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720時間の弾丸  作者: 一条一
5/23

撤収

瓦礫だらけの砂漠を、男の乗ったバイクは南に向かって走っていた。「仕事場」からかれこれ一時間近くなる。一時間の間に男の荷物はどんどん減っている。最初にギリースーツが破棄され野生の山羊の餌になった。次に、半分解されたバレットとMP5が湖に沈んだ。「仕事場」から60km程で男のバイクは止まり、バイクは川にすてられた。現地で手に入れたバイクはメーカーも排気量も分からないままだった。

男は10分くらい歩くと、日干しレンガで造られた辛うじて人工建造物と分かるバス停の裏で立ち止まり、地面に埋めてあったバックを掘り出した。

バックの中に入っていたイスラム圏の女の服に着替えると、頭からつま先まで黒づくめになり、顔も分からない状態になった。日本人の男は身体も小さく、日本人としても小さかったので、顔を出さない限り男とは思えない外観となった。ここでそれまで着ていた衣服が最後の廃棄物となり穴に埋められた。

男の持ち物は、現地通貨少々とサイレンサーつきのブローバック、あとはアメリカドルで300ドルほどだった。

30分後、男はバスに乗って乗客に溶け込んでいた。そして、男を追ってくる者は誰もいなかった。

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