第63話 World is beautiful おまけ付き
年末族長会議。
その場に集う者皆が起立し反対無く配給減、将来廃止、紙幣制度の導入が可決された。
「租税制度は、此方に草案を纏めてある。後程よく読んで、よく考えて次回の族長会議で詰めたい。今後、皆の仕事の一助として、漁業農業鍛冶工芸などの組合を設立していく。此方も草案を用意した。」
翌日、各掲示板に恵比寿文が掲載された。
ちょ まてよ!? _卜‾|○
マレは膝から崩折れた。
築うん十年のボロ平屋横。
喜々として建築作業に勤しむ鬼女の集団。
コロス(´;ω;`)キカ
ブラックな労働環境に残業夜勤が加わる日も近い。
当然、サービス残業 (意味深
晩、夕食の話題は縁札紙幣。
ミミとミウが朗らかに元気良く声を挙げた。
「兄ちゃん!」「兄貴ぃ!」
「ハイハイ、何でしょ、おじょう達。」
「百縁いっぱい刷って!」
「使い放題!」
「駄目、絶対駄目。やったら、お尻ペンペンの刑。マ・ジ・デ。」
マレ自宅横にも掲示板が在る。
子供達がなんで?と尋ねる。
「皆、よく聴きなさい。まず、ならぬ事は、ならぬ。駄目なものは駄目。理解できなくてもやっちゃ駄目。理由はいっぱいあるけど、まず、やるな。刷った縁札は厳重保管。持ち出し禁止。やったら親子の縁を切る。」
お尻ペンペンよりも縁を切られ昔に戻る事を皆が恐れた。
飢えと寒さに震える夜。
理不尽に振るわれた暴力。
あの日々に帰りたい者は誰もいない。
そう、誰からも愛されない存在である事は辛い。
「ミミもミウも、この場に居る皆も、皆が日々俺の仕事、家の仕事を手伝ってくれている。だから来年からは縁札で、お小遣いをあげます。十二歳、働きに出る歳になったら、見合ったお給料を支払います。大人の仲間いりですから。」
「私、お給金をもらった経験が無いので楽しみです。」
現在、家事、幼少の子供のお守り見習いリストアス・アーミテノール元王女殿下は瞳を輝やかせ中空を見つめ胸の前で手を合わせる。
アイ、ケイ、シウ、サジの年長組もとても興味が在るようだ。
マレは俯きフフフフと低く不気味な笑いをもらした。
「甘い、余りにも甘い。正にスイ〜ツ大好き、お花畑でキャッキャ、ウフフ、そ〜ら、私を捕まえてみせなさ〜い、私、夢見る夢子ちゃんよのう。」(´=ω=`)
そして、男は現実を語る。
金とは入ったら出ていくもの。
まず、最初に税金を強制的に徴収される。
更に年いち、季節に一度、税が掛かる場合もある事。
家庭菜園、自前の炭焼きだけでは生活ままならない事。
「自分の手元にお金が入って出ていくのを目の当たりにすると、もっと、もっとお金を縁札を欲しくなる。縁札を無理にでも集めようとして、魔が産まれる。大きくなった魔が心を狂わせる。此れを魔が差す。皆には辛い話しをしよう。」
殺されそうになった。
奴隷になった。
手足、眼を失った。
「全ては、皆の周囲にいた大人の心の魔が差したんだ。家族を大事にしなさい。隣人に優しく仲良く。目の前に居る人を思いやりなさい。本当に大事なものは眼にみえないんだ。」
夕食、団欒の時間、説教くさい話しで場を暗くした事を男は養父は最後に詫びた。
皆の沈黙、最年長者のプラノが口を開いた。
「いえ、大事な事です。恵比寿様のお言葉通りですね。恵比寿様とは、どの様な神様なのですか?壱縁札に画かれた神様なのですよね?あのふくよかな。」
プラノの言葉、プラノの反応にシウとケイが、え?と小さく声を漏らし。
アイが、知らないのですか?その、
「プラノさんの目の前に、、、、」
「え?はい?」
ヽ(°∀°)/「「此奴!!」」ヽ(°∀°)/
「こらッ! ミミ、ミウ、恵比寿様でしょ?」
双子を叱るアイ。
マレを指差す双子。
プラノは食卓に座る、ケイ、シウ、サジ、初をみれば皆がニコニコと笑み。
アーミテノールを見れば皆と同様に微笑み。
プラノは、、、困惑と沈黙で、
(´=ω=`)なんや?プラノこっちみんな
今年もあと僅か。
翌日から家族皆を連れ五丁目、縁屋恵比寿、店舗準備へと向かうマレ。
( ゜д ゜)あ〜ワロスワロス
(´=ω=`) テラ家内制手工業的親族経営零細企業乙
此の日、マク、タン、有志一同、ロレ国定期荷馬車が縁屋恵比寿に大量の荷を運び込んだ。(心づけ日給拾縁)
