56.『ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲』
『ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲』
大塚已愛
角川文庫
こんにちは。
『ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲』 は、いわゆる“読みやすいエンタメミステリー”を求める人よりも、雰囲気やテーマ性を味わいたい人に向いている作品だと思います。
特に合いそうなのは、こんな人です。
・芸術や美術を題材にした物語が好きな人
絵画や贋作、美術品の描写がかなり濃厚なので、美術館の
空気感が好きな人には刺さりやすいです。
・耽美的で重たい雰囲気の作品が好きな人
全体的に暗く静かな空気が流れていて、“綺麗だけど苦しい”タイプの物語です。
・キャラクターの内面描写を重視する人
エディスの「死にたいのに、本当は生きたい」という葛藤
が物語の核になっています。
・難解寄りの文学作品を読むのが好きな人
文章は少しクセが強く、読むのにエネルギーが必要です。
逆に、読み応えを求める人にはハマると思います。
・世界観に浸るタイプの読書が好きな人
テンポ重視ではなく、“空気を吸う”ように読む作品です。
逆に、
・サクサク読めるミステリーが好きな人
・トリックや謎解き重視の人
・ライトノベル的な読みやすさを求める人
には、かなり合わない可能性があります。
「読む」というより、 “作品世界に沈み込む”感覚を楽しめる人向けの小説だと思いました。
感想:
今回紹介するのは、大塚已愛さんの『ネガレアリテの悪魔 贋者たちの輪舞曲』です。
まず最初に感じたのは、「かなり読む人を選ぶ作品」だということでした。
文章は独特で、数ページ読んだ時点で「難しい」と感じる人も多いと思います。
専門用語や言い回しも少し硬めで、テンポよく読み進めるタイプの作品ではありません。
正直、自分も途中で“読むのが苦痛かもしれない”と思う瞬間がありました。
ただ、その一方で、この作品にしかない魅力もかなり強いです。
特に印象的だったのが、美術品の描写。
絵画や空間の説明がとても繊細で、まるで映画のワンシーンみたいに頭の中へ浮かび上がってきます。
芸術をテーマにした作品が好きな人には、この空気感だけでも刺さると思います。
そして、エディスとサミュエルの出会い。
この場面がとにかくお洒落で、ミステリアス。
物語全体の雰囲気を象徴しているような出会い方で、「この二人がどう関わっていくのか」が気になる導入でした。
特にエディスという人物が印象的でした。
彼女は自分の抱える秘密を知ったことで、死を望むようになります。 でも、本心では“生きたい”と思っている。
その矛盾や葛藤がずっと物語の底に流れていて、読んでいて苦しくもあり、切なくもありました。
だからこそ、この作品は単純なミステリーというより、 “芸術”と“生への執着”を描いた物語として読むと、かなり印象が変わる作品だと思います。
読みやすさ重視の人には正直おすすめしづらいです。
でも、重厚な空気感や、美術を題材にした耽美的な物語が好きな人には、強く刺さる作品でした。




