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720時間の弾丸  作者: 一条一
4/23

実行

3km先で上がった砂煙は3台の車だった。先頭は日本製のRV車で、2台目はメルセデスのセダン。3台目は共産圏製のトラックで、荷台には男が1人立ち乗りして固定された重火器を握っていた。

間違え様のない車列であり、この二週間の間3日間隔でこの道を通っている。男はこの車列がどこから来てどこへ行くかも分かっていて、乗っている顔ぶれの変更も無いことも確認している。律儀なまでに同じルート、同じ時間に通過する標的。そんな行動は自ら招く不運だが、男は淡々と手順を踏んで行く。男は脇に置いてあった1ガロン入りのペットボトルの水を自分の周りに撒いた。射撃時の衝撃波で乾燥した砂が舞い上がるのを防ぐためだ。マズルブレーキ(銃口部分)も、不燃性のカバーで覆われている。次に、観測用望遠鏡で1050mの狙撃ポイント近くに設置した「吹き流し」の代わりのボロ布を凝視して、(横風2m…)と心でつぶやいていた。

観測用望遠鏡からバレットのスコープに目を移し、初弾を装填した男は、まるで呼吸をしていないかの様に静かにトリガーに指を掛け、左手を右肩のストックに添えた。

男から1100m地点から道は直線になり、車列もそれにならって進んできた。先頭車がボロ布の手前10mに来た所でバレットの初弾が弾き出された。初弾は先頭車のボンネットの運転席前に着弾して、運転手の下半身をも貫いていた。その際、ボンネット下のステアリングシャフトも破壊していた為、車はジャリの悪路にハンドルを取られ道路脇の10m下の川に落ちて行った。初弾から2秒後、男は次弾を発射していた。初弾が先頭車に着弾して車がフラつく前には2台目のメルセデスに着弾した。弾は、メルセデスのフロントガラス右側を貫通して、後部座席の人物に命中していた。その際には「パッ!」とオレンジ色の閃光が車内を照らしたが、男が想像した程明るくはなかった。メルセデスは命中後、フラフラと減速しながら路肩に寄って行きやはり川にゆっくり落ちて行った。この2台の動きは殆ど同時にしか見えなかった。バレットの射撃音を聞いたのは3台目の荷台に乗っていた男だけだった。荷台の男は何かを叫びながら運転席の屋根を叩き、闇雲に重火器を乱射した。荷台の男はどこから撃ってきたか見当もついていない。急停車したトラックから運転席と助手席にいた2人の男が降りてきて、AK47を撃ちながら川に落ちたメルセデスに近寄って行ったが、車内を覗きこんで首を横に振りながら叫んでいた。2人はまたAK47を撃ち、後ずさりしながらトラックに乗ると、バックのまま来た道を戻って行った。

3発目の供給が終わったバレットを握っていた男は、メルセデスの中から誰も降りて来ないことを確認すると、トラックが走り去るのを待たずに撤収体制に移っていた。

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