下山
真っ青な晴天の空の元、C-5の上をスノーパネルを履いたヘリが一機飛び越えていった。
C-5(キャンプ5)からC-4(キャンプ4)へ向かう登山者の列は皆が不思議に思っていた。(マッキンリー登山でヘリを使うかね?)ほとんどの者はそう思っていた。しかし、そのヘリは10分も経たぬうちに今度は「下山」していった。ヘリには「池上」が乗っていた。ヘリは小型機専用の空港に降りると、「あの」顔ぶれが待っていた。「あの」顔ぶれとは、「池上」に何本ものバレルや弾丸を供給した「あの」顔ぶれだった。
「池上」は何本ものバレルが入ったケースを彼等に渡す時こう言った、「やっぱり7.62の3番にしたよ」それを聞いた彼等は、少しホッとした表情を見せ、こう問いかけた「理想の一本かい?」すると「池上」は、「いや、まだ85%だよ」とケロっと言ってみせた。顔ぶれの彼等は、揃って両肩をすくめて首を小刻みに振った。
空港のロビーがある小さな建物に入ると、民間軍事会社のスタッフが一人いた。そのスタッフは小柄なイヌイットの女だった。女は「池上」に「バレル以外の銃本体と指示を受けた装備品は、バラバラの時刻で3箇所の場所に届くように注文通り手配済みょ。」と言うと「池上」は、「ありがとう、いつもお世話になるね、君の仕事ぶりには感謝しているょ。」と言い軽くハグをすると持ち帰ったバレルケースと弾丸のケースを渡した。荷物を受け取った女は、いそいそと荷物をまた駐機場へ持って行き大型のセスナ機に積み込み乗り込むとアッという間に離陸していった。
「池上」は女の後ろ姿を見送りもせずに、駐車場のフォード製のセダンに乗り込むと、疲れた表情一つせず走り去っていった。30分も経たないうちに「池上」はモーテルのベッドの上で眠りについて、5時間後にシャワーを浴びモーテルをチェックアウトした。その48時間後「池上」はインドの片田舎にいた。




