第30話 太陽は昇る
ローレライを見送り後の日々も以前と変わりなく、そして忙しく過ごした。
変わった事と言えばマレは狼人族の集落を“海浜の村”と呼ぶようになった。自然となんとは無しにである。
「あ、い、う、え、お」
「か、き、く、け、こ」
変わった事、二つ目。
ニケ達を伴ない毎日のように海浜の村を訪れる。
決まって、午前の半日はニケ達、ハク達、狼人族の子供達を集め、平仮名、片仮名、アラビア数字の読み書きを教えた。根気よく続ける。
時折、暇な大人や若衆が交じり勉強会を見学していく。
毎日、一日一回、米粥を観察するマレ。
カビの生えた粥とマレを悲しげな目で見るのはハマとハクの家族で母のサカエ、姉のサチ。
「サカエさん、サチちゃん、いい所に。このカビみてよ。」
米も麦も初めて食したのが数日前。
その時余らせた粥に生えたカビ。もう捨てるしかないのだろうと狼人の母娘は悲しくなる。
「カビですね。」
「カビです。お粥が可哀想。」
「これは良いカビ! カビにも身体に良いカビと悪いカビがあるんだよ!!」
変わった事、三つ目。
マレがコウジカビを作った。
この後、狼人婦人会にてコウジカビの増産と麹作りを開始した。
時折、硝石丘小屋の土かき混ぜ作業。
「クッせっ!」
鼻が利きすぎるハク達は顔を顰め、鼻に布を巻き作業をした。
「Brother。これ役にたつのか?」
「も〜そりゃドッカンドッカンよ!?」
時折、自宅横、畑と室内プランターにて、マレが持ち込んだ、じゃが芋や大豆等の農作業、増産作業。
ヽ(`Д´)/クソ!チートスキル寄越しやがれ!!
時折、地道過ぎる作業の日々に悪態をつく。
12月31日
年の瀬。狼人族にとっての暦とは、ぼんやりとした感覚での四季程度であった。
そんな彼等の感覚に変革をもたらすべく動き出すマレ。
この日、狼人婦人会に手伝いを要請し大量の麹甘酒を作る。
婦人会の先行試飲を経て後、集落内に告知作業。
明日、皆で日ノ出を観よう
参加者には振る舞い甘酒もあるよ!
けたたましい音を発する目覚まし時計。
時間は午前三時。前日、早めに就寝させた子供達ではあったが、やはり眠いのだろう。
ニケとアイの年長組を揺り起こし、初日の出詣での準備をさせる。
「明けましておめでとう。」
寝ぼけたミミ、ミウ、初の三人に厚着させ、手押し一輪車に無理に乗せ海浜の村まで連れて行く。
村内、ハク専用竪穴住居に無断侵入し高鼾をかく白狼を起こす。
「明けましておめでとう。」
寝惚け眼のハクに新年の挨拶をする。
「や、ぶらざ」
ハクは一度は目を開けるも二度寝する。
起こすのも可哀想かと次へと向かう。
「明けましておめでとう。」
「おはよう、Brotherマレ。」
五人の中で唯一起きていたのはセンのみであった。他の皆は二度寝した。
「センはよく起きれたな。」
「昨日昼寝してから、ずっと起きてた。マレは俺達に日ノ出を見せたいのだろう?」
男の意を汲み準備していた黒狼のセンは火鉢を抱え。
向かった海辺の砂浜。他に狼人は居らず、マレとセン、ニケとアイ、そして今も微睡む初とミミ、ミウ。
「取り敢えず準備すっか〜。」
「ん。」
マレは甘酒の入った壺を取りに村内へ戻り、センは火鉢に金網を置きメザシを炙り出す。
ニケとアイは麻の敷布に腰を下ろす。
吹き付ける潮風は冷たい。
焚き火と火鉢で暖をとる。
温まった甘酒と魚のアラ汁を用意するマレ。
センは今だ暗い海を眺めながら焼いたメザシを齧っていた。
「マレ。」
「おう、どした。」
「何故朝日を?」
「ん、一年の計は元旦にありって言ってな。元旦が今日何だわ。で、言葉の意味は最初が肝心。で最初から最後までやり抜こうぜ?みたいな。」
「そうか。」
「見事に元旦行事滑ったな。」ww
自虐と共に笑うマレ。センは立ち上がり尻に付いた砂を払う。
「そろそろハク達を起こして来る。」
月と星明かりの下、センは皆を連れて行くると黒い尾を揺らしながら場を離れた。
「ちーす」
「おはよっス」
「あ、ああ、明けましておめでとう。」
意外な者達の来訪にマレは動揺した。
狼人族の若手若衆二人が日ノ出詣でに来た。
何かとマレハク達が関わるイベント、行事には顔を出す二人だった。
「甘酒とアラ汁、どっちからいっとく?」
「俺アラ汁。」
「どっちか一杯スか?」
「いや、甘酒、アラ汁どちらも、おかわりあるよ。」
「あ!じゃ自分、甘酒飲んでみたいス。」
碗に注がれる熱い汁物。白い湯気と共に香りを堪能する若い狼人二人。
その後、族長ハマが朝が早い年寄衆を伴い参加。その後もチラホラとではあるが、覗きに来た程度の感覚にて参加者が増えていった。
「おはよーす!」
暫くしてセンに起こされハク等四人もやって来た。
