウェールズが神等教に敵対的だという話は、当然聞こえている。
「それは大丈夫です。少し拝見しましたが、見事な治療を施されているようでしたから。医薬品を多くお持ちのようですから、わたくし達がお世話をするよりも皆さんのためになるでしょう」
「それは、確かにそのようです……」
負傷兵が並べられた中庭では、ウェールズ家による治療が手早く進められている。
元気のいい女性が負傷兵の容態を確かめ、負傷部に薬を塗ったり包帯を巻いたり、口に薬を押し込んでいる者は重傷者なのだろう。
その様子は、聖女達の手元に医薬品が潤沢にあった頃の光景を思い出させる。
「あの調子ならば、皆さん助かることでしょう」
「はい、喜ばしいことです」
修道女達も、ひとまず納得して負傷兵のところへ移動を始める。
クランマもまた、修道女達と一緒に負傷兵の元へ向かいながら、ちらりとメアリ・ウェールズに視線を向ける。
彼女は、全体を見渡す位置で、睥睨する、という表現が相応しい態度で立っている。
自分が手をかけて治療をするつもりは、全くないようだ。
その謙虚さや熱心さの見当たらない態度に、自らも手を汚して治療に当たる聖女クランマは、思うところがある。
一人でも多く手伝った方が良いのではないか。立っているだけでは不誠実ではないか。
やはり、導師様が警戒する通り、ウェールズ家は根本的に不平等を重んじるのだろう。
王侯貴族にありがちな、民の上に立つという傲慢に根差した価値観が、クランマには感じられる。
ならば、神の教えを聞き、導師様から導かれ、大聖女様から力を授かった聖女たる自分が、メアリ・ウェールズに平等のなんたるかを見せねばならない。
クランマは、修道女達の先頭に立って、負傷者達の枕元に膝を突く。
「あぁ、聖女ちゃん、来てくれたんだな……」
青ざめた顔の負傷兵に声をかけられ、微笑んでその手を握る。
「もう大丈夫ですよ。わたくしがついています」
「ああ、ありがてえ……。聖女ちゃんがそばにいるだけで、痛みが引いてくみたいだ」
「お言葉は嬉しいですけど、とっても苦しそうですよ。今、痛み止めをお分けします」
「ああ、頼むよ。死ぬほど痛くてな……」
こうして隣国の敵兵とも微笑みあえるのだから、メアリ・ウェールズとも、ウェールズ家とも、笑い合える時は必ず来る。
だって、メアリ・ウェールズ様も、わたくしと同じく思ってくださっているはずなのだ。
人は皆、平等なのだから、思いも、目的も、同じはずだ。
もし違うなら、それは、人ではない。
腹に巻かれた包帯から血を滲ませている兵に、痛み止めを処方して落ち着かせたクランマは、その傷のひどさに眉尻を下げる。
折れた肋骨が外に飛び出している。
かなりの衝撃を胸部に受けたらしい。この調子では、内臓もどれほど傷ついていることか。
残念ながら、神等教が今保有している医薬品ではとても対応できない。
今も、導師の指導で作られる医薬品は、連合国側から手元に送られ続けているが、その数は怪我人を全員助けるにはどうしても足りない。
昨日までなら、クランマも痛み止めを与えるだけでなにもできなかったが、今日はウェールズ家の人々がいる。
自分達より医薬品をずっと持っているのは間違いない。クランマは、近くで治療をしているウェールズ家の少女に声をかけることに、躊躇いはなかった。
「すみません、ウェールズ家の方。よろしければ、医薬品を分けて頂けませんか?」
「は~い? ん~、ちょっとうちのを分けるのは問題があるんすけど……」
傷口から目を離さないまま、少女――侍女騎士マリエは難色を示すが、それも当然だろう。
自分達が使える医薬品を、初対面の相手が正しく使えるとは限らない。
「そこをなんとか……。わたくし達に渡せないのでしたら、あなた様に治療をお願いしたいのですが」
「う~ん、そうっすねぇ……。ええっと、とりあえず、その患者の症状は?」
「胸部への強い打撃、でしょうか。折れた骨が外に飛び出していまして……」
「あ~……」
容体を聞いたマリエは、顔をしかめて首を横に振った。
「それはちょっと無理っす。そっちでなんとかしてください」
「わたくし達では治療に必要な道具が足りないのです。ですが、ウェールズ家の方々がお持ちのものならば」
クランマが食い下がると、マリエは面倒臭そうに顔を上げた。
「あたし達も、十分以上に物を持ってるわけじゃないんで、あんまり重い怪我の治療までしてられないんすよ。肋骨の開放骨折は、ちょっと無理」
「まさか、見捨てるんですか!」
聖女の悲鳴に似た声は、よく通った。
負傷兵や、その付き添いの兵達の視線が集まるのを感じて、マリエは余計に面倒臭そうに顔をしかめる。
「見捨てるなんて露骨に言わないでくれません? そんだけ面倒な重傷を治す手間と薬があったら、そこそこ面倒な怪我人を三人くらい治せるんで、順番にやってるだけなんですけど?」
「見捨てているのと変わらないではありませんか!」
誤魔化しは許さないと声を荒げる聖女に、マリエは正直者の表情で首を傾げる。
「だから、露骨に言わないでって言ってるんですけど? まんま言ったら、治療の邪魔になるんで、それっぽく言ってるだけですもん」
堂々と言い放ち、マリエは深々と溜息を吐いた。
「お姉さんがあたしらの治療を邪魔するつもりなら、そりゃもう見事に目的を果たしてるんで、もうどっか行ってもらっていいっすか? あたしら、ここの怪我人を片付けたら次は前線陣地の怪我人を見に行かなくちゃいけないんで、余裕ないんすよ。時間も物も」
