第十五話 救いの一歩
さて、城を出たもののどこへ行くか。
のんびりと城下町を歩く。
八年前に訪れた頃と、道こそ変われど雰囲気はさっぱり変わっていなかった。
人を救いたいと大層なことを掲げておきながら、何を成せばいいのかは分からない。
「もし、そこのお方。困ってはいないかい?」
せかせかと歩く男性ににこやかに声をかける。
男性は舌打ちをして、振り返りもせずにさっさと歩いていってしまう。
「……まあ、困ってないならよしとするか。」
ぽかぽかの太陽に心地よい風。
困り事には無縁そうな陽気に頭を掻きながら、
道の端に寄って欠伸を一つ。
「……お兄さん。ちょいとそこのお兄さん!」
後ろから声をかけられ慌てて振り向く。
少し背の低い可愛らしい男の子が手招きしながら
ニコニコと笑みを浮かべていた。
「困り事を探してんのかい?ちょうどいいや、ここに立っててくれないかい?」
彼に急かされいそいそと指定された場所に立つ。
「これでいいのかい?……おおっと!」
男の子が僕の肩を踏み台に塀を飛び越える。
そのままバタバタと遠ざかる音だけが聞こえる。
「……急いでたのかな?ふふ、子どもって元気だなぁ。」
肩の土をぽんぽんと払い、振り返ると強面の男達が眼前に何人も並んでいた。
「おい、兄ちゃん。こんくらいのガキを見なかったか?」
……恐らく先程の子どもを探している。
世紀末かというくらいゴツい男達が手をボキボキ鳴らしている。
「……どうかなさったのかな?」
「あのガキ、うちのパン盗んで行きやがった!ぜってぇ許さねぇ!」
……ああ、そういう事か。
不偸盗、盗みはいけないという教え。
しかし、あの子ども、痩せこけていた。背が低いのも栄養失調によるものかもしれない。
……早速壁に当たってしまった。
「……ご心中お察し致します。災難でしたな。
しかし、もし余裕があるのであれば、彼に喜捨したと思うのはどうです?
人への施しは素晴らしいことですよ。」
男はぐいっと僕の胸ぐらを掴んだ。
「ああ?何が施しだよ!こっちは今日の食い扶持稼ぐのに必死なんだ!
お前あいつの仲間か?なら金払え!」
僕はすっと両手を上げた。
そして、袂をがさごそと探り、内側を引っ張って中を見せる。
「いやぁ、払えるのであれば良かったのですが、
僕も1文無しでして。」
からからと笑うと、男の顔が真っ赤になる。
「テメェ!ふざけてんのか!?
じゃあその服脱いでよこせ!
バラして売りゃ、そのボロ布でもちょっとは足しにならぁ!」
男が腕を振り上げた時、身軽な影が空から落ちてきた。
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