時同じく、午前の読み書きを教えている子供達もやって来る。
皆が甘酒をアラ汁を飲み、ほうと吐息した。
マレは会う狼人に、明けましておめでとう、と必ず挨拶する。
浜辺、複数個所に火鉢や焚き火。
太陽はまだその姿を現す事無い、黎明の空。
浜辺に集まった狼人は二百人弱、多くの狼人は今だ寝入る。
「皆、今日、海から昇る太陽を見る。今日という日の朝陽は縁起物。良い事がきっとあるはずだ」
浜辺、打ち寄せる波の音に負けぬ様、マレはこの場の皆に大声で説明した。
その言葉は場の狼人には、客人神様が言うのなら、多分?そう云うものなのだろうな。とぼんやりと伝わる。
彼等、狼人族の全ての者がマレを徹頭徹尾信じている訳では無い。
今も懐疑的な糞尿集積所、子供達への教育、結果の出ていない事は多い。
彼等からすれば、良い、便利、珍し事を教えてくれる流れ者、渡来人がマレである。
自分達の生活を損なう事無い限りは受け容れようのスタンスであった。
「そういや。」
「どうした。」
「こ〜朝陽をまともに眺めるのって初めてじゃないか?」
疑問を口にしたハク、相槌のセン、聞き役マク、タン、ホウは波打ち際で両腕を組み横並ぶ。
「まー何時でも出来そうな事だし?」
「だから、今迄、拝んだ事もないし。」
毛を潮風撫でていく。五人、日々の日常を振り返り反芻する。
「紅いな~。」
ホウはつぶやいた。
水平線が紅く燃える。
遠く海原が燎原の火の様に燃える。
「見て見る、、、もんだな。」
吹き付ける潮風に黒い毛並みがそよぐ。
冷たく湿った潮の香りを吸い込み。
世界の端を見つめ黒狼は呟く。
天道を征く紅き日輪が夜の闇をはらう。
「皆、明けまして、おめでとう!ここに暦表なる物がある。皆には暦が分からないだろう。分からなくていい、まずは写し家に置いてくれ習うより慣れろだ。今日は一月一日。この暦表の始まりの日であり元旦という。とても目出度い日だ!」
ここで一旦話しを区切った。
間を作り、浜辺の皆を見回した。
「我は ここに 宣言する。暦表の最初の日から最後の日迄を、天降元年とする。我は渡来人にして客人神、恵比寿。ニケ、アイ、初、ミミ、ミウ。全ての狼人族よ。我が同胞にして我が子供。我、汝らを守護しよう。我が元で生き、我が元で駆けよ。我が元で子を産み育てよ。我は皆を祝福しよう。今!新しき太陽は昇った!ここより新しき時代を始めよう!皆を拳を握れ、天に掲げよ、そして叫べ。“Rising Sun“と。皆、いくぞ せぇーの!」
“RISING SUUUUUUN”
皆が拳を振り上げる。
皆で共に叫ぶ。
冷たい潮風、波の音、黄昏の太陽が皆を狂わせる。場の空気に熱狂した。
天降元年 元旦
男は誓いをたてた。偽りの神として、皆の為に生きていくことを。
遅れて起き出した者達が続々と砂浜に集まって来る。各家庭で火鉢を持ち寄り。甘酒、アラ汁を受け取り寛ぐ。
「よし!相撲だ!新年初相撲をとるぞ!」
突如始まる相撲大会。
最初はルール説明。用意していた景品の干し柿。
「一勝で干し柿一つ!百個しかないから早い者勝ちな。」
マレとハクによる見本相撲の後、マレの行司で試合は進む。
力比べ、若き狼達が熱狂する。
砂に顔から突撃したハクに観客が歓声を挙げる。
「勝者〜ぁ セン〜〜ン」
押し一辺倒のハクをいなしセンが勝利した。
天降元年、横綱の称号が黒狼に贈られる。
相撲とは太陽への奉納。
狼人族にとって初めての神事。
526 マレ新年あけおめ
あけおめ
忙しくて報告無しスマソ
527 名無しさん
年明けてない件
時間の流れおかしーやね
528 名無しさん
久々の生存報告 ネタ尽きたか?
529 名無しさん
女転がすのが忙しかった (ゲームのなかで)
早くタイトルを教えるんだ。
せめて、、、ギャルゲかエロゲかだけでも
530 名無しさん
≫529 18禁源氏物語だと思ったら
対象年齢13歳前後 村運営SLGだったでゴザル
のんびりスローライフ 〜もふもふ開拓村〜
畑に釣り、鍛冶や家造り。パン焼きだって
楽しめちゃう
531 名無しさん
≫526 悪逆無道独裁者ロールプレイ乙
モヒカンに釘バット用意するから俺も混ぜろ
532 名無しさん
ここまで
女傾奇者に馬乗りになって気持ちイイ迄読んだ
貴族の娘ってどーよ?
533 マレ
ロレ旅商のサンディさんが
どーせ家中でも鼻つまみな下級役人の次女でし
ょう ほっとけ らしいよ
534 予告さん
㌧㌧ト㌧ ㌧ト㌧ ㌧㌧ト㌧ ㌧ト㌧
新たな年が明け 覚悟を決めたマレ
しかし そこに 予期せぬ 愛人たちの襲撃
次回予告「黄金の右 ローレライ無双」
正月太りのマレ 打ち切られる愛人契約
あ、、、お餅にカビが
残念 それは私のお稲荷さんだ




