13話 付与
「連れてきましたよ!ジョーシ!」
テイダさんは興奮した顔で走ってくる。
おっとりした顔とは大違いだ...
「はい。私がテイダの上司であります、ジョーシです。」
...ん?じょーしのじょーし?
え、上司の名前ってジョーシなの!?
「えっと、ジョーシさん...?」
「はい、私がこのギルドの最高責任者を勤めさせていただいております、ジョーシです。」
連れてこられたジョーシさんはいかにも戦闘経験者って体つきをした人だった。
顔にはでかい傷があり、思わず「どこの組の方ですか...?」と聞き返したくなる。
もちろん、下っ端の雑魚のチンピラですという感じではなく威厳のある顔だ。
その顔でにこやかに返される。言葉も七三分けしてメガネかけた真面目なサラリーマンのような口調で話しかけてくる。
なにか闇というか奥がありそうですごく怖い。
「ワイルドオークはですね、非常に倒すのが困難生物になっております。一人で倒すことは不可能でしょう。どなたと倒したのですか?」
「一人で...」
「嘘をつかないでくださいね」
「嘘はついてない...です。あ、ちょっと待って下さい...」
弱気になりながらも返事をし、どうにか嘘ではないと認められそうな方法を考える。
そうして
嘘発見器は汗と心拍数を図って──────となんか聞いたことがあったことを俺は思い出した。
作れるかな...
汗は塩分と水分で心拍数は振動で行けるかな...あ、動かないように固定するものが...
あとはそのスキルだけだな。あるのかな、合ったらだいぶ奇跡───
スキル『塩分感知』『水分感知』『振動感知』『固定』
あった!!!料理人のスキルに塩分感知がちょうどよく合った。たぶん塩を探すためのスキルだろう。何でもありかよ...
ってことはこのスキルを魔石に付与できればいいかな。
「大きめの魔石ってありますか?」
「一応有りますが渡しても何も起こらないでしょう。ワイルドオークの買い取りに関係あるんですか」
ジョーシさんが真面目に答える。
「一回騙されたと思って...もしこの実験が成功すれば一生役に立ちますよ。」
「わかりました。でも、魔石が使えなかった場合はしっかりと弁償していただきますよ。20万マールですよ。」
ヤクザに脅されているみたいで怖い。
「わかった...」
「すぐに準備してくれ。C7倉庫にあるはずだ。」
「はい。」
ジョーシさんが言うとテイダさんが倉庫の方に走っていった。
「コレですね。」
受け取った魔石は片手にぎりぎり収まるサイズだった。
付与を始めるか...