新年よりケイとシウが社会人として店に立つ。
(日給十一縁 日給月給制)
天降元年 十二月 三十一日
皆で早目の夕食を囲む。
本日は鍋物。昆布出汁と魚醤に少し物足りなさを感じつつも子供達との食事は何ものにも代えられぬ幸福である。
締めのうどんを入れながら。
「明日朝早く、陽が昇る前に海浜町に行って初日ノ出を観るから、好きに過ごすか今のうちに寝ておきなさい。」
「どうして?太陽がでるのをみるの?」
元物乞い、左脚を欠損する百合六歳の素朴な問いかけ。
養父は少女に目線の高さを合わせ。
「新しい年、最初に昇った太陽に百合や皆が一年間、健康に無事過ごせます様に、お願いする為だよ。」
「私もお願いする!」
百合が幼い子供達が笑顔で私もと。
吐く息は白く、星明かり明けの明星を見上げて潮騒と潮の香りを感じながら待つ。
徐々に海面の輝きが増していく。
太陽にに向かい二礼二拍手一礼。
アーミテノール、プラノ、子供達がマレに倣い二礼二拍手一礼。
願いと共に。
その後は共同墓地参り。
直ぐ隣に建つ真新しい小さな小さな社に参拝する。
再度、浜辺へ戻り、振る舞いの甘酒、あら汁を堪能しながら、会う人、会う人に新年の挨拶をしていく。
此の後、浜辺で行われる予定の相撲大会、弓射大会。
今年は世代男女別、種族別制を採用した。
「おぃっす あけおめことよろ」
「あけましておめでとう」
「あけおめ ことよろ!」
「あけまして〜 よろしく!」
「あけまして 今年もよろしくな」
ハクを除く義兄弟で年初のハイタッチをかわす。
タンが プークスクス と笑った。
「思い出した〜、去年の今頃、ハクが来年はセンに勝って俺が絶対に横綱になる!って気合いいれてたな~」
「砦の警護乙」www
タンの笑い話にニヤニヤとするホウ。
そして砦警護が無くともハクがセンに勝つ事はない。
センは今年、初代横綱として行司に回るのだった
名誉横綱行司、一日、心づけ三縁支給。
「今年から、相撲、弓の優勝、準優勝、三位まで金一封なる物が出るそうだな。皆張り切っている。盛り上がるだろうな。」
義長兄の提案に感心するばかりのセンであった。
マクは腰に付けた布小袋から先月の給与として支払われた縁札一枚をとりだし。
「金一封て、この紙だよね。正直、実感沸かないな。此れが麦や塩に交換できるのか〜。」
「縁屋、三日から、初営業を始めるから、まずは覗いてみてくれ。見て触れて感じて、通貨が如何に優れた道具であるかを実感して欲しい。極小量だが南の大国タリアの品もある。マクが作ってくれた日本酒、米酢、酒粕にウスターソースも棚に並んだ、タンと職人達で作った銅鍋、焼き銅板、ありがとうな。」
「ちょ、照れるぜ」
「あ、うん、好きでやってるしさ礼はこっちこそだよ。」
「僕は、一月五日の漁師組合の初捕れ初売り市で縁札使うんだ!」
ホウは一ヶ月の軍曹給与を握り締め初市で高額食材を買いまわるようだ。
タンは鍛冶組合は立上げの目処すらたたない状況に溜息一つ。
海浜市、人口千五百人強。人手不足は深刻である
「皆、後で娘達を家まで送ってくれるか。」
「大会観てかないのか?一応、此処で一番偉いんだぞ?」
「すまんな、行司はセン、表彰式は族長、運営は年長文官組。来年からは新年祭実行委員で運営。俺の手から離れてく。今から砦の皆にお年玉と年末年始手当の縁札渡しに行かなきゃな。」
「立場が偉いのも難儀だね〜」(= ゜∀゜)
にゃはと笑うホウに皆も笑う。
「笑う門には福来る だ 笑え笑ええい」 ( ´∀`)
柔らかな初朝陽を浴びて 平原を駆ける
漆黒の巨馬 弾丸
相棒と共に受ける冬の冷たい大気が身を引き締める
晴れ渡る 空は青く 広大
枯草の原野 土の香り
遠く観える山波の雪化粧
此処は 我が大地 我等の大地
「弾丸! この大地 美しいな!」
漆黒の巨馬 が 嘶く
剛脚にさらなる力をこめて 疾駆する
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おまけ 副題の副題
鼻垂れ小僧
門前の小僧
もう一人の伏龍
その名は ◯◯◯
「アリガトヨー アリガトヨー」
好奇心が抑えきれない なんだ、あいつ?
