7.『くたばるの小人』
『くたばるの小人』
出版社:幻冬舎
滝川さり (著)
皆さん、「小人」と聞いて何を浮かべますか?
童話に出てくる可愛い「小人」?
それとも森の奥で暮らす不思議な生き物?
滝川せりさんの『くたばるの小人』に出てくる「小人」はそんな幻想を無残にぶち壊します。
そこにいるのは“絶対に怒らせてはいけない”存在です。
小さくても恐ろしくても、逃げ場なんてないんです。
私の頭の中を侵食して、心を蝕む。そんな小人でした。
不気味の入り口
舞台は小学校。
教師の美咲は“群衆恐怖症”という弱みを抱え、日々を過ごしています。
そんな中、転校生のめぐみと出会い交換日記を始めます。
恵が日記に書いたのは、「秘密の友達」です。
それは小さな体いっぱいに無数の目が並んだ怪物の絵です。
その瞬間から空気が変わります。
ページに書かれたただの絵がじわじわと現実を侵食し始めます。
小人
この小人、全然可愛くない。
どころか直視できないほど気味が悪い。
想像してみるとわかりますが、体に無数の目がギョロついている小人。
どこにいても必ず視線が自分を見ている。
集合体恐怖症の人でなくても背筋にブワッと来ます。
見られている。のぞかれている。どこまでものぞき込まれている。
この小説はその“感覚的な恐怖”を突き付けてきます。
死を呼ぶ存在
やがて現実の世界で取り返しのつかない事件が起こります。
いじめの主犯が穴だらけの〇体となって発見されます。
ただの事故でも〇人でもなく、説明できない異様で不自然です。
思いましたね。
「完全に小人じゃん!」と。
でもそれを確かめる術はなくて、ただ一つわかるのは“決して小人を怒らせてはいけない”という事です。
心理的恐怖
恐ろしいのは血や〇体だけではなく、本当に怖いのは“誰も信じられなくなる”という心理です。
教師の美咲は、生徒を守らなければいけない立場にありながら、自分自身も恐怖に飲み込まれていきます。
めぐみとの交換日記は信頼の証?
それとも小人の呪い?
皆さんも美咲と同じように疑いと恐怖に振り回されると思います。
この“精神を削られる恐怖”こそが物語の神髄だと思いました。
逃げ場がないスリル
この小説には安心できる瞬間がほぼありません。
日常の中に潜む不穏。
視線を感じる描写。
そしてどんどん狭まっていく逃げ道。
「もう読むのやめようかな」と本を閉じても、続きが気になってしょうがない。
目を閉じても浮かぶのは、無数の目を持った小人の姿。
離れれば離れるほど小人の存在感が強くなります。
読後の恐怖
読み終えた後も恐怖はしばらく続きました。
トイレやお風呂に入っているとき、体中が目だらけの小人がやってきて襲われる。
そんな想像をしてしまって頭から離れません。
『くたばるの小人は』決して気軽に読めるホラーではなかったです。
可愛いものだと思っていた“小人“が最悪の化け物に変貌する。
その落差に心が抉られました。
この物語の怖さを一言で表すなら「終わっても終わらない恐怖」
小人は今もあなたを見ているかもしれません。
天井から、ちょっとした隙間から、ベッドの下から。
気づいたら穴だらけになっているかも。
こんにちは、ボアと申します。
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