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チートな飼い猫のおかげで楽々レベルアップ。さらに獣人にして、いちゃらぶします。  作者: 森田季節
獣人ミーシャとのいちゃらぶ同居生活編

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132話 やたらと褒められた

「この……魔法石のお値段は……」

 レナだけでなく、俺もミーシャも息を呑んだ。ヴェラドンナだけどうでもよさそうだった。

「あくまで、私の下した評価額ですが、三億ゲインはあるかと……」

 日本円換算だと、たしか0を一個増やせばいいはずだから……三十億円か……。


 俺の中では想像よりも大きな額だった。ただ、レナの反応がない。もしかして、もっと上の数字を予想していてがっかりしたのだろうか。


「レナ、どうだった……?」

 横目でレナの顔を見た。それに合わせて、レナも引きつった顔をゆっくりとこちらに向けてきた。

「だ、旦那……私の中の記録を、いきなり三十倍以上超えてきました……」


 ああ、すごすぎて固まってしまったんだな。

「よかったな。記録更新ができて」

「そうなんですけど、私の前半生が否定された気もして、複雑ですね……」


「もし、私たちの冒険の目的がお金集めだったら、この魔法石を売り払っておしまいになってたところね」

 四人で割っても一人七億五千万だからな。日本でサラリーマンしてたら、その生涯年収には絶対に達してない。

「あの……当ギルドではすぐに三億ゲインは用意できないのですが、よろしいでしょうか……?」

「ああ、売らないんで大丈夫ですぜ」

 レナも記念にほしいんだろうな。金に困ってるわけでもないし。


「山の解放は確認をとることが難しいのですけど、その魔法石がすべての証拠ということでよいかと思います。とてつもないモンスターを倒さないとそんなものは手に入らないはずですので」

 そう言われて、山の解放というクエストをクリアしたということで、三千万ゲインの小切手を渡された。三億円相当か。


 普通の依頼ならこれでおしまいなのだが、内容が内容なのでこれに収まらなかった。

 今度は禿げ頭で黒いヒゲの人がやってきた。その後ろにもぞろぞろと年をとった人が並んでいる。

「Sランク冒険者パーティーの方々、本当にありがとうございました! 私はミエントの町長です!」

 なるほど。町長がわざわざお礼を言いに来るような案件なんだな……。


「そんな大事を成し遂げた感覚ないけどね。成し遂げたと言えば、寒いところで頑張ったことぐらいかしら」

 それがミーシャの本音なんだろう。いつもより、何かをすごく頑張ったって感じもなかったし。だけど、町から見れば、やっぱり大英雄ってことになるんだろうな。


「これで町は救われます。山野草を収穫することもできます。ぜひとも、皆さんを祝うパレードを開かせてください!」

 町長が頭以上に瞳をきらめかせて言った。

「いえ……俺たちはそういうのはちょっと……」

 ほかの面子を見たけど、ミーシャもレナも嫌そうだ。ヴェラドンナは顔からは判断できない。


「馬に乗ってのものなので、皆さんは座ってくださっているだけでけっこうですので!」

「いえ、でも、恥ずかしいので、そういうのは辞退しときます……」

 町を救えたのはうれしいけど、何かしてもらうのは気が引ける。


「そうですか……。では、記念に銅像を作らせていただきたいのですが!」

「それはもっとやめてほしいですね……」

 Sランク冒険者になった時も祝福はされたけど、今回の場合、英雄という部分が強いので、どうも落ち着かない。

「あの……銅像など作るとなると、お金もかかりますよね。もっと町の役に立つことに使ったほうがいいですよ。こちらも名誉のためにやったことではないですし。冒険者がモンスターを倒したり、ギルドの依頼をこなすのは職務上自然なことです」


「さすが、Sランクの方々、なんと謙虚なことか」「ミエントにいる冒険者とは一味も二味も違いますな」

 町政の関係者らしき人もやたらと褒めてくる。これはダンジョンをひたすら潜るほうが気楽でいいかもしれないな……。


「わかりました。派手になることは控えましょう」

 ようやくわかってもらえたか。

「それでは、せめて町史に残るように記録させてください。これは町のために必要なことですので!」

 これ以上、拒否するのは難しいな。このへんでOKを出さないとサービス精神がないと愚痴でも記録されそうだ。

「わかりました。ミエント山を解放したことをお話しいたしましょう……」


 そのあと、三十分ほどにわたって、山での冒険について、かなり細かく説明した。歩いていった道が今、どんなふうだったとか、どれぐらいの数のモンスターをどんなふうに倒したかとかいったことも、ほぼ省かずにしゃべった。


 何も漏らさずにしゃべろうと思ったというより、それぐらい細かく質問を受けたのだ。町史というと、町の公式の記録だから、手を抜きたくないんだろうか。

 冒険の時間自体が短かったのでよかったけど、数日がかりの攻略だったら、何時間もしゃべらされただろうな。ただでさえヴェラドンナはほぼしゃべらないし、ミーシャもしゃべるの面倒くさそうだから、ほとんど貧乏くじで俺がしゃべることになった。


「ありがとうございました! ミエント山が解放されたことと合わせて町に広く周知させていただきます!」

「まあ、ほどほどにどうぞ……」


 これ、どうせ、実物より十倍ぐらいは偉大な人物として誇張されていくんだろうな……。

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