誰にもきづかれなくても ACT4
あれから月影ノ紫水晶に通っている
学校が終わった後、休みの日も
「カランコロンカランコロン」
「ただいま〜」「おかえりなさい」
このやりとりが3人とできるようになった
後月影ノ紫水晶に通うようになってから
ある時急にパパからメッセージが届いて
門限を7時から8時に変更した
あんなメッセージ初めてだったけど…
今の私にはちょうど良いぐらいになって
宿題とか学校で色々あった事とか
みんなに聞いてもらって…
今は今の生活に幸せを感じてる
パパには悪い事してるなって思っているけど…
期末テストも終わり…そろそろ冬休みが近づいて来た…街はクリスマスに様変わりして、
私が月影ノ紫水晶に来てから3ヶ月か過ぎた…
「らいとさん、テストも終わったし…そろそろ
作詞のお勉強がしたいです。」
らいとがお店の準備をしていたけど、手を止めて
私の隣に座った
「うん!良いよ〜じゃあ初めに、まどかちゃんの想いを何でもいいからノートに書いて」
「無理に作らなくていいから、短くても、長くてもいい、気づいた事想った事を書いてみて」
らいとは優しく教えてくれる
「はい!師匠〜」
私はちょっと声を張り上げて返事をした。
「ニャニャ」るぅがその声でビクッとしたのを見て
2人で笑い合った
それから毎日書き続けた…知らない間にノートが言葉に埋めつくされた
「ん〜…」頭を抱え悩んでると詩樹が
「あら〜まどかちゃん、どうしたの〜?」
暖かいココアの入ったカップを持ってきて
「作詞をしているんですけど…何を書いたらいいか…
言葉は色々出したけど…」
「らいとさんの事だから、簡単そうに言ったんだね」
「ん〜そうだ〜まどかちゃん!こっちきて」
詩樹に手を引かれステージの上に上がった
ピアノの横に立たされて
「まどかちゃん、私の歌、歌えるよね?」
あれから毎日通ううちに山原詩樹の歌を口ずさむようになっている
「…あっ…うん…歌える…」
「一緒に歌おう〜らいとさんが言うには歌う気持ちと作詞する気持ちは一緒なんだって」
詩樹のピアノに合わせて2人で歌った
曲名は「新緑の輪舞曲」
まるで踊り出すような爽やかな風に包まれる曲
詩樹と初めて2人で歌った。
たまに笑顔になりながら
「パチパチパチパチ」
知らない間にステージの前にらいとと虹羽が立って拍手をくれ
歌い終わり詩樹にうながされステージの中央でお辞儀をした
「めっちゃ上手だね〜まどかちゃん歌もできるんだ」らいとが優しい笑顔で言った
「本当にまどかちゃん、上手だよ~らいとより上手」虹羽も拍手をしながら、まどかを褒めている
「えっ…いや…恥ずかしいです」
私は照れ隠しでフードを被った
「ニャニャニャ」
るぅもれたすも響くくらいに鳴いて
めっちゃ良いよって言ってるみたいに
「詩樹さん、なんとなくわかった気がする」
「ありがとう〜詩樹ねえちゃん!」
「あらら〜嬉しい〜お姉ちゃんなんて〜」
詩樹は嬉しそうに答えた
「ねぇ~詩樹ばっかりズルい〜まどかちゃん」
「ワタシわ〜ワタシも呼んで〜」
「いつもありがとう〜虹羽ねえちゃん!」
ねだるように虹羽は私を見た
「やった〜今日一番嬉しい事があった〜」
虹羽は小踊りして喜んだ
「虹羽にはお姉ちゃんがいるけど、妹はいないもんな」
らいとが虹羽に話しかけた
「らいと〜お姉ちゃんから連絡は?相変わらずないの?」
「ないよ〜気まぐれでどこにいるやら〜」
らいとはステージを見つめキャンパスに目を止めた
「虹羽ねえちゃんのお姉ちゃんって?」
まどかは興味が出てつい聞いてしまった
らいとが答えた