「アルヨー アルヨー イイツボ アルヨー ツチ クレ ツチ クレ ツクル ツクル」
なにをやってるんだろう?
“コンコン”
え? 硬い すごい こんな物作れるなんて
すごい
「オレ カミ エビス アルヨ」
「スミ ツクル」
燃えた木が 燃えてる? ゆっくり燃えてる
「黒曜石」
こくようせき 僕たちの新しい道具
すごい すごい
「重籐弓」
すごすぎる弓 皆も大喜びだ
「うんこ まけえええええ」ヽ(°∀°)/
きっと 何か 何か あるんだろうな~
ワクワクする。
「おら〜授業すっぞ〜ガキンチョ共〜」
「先生!」
「あ?また鼻水垂らしやがって!ほらチーンしろ」
え?え?え?え? なに これ
「これが平仮名な〜 表作ったから憶えろよ〜」
木炭粉と水 木の棒のペン 竹簡
文字。 記憶を記録に換えて残せる
数字。 0123456789〜どこまでも続いてく
僕は僕の世界を この墨とペンで手に入れた
先生 すごい 凄すぎる
その狼人の子供は歳の頃でいえば年少組。
年長組よりの年少組。
神 恵比寿 マレと名前を変えていく男が集落へ来ると決まって、その後をついて回った。
子供の好奇心。
青空の下での勉強はいつも驚きの連続だった
どの子供達よりも、学ぶ事に貪欲だった
「お〜し記録係募集!」
「はい!先生!」(=°∀°)/
その狼人の子供は寄り合い、集会での書記係に立候補した。
大人達の会話を記録し推敲までおこなった。
何時しか外の人族と交流を持つようになると多くの記録を竹簡に書き留めた。
王女、商人、職人。
少年の世界は拡がり続けた。
夢幻なるかな
「我等一堂、義兄弟、長兄マレに、何処迄も、お供致します! たとえそれが死地であろうとも!!」
年若すぎた。
自分は連れていってもらえない事を嘆いた。
そもそも、文と数字ばかりで重籐弓を持っていない。弓を引いた事もない。
少年は狼人男児としては異端。
重籐弓、黒曜石ナイフ、竹刀よりも墨とペン。
先生は、先生は絶対勝つ!
「皆、遅くまで待ってくれていた事に感謝を、再度の報告になるが、我等の勝利だ。敵将討ち取り、敵は壊滅。此方は被害無し。家族の帰りを待つ者もいるだろう、安心して欲しい。当面の危機は去った。」
“恵比寿”
戦勝の報告。
少年もまた、熱狂の声を挙げ吠えた。恵比寿!
「鬼人族長、猫人族長に各三人、秘書官に付いて欲しいんだって。」
狼人年長組と何時しか呼ばれる様になった集団。
最年長の狼女子が中心になり仕事の分担決めがなされた。
「ユウ族長に付いてあげて。」
「え?僕ですか?僕できたら先生付きが、、、」
「無理無理、先生独りで何でもできちゃうし。ユウ族長頼りないしね。もうこれは決定! 今、大変な時期なんだよ。」
「ん〜ん〜、どうしよう、困ったな」
「どうしました?ユウ族長。」
「あ、秘書官。あーどうしよう」
困ってたら、お前達が支えてやるんだぞ
先生の言葉が思い出される。
「まずは、話してみてくれませんか?」
ふんふん、、、、あ!
此時、僕は、思い付いてしまった。
「ユウ族長!この件、僕に任せてくれませんか」
「え?妙案がある、、、のか?」
「はい、で、ユウ族長に、お願いがあるんですけど〜。」
ザワ ザワザワ ザワ ザワザワザワザワザワ
「御賛同頂ける族長、会場の皆様、御起立をお願いします。」
や、やった、、、成功だ
交渉と取引。
そして自分の未来を勝ち取った少年。
息を切らせ駆け。
「カムミールさーーーーン!」
「あ〜、うん、ユウ族長から話しは聞いてるよ。」
「じゃ、じゃあ!」
僕は、ユウ族長と取引をした。
族長の困り事を解消できたらカムミールさんに先生付きの文官へ推薦の口添えをして欲しいと。
「今は無理! 当面はユウ族長を補佐しつつ各所の補佐もやってね。」
「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」( ゜ д ゜=)
「秘書官の仕事は他の二人に任せて、ユウ族長に呼ばれた時だけ補佐して、あんたは当面、各所の補佐も兼任。あんたは、何でも屋の書記官ね。」
何でも屋の書記官。
鼻垂れ小僧
各所、各人の補佐をして回る
門前の小僧
少年が頭角を現すのは、少し先の未来
万夫不当
一騎当千
国士無双の活躍するは少し先の未来
その名は 書記官
黒衣の男の専属書記官になる男
そして幾度も黒衣の男を裏切った狼男
小龍、未だ伏す




