誰にもきづかれなくても ACT3
「今日はありがとうございました」
まどかは3人に深々とお辞儀をした
「今日はるぅとれたすが送ってくれるよ」
らいとがまどかを優しく見つめながら話した
「絶対にまた来ます…その時教えてください
らいとさんみたいに…ココロを描きたいです」
らいとはまどかに近づき
「うん〜良いよ、いっしょに作り上げようね」
「はい…師匠〜」
まどかは笑いながら、らいとに答えた
「らいとが師匠?大丈夫なの?」
虹羽はらいとの顔を覗き込んで見た
「あらら〜同じ弟子ですね~まどかちゃん」
詩樹はまどかに抱きつきながら喜んでいる
「お願いします〜詩樹お姉ちゃん」
「えっ!?詩樹ズルい!!」
「私わ〜まどかちゃん〜虹羽も〜」
虹羽もまどかに抱きつきながらお願いしている
「ほら2人共、まどかちゃん困ってるから」
らいとが2人を引き剥がしながら言った
「まどかちゃん〜この月影ノ紫水晶はいつでも開いてるから、いつでもおいで」
らいとは初めて来た時と同じ事をまどかに伝えた
「はい!!さようなら」
「カランコロンカランコロン」
木製のアーチ型の扉をしめた
るぅちゃんとれたすちゃんが待っててくれた
「ニャーオ」
まどかに早く帰らないとって言ってるように
ハモリながら鳴いた。
誰もいない暗い家についた
「ただ…」言いかけてやめた
この家に来てたから…その言葉はいわなくなった…
自分の部屋の灯りをつけ、ベットに仰向けになった
今日月影ノ紫水晶で、経験した事のない不思議な光景を思い出していた。
山原詩樹がピアノを弾きだして…歌を歌いだした時
薄い緑色のオーラみたいなものが詩樹に集まり
声とピアノの音に合わせて光がだんだん強くなっていき、月影ノ紫水晶の灯りも緑色に変わっていった
ピアノの旋律…詩樹の歌声…
まるで森の奥にいるみたいな、ココロが静かになっていく…
「凄い…こんな歌声聞いた事ない…」
私は胸を押さえながら詩樹の歌を聴いていた。
曲が終わりに向かってるのか、だんだん薄い緑色の灯りが消えていき…
完全に音も歌声もなくなった時灯りが元通りに戻ってゆく…
私は反射的に椅子から立ち上がり
「パチパチパチパチ」
何度も何度も拍手を送った
詩樹はピアノから立ち上がりステージの中央に立ち
スカートの裾をつまみ上げお辞儀をし
「まどかちゃん〜ありがとう〜」
詩樹はちょっと照れながら、まどかにお礼を言った
「詩樹さん凄〜い、なんて言ったらいいかわからないぐらい、凄〜い」
今の私たぶん…めっちゃ笑顔で目がいっぱいに開いてるんだろうな〜
自分が自分で失くなるぐらいの感動が押し寄せた
「まどかちゃん」
らいとさんに呼ばれ、自分に戻った
「まどかちゃん、今の詩樹の歌どうだった?」
らいとさんは私の目を見つめ、少し真面目な顔で私に聞いてきた
「えっ…もう…なんて言ったらいいか…」
私が返事に困ってると詩樹が私に近寄り
「まどかちゃん、お腹空いた?何か作ってくるね〜」
「…いや…あの…」
この間と同じで私が返事をする前に詩樹は奥のキッチンに消えていった
「まどかちゃん、気にしないでいいよ〜
詩樹はいつもあんな感じだから、ちょっと天然なんだよね」
らいとは笑いながらキッチンを見ていた
「話しの続きだね、、実は山原詩樹は少し変わった?能力的なものを持っててね」
「この月影ノ紫水晶のメンバーは何かしらの能力的なものを持ってるんだ」
普通であればこんな話し信用なんてできないけど…
今までの現象とか今の山原詩樹の演奏を見たら
信じないわけにはいかない
「…それだと…詩樹さんの能力は?」
らいとがカップを手にとり一口飲みながら答えた
「森灯の歌声
新緑の森に生命を吹きこみ、聴くもの全てを癒し
迷い人を導く事ができるんだよ」
「全ての灯りが緑色に輝いたでしよ?」