「虹羽のお姉ちゃんも絵を描く人で、あのキャンパスで書いてたの最初は虹羽のお姉ちゃんだったんだよ」
「ある時急にいなくなって、虹羽が探しに来たんだ」
そうだったんだ〜
まどかは初めて月影ノ紫水晶のメンバーの事を知った。
「また明日来ます〜」「うん〜気をつけてね〜」
るぅちゃんとれたすちゃんに送ってもらいながら
家路についた
次の日、パパが話しかけてきた。
スマホを新しくしたみたいだけど、やり方がわからないって
私は丁寧に時に笑いながらパパに使い方を教えた
「まどか…なんか変わったな、優しい顔になった」
「そう?何も変わってないよ」
まどかは照れながら、顔を見ずに答えた
「パパ出かけてくるね〜」
「ああ、門限までには帰るんだぞ」
「はい!いってきます」
家を出て少し歩いた時に気づいた…
あんな会話したの…いつぶりだろう…
「リリリン、リリリン」
月影ノ紫水晶の電話が鳴った。
「はい!月影ノ紫水晶です」
虹羽が電話で応対している
「らいと〜まどかちゃんのお父さんから〜」
「はい、紫水らいとです」
「娘がそちらに向かったのでよろしくお願いします」
「はい、お預かりします」
らいとは受話器を置いた
「ただいま〜」「おかえりなさい」
いつもの挨拶、私にはもう普通になっている
「今日こそ完成させるから〜」
るぅとれたすを撫でながら、ココロに決めた
ノートを出して、ぺんを握る
私は今までの事を思い出し一言一言を紡ぎだしていく…
「まどかちゃん、ねぇまどかちゃん?」
らいとが呼びかけてる事に気づいた
「なんですか〜師匠〜」
「ちょっとこっちに来てみて」
カウンターに置かれたランタンのそばに呼ばれた
「初めて来た時に紫色に輝いたランタンですよね」
「そうだよ、今はずいぶん小さく光ってるでしよ?」
「うん〜あの時私が近づいたら輝いた」
らいとはまどかとランタンを交互に見ながら
「このランタンは特別で人のココロに反応するんだよ」
「ココロが辛かったり、苦しかったり、淋しかったり、ココロが影に覆われる時に光るんだ」
「だから、私が来た時に……」
「うん!ボクは人より感受性が高いからわかるんだけど…物質的に教えてくれるのがこのランタンなんだ」
「まどかちゃん、ココロは人それぞれなんだ…
誰もが辛かったり、悲しかったりする」
「だから、我慢しなくていいんだよ、自分なりに自分を表現しても」
らいとは優しく、そしてわかりやすい様に
作詞のヒントをくれた
「はい!師匠〜ひとりじゃないよ〜ですよね?」
らいとは笑いながら
「そうそう〜良く出来ました」
私は椅子に座り…書きかけの詞に向かい合った…
……まどかち…ゃん…まどかちゃん
ん?私知らない間に眠ってた。
「大丈夫?」虹羽が私の顔を見て、オデコに手を当てた…
「大丈夫です…寝ちゃいました…」
「良かった〜ごめんね〜みんないるかと思ったのに」
るぅとれたすはテーブルの上で寝ていた
「あっ出来たの?まどかちゃん」
「はい…出来ました…」
「うんうん、良かったね〜」
「ただいま〜」
らいとが帰ってきた
「らいと〜まどかちゃん出来たって!!」
「そうなの〜見せてくれる?」
らいとは私から渡されたノートを読みはじめた…
真剣な眼差しで文字を読みこんでいく
カウンターのランタンが紫色に光り輝きはじめた
「まどかちゃん…良く出来ました…今のまどかちゃんのココロがちゃんと入ってくる…素敵な歌になりそうだね」
らいとの目に薄っすらと涙が滲んでいた…
「やった〜らいとさんから褒められた」
私は虹羽と詩樹に抱きついて喜んだ
「まどかちゃん、これ曲にしてみない?」
「みんなで作品にしよう?どうかな?」
