閑話
「……さて、シドが行ってしまった訳だが。」
陛下がぼそりと呟く。
こういう時は、大抵面倒事が生まれる。
アラルドは嫌な気配を察知してそろりと場を離れようとする。
「ほんとに……。息子が旅立つのって、こんなに辛いのね……。」
王妃が頬に手を当ててしょんぼりとする。
この人は、女神アミターナと並ぶと言われるほど慈悲深い方なのだが、やはり人遣いが荒い。
この間など、薔薇の角度が悲しげに見えるという理由で、
庭の剪定なんて一度もしたことなかったアラルドに調整を任せたのだ。
「そうだなぁ。兄としても、弟は心配だよなぁ。」
出た。ナディル殿下は、人心掌握の達人である。
『参ったなぁ』『困ったなぁ』で、人を気持ちよく働かせるのだ。
「ハーイ!カノンちゃんだゾ♡みんなで集まってどーしたの?」
お調子者の魔術師、カノン!アラルドの天敵であり、何故か気に入られていて、付きまとってくるのだ。
「あーん、シド君もういっちゃった感じ?さみしーネ!」
カノンはしばらくクルクルと踊って、ぴたっと止まった。
「ワーオ、カノンちゃん天才かも!」
「アタシついてってあげちゃおっかな!心配だしぃ〜!」
よく言った!アラルドはこっそりガッツポーズをした。
カノンがついていくのならば、アラルドが頼まれることもないだろう。
「アタシとアラルドでついていくネ!宮廷魔術師と希代の天才がついていけばチョー安全!ワァオ!」
「……は?」
断ろうとしたものの、時すでに遅く、国王達の熱い眼差しの中、アラルドとカノンはシドをつけていくことになった。
次回から第二章に入ります!
読んでくださってありがとうございます!
楽しんで頂けたら幸いです!!




