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第52話 Take The Wave (7)  


 早朝 冬の気配近付く晩秋


マレは黒馬の綱を引き村をでた。

「はぁ~乗馬にも馴れんとな〜。」


原付生活の終わり。

移動の友に馬。

朝焼けの平原を前にして大人しい黒馬を相手にあぶみに足を掛け苦労して広く大きな背に跨る。

黒馬の首筋を撫でながら言う。

初心者なんで宜しく頼むぜ。

初心者でチキンマレ、安全の為にフルフェイスヘルメット着用済み。

 手綱を握り締め、馬腹をそっと蹴る。

「うおっ」

揺れる。


「ちょ、うわッ、はや、ゆれ、ら、らめえええ」


駆け出す黒馬、漆黒の風。

平原を想うがままに駆ける。

マレは馬を御しきれず、馬に背負われ運ばれる。

ただ、必死に馬の首にしがみついた。



 あふン どうやって停まろう Σ( ° д °;) 

 (*゜∀゜)ピコーン 閃いた

 ( ° д ゜)お馬さん 疲れて 停まる ハズ

 ( ´ཀ`) ムリ メマワル ハキソ


原付とは異なる加速感。


「正に矢の如く、いや、鉄砲玉か。」


男は必死に巨馬首にしがみつき叫ぶ。


「弾丸! お前の名前はDANGANだッ! ヨロシク頼むぜ! 相棒!」


漆黒の巨馬、DANGANが平原の只中でいなないた。

朝陽を浴び駆ける漆黒。

咆哮を挙げるDANGAN。

漆黒の弾は脚に力を込めさらに加速する。




 「ぃょ〜ぅ マレ 何だ?眠いのか?」

要害、砦建設予定地。

ホウは上からマレを覗き込むようにして尋ねた。


「そんな風に見えるか?」

「見える」

弾丸(DANGAN)やばい、」

「はぁ?」


五体投地し天を仰ぐマレ。

上から怪訝な表情覗き込むホウ。

横では漆黒の巨馬が桶からガブガブと水を飲む。

ホウに続きハクとセン、三人共に先程軽い乗馬練習を終わらせたと報告する。


 現地、現場の皆を集めての集会、報告会。

年長組が用意してくれた馬飼育書と峡谷砦簡易設計図を渡す。

現在、丸太を組み縄縛った簡易柵は出来ていた。

今日は穴掘りを予定している。

防衛概要は両崖上からの弓射と柵後での長槍と弓での応戦。そして、

「敵を発見したら、速やかに狼煙を焚け。」

連絡手段の確保。

 今迄実験作業小屋に籠り積み重ねた経験が、此処にきて幾つも披露されていく。


「猫、鬼人各三十名に軍役を課した。配属後は整列、行進訓練から、並行し読み書き算数を学ばせる。猫人に関しては体が小さい、槍、弓は不向きだ。当面は接収した長剣を持たせ、間接攻撃は投石を行わせる。」


「マレ、無理に猫人族を軍役に入れるより何かを作らせたほうが良いのでは?」


センの提案に数人の狼人は同意の頷きをするがマレは否定する。


「夜目が効き、小柄で身軽。今後見張りは一日中行うのだ三班交代制になる。彼等は日中休ませ真夜中に運用、体格に合わせた装備も今後用意する。適材適所。」

マレは皆を見回し。


「将来、猫人族は夜間斥候、不意討ちの襲撃に多大な戦果を挙げるだろう。」


 未だアル峡谷入口には五十名程の狼人が駐留する。今後の増員、交代にて休暇の為に村へ戻るローテーションを話し合い後、本日の作業を開始する。

更に三日後、猫、鬼人、計三十名第一陣が到着する。

砦手伝いにと鍛冶師三人と荷車に載せた資材も到着した。

鍛冶師の狼人が伝言を告げる。

ローレライ王女殿下が海浜村でお待ちです。

 翌日、半数の狼人とハクが帰還。

後の事をセンとホウに任せる。

「すまんが後を頼んだ。ハク一足先に行かせてもらう。」

漆黒巨馬、弾丸(DANGAN)が一声嘶く。






「よッ、待たせたな。」

「マレえええええええ」


 邂逅一番、もの凄い形相で駆け出すローレライ、被っていた大き目ベレー帽が地に落ちる程に


 あ、やばい ('A`)


何時もの理不尽な暴力が来ると強く目を閉じた。


 心配掛けたしな


黙って殴られる事を選ぶ男。


 ぽすん


男の胸に小さな衝撃。


「あほう、心配したんやで。」


男の胸に赤髪。

男は少女の髪に大きな手を乗せる。

ただ、うん、とだけ返事を返し。


「今や、今やで!」

「そこや、そこで、ブチュと!」

「そこで寝技に持ち込むんや!」

(*゜∀゜)(*゜∀゜)(*゜∀゜)        Σ( ° д ゜)