らいとは真面目に私に語りかける
「良いんですか?私の詞で?」
「もちろん、虹羽、詩樹いいよね?」
虹羽も詩樹、らいとに同意した
虹羽も「まどかちゃんの歌で絵を描いてみたい」
詩樹も「ワタシもピアノ弾きたいです」
2人もワクワクしながら私をみてる
「決まりだね〜クリスマスまでには歌えるようにね」
「あっ歌うのはまどかちゃんだからね!!」
「えっ!?聞いてないですよ〜」
らいとは笑いながら
「決まりだよ~作詞をしたなら最後まで責任とらないとね〜」
ちょっとイタズラな顔をしてらいとが私を見た
急に夜から冷えこみ、明日は雪になるかもと天気予報は言っていたが朝起きて外を見てみたら…
雪が積もっていた。
今日はクリスマス、そして小さいけど
月影ノ紫水晶でのクリスマスパーティーがある
以前から練習していた私の曲を披露する日
相変わらず、パパとは会話は少ないけど…
前よりは話すよになってきた
「パパ〜出かけてくるね」
「雪だから、足元に気をつけて行くんだぞ」
パパも今日は家にいるみたい
空から大きな牡丹のような雪が降っている
辺り一面が真っ白で空気が澄んでいるような気がした
「寒い〜早く向かおう〜」
歩きづらい雪道を足早に月影ノ紫水晶に向かった
「ただいま〜」「おかえりなさい」
今日はクリスマスパーティーだから
月影ノ紫水晶の中もパーティーの飾りつけがしてあって、クリスマスツリーもキラキラ輝いていた
「まどかちゃん、大丈夫だった?寒かったでしよ?」
らいとがいつもの服装じゃなく今日はサンタクロースの格好をしている
全然似合ってなくて、ちょっとクスクス笑いをしてしまった。
「まどかちゃん!!笑わないよ〜似合ってないの自分でわかってるんだから〜」
らいとはサンタクロースの服を自分で見ながら言った
虹羽もサンタクロースの格好をしている
「ねぇ~詩樹、なんでトナカイなの?」
虹羽は詩樹を見て笑っている
「だって、可愛いですよ〜」
詩樹は真面目な顔で虹羽に言った
「まどかちゃん!!可愛いよね?」
詩樹はトナカイの角と真っ赤な鼻をつけ、こっちを見てきた
「凄く可愛いですよ〜詩樹ねえちゃん」
まどかは笑いながら答えた
まどかにも用意されてたサンタクロースの服装に着替え、クリスマスパーティーがはじまる
みんなの手元にグラスが手渡され乾杯の瞬間、
「カランコロンカランコロン」
「いらっしゃいませ〜ようこそ月影ノ紫水晶へ」
らいとも虹羽も詩樹も声を合わせて言った
「えっ!?パパ!?」
パパがサンタクロースの格好になって、
月影ノ紫水晶に来た
「えっ?なんで?どうしてここが?」
私がビックリしてると
らいとが私に話した
「実はまどかちゃんが月影ノ紫水晶に来てるの
パパさんは知ってたんだよ」
「黙ってごめんね…まどかちゃんが通うようになった時にどうしても伝えたくて」
「月影ノ紫水晶に来てもらって話したんだ」
「あっだから、門限とか優しくなったんだ?」
パパはちょっと気まずそうにしながら
「まどか、ごめんな…紫水さんからも口止めされてたから…」
さぁさぁ~こちらへ…
らいとと虹羽に手を引かれグラスを手に持った
「今宵は聖なる夜、誰もが幸せになる日
みんなで楽しもう〜乾杯〜〜」
グラスをみんなで音を立てて口に運んだ
それからひとりずつ、余興がはじまり
らいとがマジックを、虹羽は切り絵、
詩樹はバルーンアートをして見せた
みんなでクリスマスのごちそうを食べ
るぅもれたすもみんな笑顔で楽しい時間が過ぎた
パパもあんなに笑うんだ…
久しぶりに見た…パパの笑顔…
月影ノ紫水晶の雰囲気がそうさせてるのか?
