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第29話 黄昏の誓い

 

   「うぃ〜〜す brother。」


昼前、午前の遅い時間にハク達五人がマレの家を訪ねる。

この時、マレはロレの面々に炭焼き窯の説明をしていた。

 ハク達は自作丸太椅子に座り朝食の残り、硬くなったパンをニケから供され試食する。

「あ〜これ、シナモンとシロップかけたら絶対美味いやつ。」

違いの分かる狼男ホウ。




太陽は中天に。昼食は無く、喫茶と朝食のパンの残りを少量頂くのみ。


「ミミ、ミウ。蒸せば柔らかくなるぞ。」


火鉢にかけられたヤカンから出る蒸気を硬くなったパンに当てる。


「マレ、このパンまた焼くのか?」


マクに問われ、この後、ロレの面々に教えると。


「お前等もパン作りやってくだろ?」


問い返され勿論だと答える五人の若者。


「じゃ簡単なのいくか。ナンぽいやつ。乳酸菌発酵で。」


大人と子供が一緒になり生地を捏ねる午後。


「これも魔法の箱(パソコン)から得た知識ですか?」


ミミ、ミウ、初と共にパン生地を捏ねるマレに尋ねるラミス。男はのんびりした口調で対応する。


「あー、うん、昔ね、昔。パン職人見習いだった時期が、まあ、あってね。」


柔らかな太陽の光降り注ぐ午後。

窯でパンを焼きながら集落陶器準備状況の報告を受け、大量に焼いたパンを集落へと持ち帰るハク達。

 





 火の入った炭焼き窯前に座り炭化状況を見守る。窯前に張り付くマレと交代で食事、風呂を利用するロレの面々に分かれる。

 夕暮れの玄関前。防寒の為の厚着、窯からの熱で暖をとる。

マレとローレライ、二人並んで窯前に座る。


「大事な事決めてなかったな。」

「なんやマレ、式の日取りか?だが断る!」


「なんの式だよ。取り分決めてなかったなって。」

「うむ、大事なことやな、半々で!」


「ローレライ商会の取り分三分の一。」


はっきり言い切ったマレ、対するローレライの落胆は激しい。


「俺の取り分も三分の一。残り三分の一はローレライ商会の運営資金とし行商費用の全てを此処から捻出する。サンディ達の給金も宿代も、此処からだせ。」


 ローレライの表情が一気に明るくなる。


「ほ、ほんまけ?」

「条件として俺を共同経営者に。また余剰資金が貯まれば商会を大きくする事。有力者へのワイロも必要だろ。そっちは交易品をタダで渡してしまえ。あとこれ。」


数枚の紙を手渡す。口頭文をラミスとメイに記入してもらった交易品説明書に目を通す。


「真実に嘘が混ぜてある。あとは上手く誤魔化してくれ。あまりにも不思議なとか、未知なる黄金の国とかな。」


「まかせとき!交易女王にわっちはなる!」


拳を茜空に向かって突き上げる少女をマレは、あーハイハイとスルーした。


 その後も幾つかの仕事の話を。

優先納入先はレキ国、女王都のバークス商会。

()()()()の共同経営者として挨拶も兼ね納入に向かってもらう。


「早けりゃ三ヶ月、長ければ半年や。期待しとき!」


「ローレ、ここ二日考えていた。」


男の真剣な眼差しと声色にローレライの心臓が大きく跳ねた。


「あの日の契約、契約の一部を変更したい。」

「な、なんや、け、契約は絶対やろ!今更なんや!?」


契約の一部変更、それが少女を不安にさせた。

落ち着きなく視線を彷徨わすローレライに構わずマレは話を続ける。


「“Give and Take” 与えるから対価を支払う。そう云う約束だ。」

「まあ、商人としては真っ当な約束やと思うで。」


「俺が一方的に納得できなくなってな。」

「な、なんや。」


動揺するローレライ、話しの先が視えない。


「出会って間も無く。互いの事もよく知らず。だが、それでも俺はあの日、あの夜、お前の胸で泣いた。」

「お、おう。」


   こ、こ、これは!わっちにも!?モテ期

    キタ━━━━(*゜∀゜)━━━━!!



「我、客人神 恵比寿はロレ国、王女ローレライを生涯の友としたい。友よ、進退窮まれし時は我を頼れ。友に対価は求めぬ。友の為に死地赴く事厭わぬを此処に誓おう。」


黄昏の空。告白と誓いを建てる男。

その覚悟は真剣で本気で。

生命を懸けた誓いを建てた。

王女は眼を見開き男の気持ちを受け入れた。


 嬉しかった、とても、とても、半分だけ。

「マレ、ありがとう、ありがとうな、嬉しい、嬉しいんやけどな。」


少女は瞳を伏せ憂いの表情を浮かべ。


拳を握りしめ。


次にはクワッと眼を見開く。( # °д°)


あ、あれ?と狼狽えだすマレ。


「なんでそこで!得意の女転がしにいかんのジャ!ワレわあああああああああああああああああ!!!」


ローレライ、王女でなく一女子として魂の叫びと共に放つ渾身の右ストレートがマレの鼻に直撃した。


       「ひでぶッ」

      σ(#°Д°)=◯)`3゜)∵





 早朝。

 ハクはセインを前に言葉を交わし、自身が使用していた重籐弓と矢をセインに贈った。

離れた場所にて見守るセン、マク、ホウ、タンにマレは尋ねる。

何があった?と。

センは喉を撫でながら語ったのは。


「ハクは、若くして虎人族の族長を継いだ現族長と張り合って、、、とういうより、一方的に意識している。」


その為、虎人のセインに対しても敵意剥き出しで初対面を終えた。

王女と彼の関係を聴き自省したのだと。


「俺、男として小せえな、だってさ。」


ハクの自省の言葉を伝えるマク。

マレは、ほ〜んと感嘆の声をもらした。


 視線の先、弓を受け取り硬い握手を交わすハクとセイン。


「ハクも、お前等もさ、まだ若いんだし跳ねっ返ったところが有って当然だと思うぞ?俺の若い頃なんても〜恥ずかしくてねえ?」


ハク、セン、タン、マク、ホウ。五人はまだ十代半ばの未来ある若者。

彼等の日々成長する姿をマレは微笑ましく見守る。






 ローレライ旅商隊はマレの家に三泊四日滞在し

仕事の話しをまとめ、パン、炭焼きの製法を学び、この日の朝、狼人族の集落にて塩と陶器、陶磁器の入った葛籠を荷馬車に積み込む。


「ローレライさん、こちら、食べてください。」


族長ハマから贈られる干物にベレー帽頭を何度も下げるローレライ。



この日午前、旅商隊の荷馬車二台が旅立った。

マレとニケ達、狼人族が手を振り見送る。



 


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