ロレ職人のおばちゃん達がニヤニヤとした笑みを浮かべ野次を飛ばす。

マレ取り敢えず外野をスルー。


胸の中で鼻水を啜る音。

「すまん、心配かけたな。」

「ン、ニケの事は残念やったと思う。皆で墓参りさせてもろうたわ。」

少女の言葉が痛い。

ありがとう、あいつも喜んだだろうと礼を述べ。



 海浜村、中央広場集会場にてローレライ商隊と合流し戻った第二王女ローレン、文官リンレンと

歓談する。

 サウス家最年長サンディが周囲の状況を確認しながら。

「一気に人が増えましたな。猫人と鬼人、二部族が合流ですか。」


「ああ、一気に二倍に増えた。こーなると更に物が欲しい。ロレから穀物は駄目でも石炭、鉱物、採石物、布、綿、羊毛。ぶっちゃけ塩以外は何でも買うぞ?みたいな。」


マレの言葉に海浜村唯一の交易商人、ローレライ商隊、商主はクククと笑う。


「ええで、ええでぇ〜。最近交易所に商人が、よ〜足運んでくる。近場に宿屋兼酒場も建ったんや。今なら商人の荷買い付けるのもありや。」

「此方に来ている職人さんが戻り次第、公共施設建設も始まりますし忙しくなりますよ。」


ラミスの言葉にローレン、リンレンも笑顔で同意する。


「あ〜〜〜、忙しくなっちゃうかぁ〜。ロレに硝子の生産技術供与して作って貰いたかったんだが、無理そやね〜〜〜。」


 マレののんびりした口調、しかしその言葉に、ロレ国の面々の表情は凍りついた。


「が、硝子ですか?硝子は何でも石を高熱で溶かすとか。その方法、技術が秘匿されているんです。」


文官カイル・リンレンの説明。タリア帝国硝子製造独占の理由。


「あ〜石英、長石だな。此れは何処でも簡単に手に入る。これにソーダ灰を混ぜると溶ける温度が下がるんだわ。」


「ソーダ灰ですか?」

「マレ、ソーダ灰何処にあるんや!早う言え。」


「問題はさ〜ソーダ灰、一部の海藻を焼いた灰から作るから量が集まらないのよ。」


「簡単では、、、無いと。」

「期待させんな!ブッコロすぞ!」( °д°)、ペッ


「そーなると、ソーダ灰に含まれる炭酸ナトリウムを得る必要がある。炭酸ナトリウムと言っても分からんわな。」


「たんさん なとりうむ ですか?」

「あ、マレさん、説明の続きどぞ。」(._.)


「此方での呼称何て言うのか知らんけど。炭酸ナトリウムの塊、鉱物を手に入れる必要がある。元々海だった場所で現在乾燥地帯や砂漠になってる場所で採れるらしいから。タリアも周辺の土地、もしくは自国で採れるんじゃ無いかな?塩湖の周辺とかにもあるらしいよ?ナトロン、トロナ。」

 知識として有るが経験が無いと何時もの言葉を添える。

後程、(パソコンの映像)を自宅で観せると告げ、各種技法技術的な事も伝える必要があり、硝子製造の話しを終えるマレ。


「タリア周辺国、ロレ国近隣もそうです。全ての硝子がタリア産です。そこに僅かでもロレ国産が喰い込めば。」

「念願の主要産業やで!!」


ローレライは両腕を組み暫し考え込み。

そして一大決心する。


「交易一時休業や。バークス商会への卸しとロレ交易所に注力しよ。その分、ロレと海浜往復荷運びと、ナ?トンナ?集めに人割いてく。」


第一王女の決断に皆が、おおと歓声を挙げた。


「あ〜ロレ国は石炭(燃える石)採掘やってる?」


「細々としたもんやな、そんなにいるのか?」


「欲しいな〜。今、実験あれこれやってて欲しい物が多過ぎる。金はあっても物と人手が足り無い。」


マレの言葉にローレライは口をへの字に曲げ、


「マレと出会ってから金は仰山入って来るけど、忙しなるばっかで一向に仕事減らへん。まあ、やれる事から片そか。」


「同感。あ、ローレ、またロレ経由でレキ国に入りたいんだが。頼めるか。」


「またぎょ〜さン 女転がして泣かすんやろ。」

いつものやり取りと共にローレライはパピルス束をマレに押し付ける。

「前回頼まれてた件の報告書や。他にも市井の噂も集めてある。」

目の前にドサリと金貨、銀貨の入った袋が置かれる、今回の自分の取り分には目もくれず報告書に目を通す。


 6、か、、、、、、、





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