32.『後宮の烏』
『後宮の烏』
出版社 : 集英社オレンジ文庫
白川紺子(著)
こんにちは。
今回は、白川紺子さんの人気中華風ファンタジー小説
『後宮の烏』を紹介します。
この作品の舞台は、中国風の王宮「後宮」。
その中に 皇帝の妃でありながら、夜伽を一切行わない特別な妃がいます。
その名は 烏妃、寿雪。
彼女は後宮の奥深く「夜明宮」に住み、幽霊の相談、呪い、失せ物探しなど、普通では解決できない怪異を解決する存在です。
しかし、烏妃は他の妃と違い皇帝に会うことすら滅多にない孤独な存在でした。
物語は、若き皇帝 高峻 がある依頼を持って寿雪の元を訪れるところから始まります。
高峻は前皇帝による粛清で家族を失い、命を狙われながら皇帝になった人物です。
彼は宮廷に残る呪いや怪異を調べるため、烏妃の力を借りることになります。
最初は警戒し合う二人ですが、怪異事件を共に解決する中で
少しずつ信頼関係が生まれていきます。
怪異の裏にある人間の想い、物語の特徴は幽霊や呪いの正体が 人の強い想いであること。
たとえば無念の死を遂げた者。
忘れられた宮女。
裏切られた愛。
こうした感情が怪異となり、寿雪がそれを鎮めていきます。
つまりこの物語は怪談でありながら、人の心の物語でもあります。
実は寿雪には大きな秘密があります。
それが何なのかはぜひ読んで見てください。
高峻は次第にその運命を知り、寿雪を 「ただの道具として扱われる存在にしたくない」と思うようになります。
一方、寿雪もまた初めて外の世界や人との関係を知り、少しずつ変わっていきます。
孤独だった二人が、怪異を通して人の想いと向き合う物語になっています。
この作品『後宮の烏』の魅力は主に3つ。
・中華風後宮ミステリー
・切ない怪異譚
・孤独な二人の静かな絆
派手な恋愛ではなく、静かに距離が縮まっていく関係性がとても魅力的な作品です。