「うん〜凄かった〜」
私は興奮を抑えきれずにらいとの話しを聞いている
「それだと…虹羽さんも?らいとさんもあるの?」
「あるよ〜虹羽の能力とボクの能力は本当に特殊で
詩樹みたいには上手くいかないんだけどね」
らいとはカウンターテーブルの紫色のランタンを見ながら話した
「今詩樹が歌った楽曲はボクが書いたんだ、
とは言っても作詞だけだけどね」
「えっ!?らいとさんが凄い」
2人で話していると、、、
「あ〜ぁ、るぅ〜また筆で遊んでる」
「ニャ」るぅは筆を手で転がしてあそんでいる
「今日は許さないからね〜逃げるな!!」
虹羽が叫びながらお店の中でるぅと追いかけっこしている
私はその光景を見てつい声にだして笑ってしまった
「いつもの事だよ~月影ノ紫水晶の名物の一つだよ」らいとも見ながら笑っている
「あの〜虹羽」詩樹が虹羽を呼び止めた
「なに?もう〜るぅ〜〜」
「ちょっと買い出しにいくので〜お鍋見ていてくれませんか〜?」
詩樹は買い物袋をもって虹羽に話しかけた
「いいよ〜いってらっしゃい」
虹羽はまだ、るぅを目で追いながら返事をした。
虹羽は小さく何かつぶやきながらキッチンに消えていった
「らいとさん、私ここに来ると元気がもらえます」
「本当に?それなら良かった、ただ騒がしいだけだよ」
「ゆっくりしててね〜」
らいとは笑いながら席を立った
それからるぅちゃんとれたすちゃんと猫用のおもちゃで遊んだ
「ニャニャニャ」るぅちゃんとれたすちゃんを
猫じゃらしで、じゃれさせてた
「うぁぁぁ~」キッチンの奥から虹羽の声が響いた
「あっごめん…なんでもない気にしないで〜大丈夫」虹羽がキッチンから顔を出してみんなに聞こえるように言った
それから少しして…
「ご飯出来ましたよ〜みんな集まってください」
詩樹がいつものエプロンにコック帽を被り現れた
「まどかちゃんのお口にあえばいいんだけど…」
詩樹が心配そうに私を見ている
「みんなと一緒で良いかな?食べるの?」
らいとが席に座りながら私に話しかけた
「…あっ…はい…大丈夫です」
最近一人で食べる事が多いから、ちょっと緊張するけど…
「ニャ、ニャ」
るぅちゃんもれたすちゃんもご飯に飛びつくように食べてる
目の前にお皿が運ばれた
1枚のお皿に生姜焼き、千切りキャベツ、目玉焼きが乗っている
「うわ~美味しそう〜」
冷凍食品ばかりの私には、久しぶりのご飯で嬉しい
「いただきます〜」みんなで声がハモった
詩樹が虹羽に尋ねた
「あれれ〜虹羽〜お味噌汁わ?」
「…うん…忘れてた…」
虹羽がキッチンに行きお味噌汁を運んできた
「ん?なんか器大きくない?」
らいとが不思議がって、虹羽に言った
詩樹がお味噌汁の中に箸をつけた時
「あららら、油揚げさん、ずいぶん成長しましたね〜」
箸でつまみ上げてみんなに見せた
二倍ぐらいに大きくなった油揚げ、豆腐も二倍ぐらいに大きくなってる
「アハハハ、虹羽〜沸騰させたでしよ〜」
らいとが爆笑しながら、詩樹とまどかを見た
「あらら〜お豆腐さんもずいぶん柔らかいですね」
らいとも詩樹も爆笑して、私も思わず声を出して笑ってしまった
「…ねぇ~そんなに笑わないでよ〜まどかちゃんまで〜もう知らない」
顔を真っ赤にして虹羽はみんなを睨んだ
「だってぇ~具材ってこんなに大きくなるものなんだ〜お腹痛い、、、」
らいとはお腹を抑えて笑ってる
詩樹も涙が出たのか眼鏡を外して笑っている
私も2人と同じようにお腹が痛いぐらい笑った
その笑いがだんだん落ちついてきて
みんなでご飯を食べながら、虹羽をいじったり
詩樹はらいとに注意しながら食べている
みんなの顔を見ながら…こんな楽しい食事久しぶりだな…いつも一人だったから…
パパとママがいて…あんなに笑いながら食べてたのに…
私は食べながら…こらえきれなくて…泣き出した…
