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720時間の弾丸  作者: 一条一
16/23

シリアへ

民間軍事会社の事務所を出た「池上」は、19時間後にはトルコ経由でシリアに入っていた。国境から近い町「アルバーブ」で、「池上」はアメリカドルをチラつかせ街中で堂々と武器を調達していた。以前のアサド政権下であれば、闇市などの更にアンダーグランドでしか手に入れられなかった物も、今じゃ無政府状態。と言うより内戦状態である。ほんの一週間前の情報が昔話になるほど状況がコロコロ変わっていく。「池上」が最初に調達したのはドラグノフ狙撃銃だった。ただ、予想していた通り「中国製」であり、信頼性に欠けるので調整と試射が必要だった。次に手に入れたのは、AK-47だった。これはすぐに手に入ったが「ちゃんと手入れ」されている物が条件だった。実際、AK-47なら内戦状態の街中なら路地裏に転がっている位だが、そんな銃はまともに当たりやしない。いや、暴発の恐れさえある。そして最後は大物が残ったが、まだ移動しなければならなく、無駄に目立つので「現場」に着いてから調達することにした。

二時間もかけて30km離れた最終目的地である「アレッポ」に着いたのは夕方近くだった。途中、三度も検問に引っかかり その度に「池上」は日本で買ってきたケーキ菓子やアメリカドルを「通行手形」にして通り抜けてきた。アフガン系のタリバンはスィーツ好きで、アラブ系にはアメリカドルが効いた。

今回「池上」は、報道カメラマンの肩書きを名乗り、運転手兼ボディーガードとしてアラブ人を雇って移動した。移動中「池上」は銃は持たないでいた。日本人と言えど銃を持った外国人は、「敵」であると思われるのがオチである。普段の「池上」であれば、ケチッて単独行で道なき道を進むところだが、今回は時間が無い代わりに経費はタップリ使えるから「大盤振る舞い」でドルをバラ蒔いている。

「アレッポ」に着いた「池上」は、休む間もなく「最後の大物」を手に入れるべく動いた。一時間もしなうちに「池上」は「最後の大物」である「RPG-7」を手に入れていた。しかし、この「RPG-7」は紛争地帯の人気アイテムであり、数も沢山有るはずだがそれでもAK-47よりも高価で数は少ない。持ち主も売ってしまったらそれでお終いになると思うと内戦状態である、当然売り渋るものだ。「池上」は「一発撃つだけだし、撃ったら返すからレンタルでイイんだ」とレンタル料で$300、保証金に$1000積んだ。当然使用後に返すつもりは無い。が、「池上」は売り買いのかけ引きをやっている暇はないから金に物を言わせた。

その夜、アレッポの街外れの民家に宿を取り、NSAが送ってきた標的の顔写真をスマートフォンで目に焼き付けていた時、衛星電話に「オタク」が紹介してくれたイスラエルの諜報機関モサドの男から着信が入った。「送ってくれた写真の男は、アレッポではムハンマド・アリー・イブラハムと名乗っているが、こんな名前はアレッポには掃いて捨てるほど居る、男を特定するには自分の目で確認するしかないが、そこで、男の現在の風貌を撮ったので送るから、顔認証システムにかければ間違いないだろう。男は明日ある人物と会う約束を取り付けた、場所と時間は顔写真と一緒にメールに送付したから上手くやりたまえ」と淡々と言い「池上」がお礼を言いかけた時「お礼は要らないと言いたい所だが、実は偶然にもムハンマドが明日会う相手がモサドにとって少々邪魔な人物なんだ。出来れば一緒に…と言うとこなんだ」「池上」は少し呆れていたが、「まあ、上手くいくか分からないがやってみるよ」とだけ言った。「池上」にとってモサドに借りを作る必要は無いが、今回の活動にモサドの情報提供は大いに役立った。今後のことを考えればモサドと友好的な関係を作るに越したことはないし、ムゲに断るのもあとあと面倒なものだ。そうこう考えていたら、モサドの男からメールが届きモバイル用顔認証ソフトのURLが送付されていた(至れり尽くせりだな…)と思うと笑っていた。

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