「わたくし達だってそうでした! でも、誰一人見捨てないために全力で治療して来たんです!」
身を斬って血を吐くような感情を乗せた聖女の言葉に、マリエは、財布を落とした通りすがりの人を見るように、気の毒そうに唸った。
「あ~、だから医薬品とか足りなくなって、助けられる人も助けられなくなってるんだ」
馬鹿じゃないの、とは口にしなかったが、そう思っていることが明白の態度だった。
すでに、聖女クランマの大声のせいで、注目が集まっていた二人のやり取りである。
神等教の修道女達は、聖女という自分達の敬うべき存在をバカにされて表情を変えたし、「聖女ちゃん」を慕う兵達も身を起こした。
怒気をまとった人々に囲まれながら、マリエは治療を続ける。
その手に動揺はなく、表情もひょうひょうとしたものだ。
「ほい、これでお終い。さ、次の治療に行くんで、そこ退いてくんない?」
へらりと笑ったマリエに、人だかりの誰も身を引こうとはしない。
「その前に、聖女ちゃんに謝ってもらおうか。この人はな、お前等が来る前からずっと、俺達を一生懸命になって助けてくれてたんだ」
「そうです、聖女様の言う通りになさい。目の前で苦しむ人を助けるため、全力を尽くそうとは思わないのですか」
兵と修道女の要求に、マリエは特大の溜息で答えた。
「はあ~……ほら、面倒臭いことになった。お姉さんさあ、これで満足? 見事に仕事の邪魔してくれちゃってさあ。ほんっと、やだやだ」
前髪をかきあげ、普段は仲間達に愛嬌を振る舞う顔に、虫を素足で踏みつけたような嫌悪の感情を浮かべて、人だかりを背に見据えて来る聖女を睨み返す。
「感情としてはまあ、わからんくもないけど、ちょっとは頭使って欲しいもんだわ。メアリお嬢様じゃないけど、あたしもこういうのは、好みじゃないな」
「わたくしも……いえ、神様も、傷ついた人を見捨てるような振る舞いは好まれません」
「へえ、神様に嫌われるとは、貧乏農家の生まれのあたしも偉くなったもんだわ」
神の教えを説く聖女を鼻で笑って、自分を囲むマリエは人だかりを見渡す。
「もういっぺんだけ言うけど、さっさと退いて。あたしらは治療の仕事をしてんの。これはメアリ・ウェールズ様が、ここの指揮官から頼まれてやっていることなんだけどさ。わかる?」
「治療をしてりゃなんでも許されると思うなよ、テメエ! 聖女ちゃんの話じゃ、仲間を見捨てやがったくせに!」
声を荒げて一歩前に出て来た兵――彼自身、額や肩にまだ治療されていない怪我がある兵を、マリエは指さした。
「あ~、わっかんなかったか~。仕方ないね、頭空っぽだもんね、いわゆる馬鹿だもんね」
ごめんね、とマリエは笑った。
「それはあたしも治せないわ」
その笑顔の先で、兵の頭に薔薇の槍が突き刺さった。
なにが起こったのか。
メアリ・ウェールズの配下には明白である。
ここは戦場で、男は兵士、指揮官の命を受けた任務を遂行する人間の邪魔すれば、適応されるのは抗命罪である。
だから、マリエは「もういっぺんだけ」言ったのだ。
自分達は仕事をしていて、その仕事は戦場の指揮官である国王から受けたものであると。
その宣告を受けたにも関わらず、マリエの道を空けなかった。
そうしたらもう、我慢できるはずがないのだ。
血染めの悪名を持つ、彼女達が崇拝する主人が、自分の配下を邪魔しようなどという舐めた輩を、見逃すはずがない。
「よろしい。貴様等が軍命に背いたことを確認した。貴族として、ウェールズ家東部派遣騎士団の団長として、速やかに処刑してあげましょう」
愉悦を含んだ声と共に、メアリが歩み出る。
マリエよりも一歩前へ、頬に返り血が一筋ついた聖女の前へ。
「あなたは、なんと非道なことを……!」
「これはあなたがしたことでしょう? 部外者が、軍の命令に従っている兵を扇動して、軍の行動を妨害した。これを見過ごしては、軍の規律が保てない。わたしはあなたが起こした状況に、必要な対処をしただけよ」
過去形のメアリの言い方に、クランマは咄嗟に後ろに駆け出した。
一番身近にいる兵の前に、立ちはだかろうとしたのだ。
しかし、それは無駄だった。
薔薇の槍は雨のように上空から降り注ぐ。
メアリ・ウェールズの指示の下、集結していた薔薇騎士による整然とした、正確無比な一斉射撃だ。
結果は串刺し。
聖女の声に立ち上がり、メアリ・ウェールズ配下の軍務を邪魔した兵は一瞬で処刑された。
ついでに、助けようのない負傷兵にも槍が刺さったようだが、聖女の煽動に乗っていたことにして、メアリが処理した。
これで、仕事の邪魔をする要素が減り、治療が間に合う負傷者が増える。
「よかったわね」
メアリは微笑む。
初対面の時と同じく、無表情に敵を睨んでくる聖女に、その幸運を言祝ぎながら。
「あなたの起こした騒ぎのおかげで、医薬品の消耗が抑えられそうよ。見事な手並みだと感心するわ」
全てあなたのおかげ。
全ておまえのせい。
そのように褒めそやして、メアリは背を向ける。
浮いた時間と物資の分で、他に助けられる者を助けに行くのだ。
聖女クランマは、その背に向かって、おもむろに手を組んで、祈りの所作を取った。
――ああ、どうか。いつかわたくし達と平等になってくださいますように。