まどかにはわからないけど…
「それでは月影ノ紫水晶クリスマスパーティーの最後になります」
「西宮まどかによる…楽曲披露になります」
「準備のため少しお待ち下さい」
虹羽も詩樹もらいとも、着替えに行き
私も着替え準備を整えた
「えっ!?まどかが歌を?」
パパはビックリした顔してたけど…
少し緊張してきた…心臓がバクバクして…
「まどかちゃん!!大丈夫だよ~」
らいとも虹羽も詩樹もまどかを見つめ
「まどかちゃんの想いを伝えるんだよ。
この曲にこめた想いを…
まどかちゃんはひとりじゃないから」
らいとは笑いながらまどかの肩に手を置いた
虹羽も詩樹も、らいとと同じように
まどかの肩に手を置いて
「行こう〜お客様がお待ちだよ」
ステージに全員が上がり
虹羽はキャンパスへ詩樹はピアノへ
らいとは詩樹の隣にあるマイクスタンドへ
私は中央のマイクスタンドに立った
心臓がバクバクする…ノドの奥が苦しい…
「まどかちゃん、まどかちゃん、」
後ろから、らいとの声が聞こえた
振り返りみんなを見た…
優しい笑顔が眼差しが…
私の緊張をだんだんといてくれる
詩樹がアイコンタクトで私に合図をくれた
私はうなずいて、前を見た
「聞いてください…」
「誰にもきづかれなくても」
詩樹のピアノが音を生み出した
私は目を閉じて…歌いはじめた…
今の私の精一杯の想いをこめて…
「らいとさん、作詞を教えてくれてありがと…」
「虹羽ねえちゃん、いつも優しく抱きしめてくれてありがと」
「詩樹ねえちゃん、優しく歌い方を教えてくれてありがと」
全ての感謝もこめて…歌った…
最後の方は感情がこもり過ぎて…
泣き声になっちゃったけど…
詩樹のピアノが最終節を弾き終わった…
みんなにうながされて、ステージの中央に集まり
「ありがとうございました」
そう言い終わった後、
パパが急に抱きしめてきて
「まどか…ごめん…ごめんな…ごめん…」
泣きながら…私をギュッと優しく抱きしめた
パパが泣いてる…私も我慢できなくて…
声を出して泣いた…
「パパ…ごめん…ごめんなさい…」
「私…素直に言えなくて…」
少しの時間が過ぎた…
「本日は月影ノ紫水晶クリスマスパーティーに来ていただき、ありがとうございます」
らいとがマイクスタンドに立ち
パパと私に向かって言った
「最後の曲になります…聴いてください」
「月影ノ紫水晶」
詩樹がピアノを弾きはじめた、薄い緑色が詩樹に集まり、
虹羽はキャンパスに絵を描き、淡いピンク色に染まり出す
「あっ虹羽ねえちゃんの(色彩虹筆)が発動する」
らいとにも薄い紫色が集まり初めた
「らいとさんの(月饗歌)も発動する」
まどかはパパの耳元でつぶやいた
「パパ見てて、これが月影ノ紫水晶なんだよ」
らいとが歌いはじめた…
辺りの灯りが全てのランタンが紫色に輝きはじめ
淡い紫色に包まれてゆく
虹羽の筆が空に映像を映し出してゆく
「パパ」まどかが空を指さした
「あっ…あれは…」
私が小さい頃のパパと一緒に遊んだ絵が
誕生日、ハロウィン、クリスマス、
私も忘れかけた…あの日の想い出が…
パパがまた泣いてる…私もつられて涙があふれた…
パパは私の手を握りしめ…
月影ノ紫水晶を聴き続けた…
曲も終わりに近づいて、淡い紫色がだんだん薄くなってゆく…曲が終わった…
「パチパチパチパチパチパチ」
パパも私も立ち上がり、拍手を続けた
らいとも虹羽も詩樹もステージの中央に立ち
深々とお辞儀をした
「ありがとうございました!!これで月影ノ紫水晶クリスマスパーティーを終わりにします」
「本日はお越しいただきありがとうございました」
らいとがパパと握手をして
私は虹羽ねえちゃんと詩樹ねえちゃんと抱き合った
るぅも、れたすも、みんな集まって最後の抱擁をしている…
「私…この光景を絶対に忘れない…」
そう、まどかはココロに刻みこんだ…
「今日はお招き本当にありがとうございました」
「紫水さん、星空さん、山原さん、これからも娘を…まどかをよろしくお願いします」
パパが深々と頭を下げた
「いえ、いえ、もうまどかちゃんは月影ノ紫水晶のメンバーですから」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
らいとさんがパパに言った
「えっ私…月影ノ紫水晶のメンバーになったの?」
虹羽が
「そうだよ~本当はもうなってるんだけど…
らいとがちょっとイジワルしたんだよ~」
詩樹も
「そうなんですよ~らいとさん、こうゆう時イジワルだから〜」
らいとはちょっとイジワルな顔をして笑ってる
「嬉しい〜これからも通っていいの?」
「パパさんの許しがあればね」
「やった〜」
私は虹羽ねえちゃんと詩樹ねえちゃんに抱きついて喜んだ
るぅとれたすの頭を撫でながら、
「これからもよろしくね〜るぅちゃん、れたすちゃん」
「ニャーオ、ニャーオ」
返事をするように鳴き声が響いた
雪は止んでいたが辺り一面は真っ白に
月灯りに照らされ、キラキラ輝いている
「それではありがとうございました」
西宮親子を外まで見送り
月影ノ紫水晶のメンバー全員で見えなくなるまで
手を振り続けた。
「今年のクリスマス楽しかった〜」
虹羽が扉を開けながら言った瞬間…
「あっお姉ちゃん!?」
「あっヤバ…!?」………
第一章 完




