18.『天才ルーシーの計算ちがい』
『天才ルーシーの計算ちがい』
出版社:講談社
ステイシー・マカナルティ (著)
田中 奈津子 (翻訳)
この本は数学が得意な女の子、ルーシーのお話です。
でもただの「天才少女の物語」ではありません。
友情や自分らしさ、そして「間違い」や「計算できないこと」について考えさせてくれる、とても心に残る本です。
主人公のルーシーは数学の天才です。
ある日雷に打たれて後天性のサヴァン症候群を発症し、数字が視覚化され色と形が見えるようになります。
座るときは立ち座りを3回、繰り返す作業を行わないと頭が数字でいっぱいになってしまったり、出かけるときは除菌シートとローションを持ち歩く潔癖症でもあります。
そして人とのかかわりが苦手で友達を作るのが難しく、学校生活で浮いてしまいます。
ルーシーは「数字の世界」では安心できるけど「人との世界」では不安がいっぱいです。
ここがまずとても印象的でした。
ルーシーはとても頭が良い子です。
でもそのせいで「変わった子」と思われてしまいます。
しかし心中では「天才でいるのは本当に幸せなのかな?」「私もみんなと同じように過ごしたい」という気持ちを抱えています。
この気持ちはなんとなくわかる気がします。
私も「人と同じがいいのか」それとも「自分らしく生きたほうがいいのか」と考えることがありました。
ルーシーの姿はその悩みをとても分かりやすく見せてくれます。
物語の中でルーシーは少しずつ友達を作っていきます。
最初はうまくいかなくても少しずつ心を開いていく。
友情というものは数学のようにきっちり計算して答えが出るものではありません。
「こうすれば友達ができる!」という公式はありません。
でも自分を理解してくれる人に出会えたとき友情が芽生えます。
そして自分も相手を理解しようと一歩踏み出すことでその友情は育っていきます。
ルーシーにとってこの「小さな勇気」が大きな意味を持ちました。
それは私たちにも通じる事ではないかと思いました。
ルーシーにとって大きな出来事の一つが動物シェルターでのボランティア活動です。
そこには犬や猫がたくさんいて、ルーシーはそのお世話をします。
ここでの経験はとても大事でした。
動物たちには数学も理屈も関係ありません。
必要なのは「やさしさ」と思いやりです。
ルーシーは動物たちとの時間を通して心で感じることの大切さを学びます。
頭で考えるだけではなく心で動くことの意味、それを自然に教えてくれる場面です。
この本のタイトル『天才ルーシーの計算ちがい』
なにが「計算ちがい」なのでしょうか?
ルーシーは数学が大の得意です。
でも人生は計算通りにはいきません。
友だちとの出会いも、動物との時間も、自分の中に芽生える感情も、それらは数学や公式では導けません。
そして思いがけない「計算ちがい」がルーシーを大きく成長させます。
タイトルにはそんな深い意味が込められているのではないかと思いました。
この物語を読んで、私は次のようなことを思いました。
・人は皆、違っていていい
・自分の大事なことを大事にしていい
・間違いや失敗は成長のきっかけになる
・本当に大切な場所は数字では測れない
この本は子供向けに書かれていますが、大人が読んでも心に響く内容です。
子供の頃に「自分は皆と違う」と感じたこと。
「友達が欲しい。できるかなぁ」と不安だったこと。
この本を読むと、そんな気持ちを思い出しながら「自分はこのままでいいんだ」と思えます。
『天才ルーシーの計算ちがい』は数学が得意な女の子が「計算できない大切なこと」に気づいていく物語です。
友情、思いやり、自分らしさ、人生の中で起こる「計算ちがい」こそが宝物になる。
この本は読んだ後に心が温かくなり、「自分のままで生きていていいんだ」と思わせてくれる作品でした。
ここまでが私の感想です。
ルーシーの物語を通じて「自分らしさ」と「友情の大切さ」を考えるきっかけになりました。