「ん?どうしたのまどかちゃん?」
「どこか痛いの?大丈夫?」
らいとも虹羽も詩樹も、そしてるぅまで心配で私を見てくれた…
「…あっ…違うんです…大丈夫です」
「ただ…楽しくて…嬉しくて…胸がいっぱいになって」
「…うん…ゆっくりでいいからね…」
らいとは私の肩をさすりながら、詩樹も手をにぎってくれて…それがまた余計に…泣けてきて
虹羽は後ろから優しく、ギュッて抱きしめてくれた
少し落ちついて顔をあげた時…
カウンターのランタンが眩しいほどの紫色に
染まり、輝いていた
「あ…ありがとうございます…
もう大丈夫です…ご飯食べましょう」
「早くしないと〜また油揚げ大きくなるかもです」
私は虹羽に笑いながら言った
「もう〜まどかちゃん、悪い子だよ〜」
らいとも詩樹も笑いながら
その時間が過ぎていった…
「はぁ〜い暖かい飲み物ですよ〜」
詩樹がみんなの前にカップを置いた
お腹がいっぱいになったのか
るぅもれたすもステージの上で寝ている
「…あの…さっきは急に泣きだして…
ごめんなさい…」
「…わたし…」
「気にしなくていいよ〜大丈夫だから
何かあるなら聞くよ」
らいとも虹羽も詩樹も、みんな優しい笑顔で私を見てくれた
「…あの…私の家、パパとママが離婚して……」
自分の家の事を言葉が詰まりながらも話した
時々…涙が止まらなくて、虹羽と詩樹に手を握られながら…
らいとは何も言わず、ただ私の目を優しく包むように見つめている
話し終わった後…私は嗚咽しながら泣いた、
ココロが苦しいほど締めつけられて…
「よく話してくれたね…ありがとう」
らいとは私の頭を撫でながら言った
「よく頑張ったね」
虹羽も詩樹も抱きしめてくれて、背中も擦ってくれた…
「らいと…いいよね?」虹羽がらいとに何かお願いをしている
「うん…まどかちゃん、聴いてくれる?」
「ステージを見てて」
私は涙を拭きながらステージに目をうつした
虹羽はキャンパスに詩樹はピアノに
そしてらいとはステージの中央に
マイクスタンドに手をかけ
「まどかちゃん聴いて!月影ノ紫水晶」
詩樹のピアノが哀しく淋しい旋律を奏でる
薄い緑色のオーラが漂い
虹羽はキャンパスに絵を描いている
薄いピンク色に虹羽が包まれ
キャンパスが輝きはじめた
らいとの歌声が響きはじめた時お店の灯りが
全部紫色に染まっていく
カウンターのランタンが今までにないぐらい光り輝き…私は吸いこまれていった…
虹羽がキャンパスから離れ私に向かって筆をかざした瞬間…
私の想い出が空中に…まるで映像を映してるみたいに写し出された
「…あっ…うっっ」
言葉にならないぐらいの驚きと興奮が胸を貫いた
知らない間にまた涙があふれて
辛くて苦しい涙じゃなく…
なんか解放されるような、ホッとするような…
ココロが軽くなっていく…
曲が終わりに近づいたのか、紫色の光がだんだん薄くなって曲が終わった
私はあまりにも凄すぎて目の前の光景に圧倒されて
何も言葉を出せない
「まどかちゃん聴いてくれてありがとう」
らいとがステージの上から話しかけてくれ
その言葉でやっと声が出せるようになった
「パチパチパチパチ凄い素敵です」
「らいとさんの歌声、虹羽さんの絵も」
らいとはちょっと照れた笑顔で
虹羽も同じ顔をしている
「まどかちゃんありがとう〜」
虹羽もそして詩樹もステージから降り
私の所に来てくれた
らいとが私に言った
「まどかちゃん、ひとりじゃないよ〜
ボクも虹羽も詩樹も…まどかちゃんの味方だから」
らいとは笑いながら
「るぅとれたすもね!なぁ〜るぅ?れたす?」
「ニャ〜ニャ〜」るぅとれたすが私の足元に来て小さく鳴いた。
「はい…なんか楽になれました。
本当にありがとうございます」
それから少しゆっくりして家に帰ってきた。




