瑞樹との出会い3
〈所長室〉
「研究施設に多額の寄付をして下さっている社長の息子さんが、危篤状態らしい」
大きな椅子に座っている老人が口を開く。
「あちらとしては、黄色の【力】を使って欲しいとの事だ」
「しかし、うちの研究所に居る黄色の三番は一度【力】を使って、かなり消耗しています」
呼び出された研究員は慌てて止める。
「もともと死ぬ予定だったんだ。もう一人に力を使って死んでも、変わらないさ」
「……しかし――」
「これは決定だ。議論の余地はない」
老人はそう言い終えると、椅子から立ち上がり、研究員に背中を向けた。
〈広場〉
ピンポンパンポーン。
広場に館内放送の鐘が鳴った。
「黄色の三番。至急、手術室に来なさい。繰り返します。――」
手術室? どうしてそんな所に……。
「瑞樹……」
隣に座っていた瑞樹が静かに立ち上がる。
「にーさん、ちょっと行って来るね。大丈夫、すぐ戻るから」
瑞樹は笑顔でそう言うと、足早に研究棟に向かって行った。
すごく嫌な予感がする。
もしかして、また【力】を使わせられるんじゃ……。
そう思うと、いてもたっても居られず、僕も研究棟に向かって走り出した。
〈手術室前〉
「何故ここに居る? 立ち入り禁止だぞ」
手術室まで来ると、ガードマンが入口を固めていた。
見た事無い人達だ。
偉い人のボディーガードに似ている。
「この中に、瑞樹が居るはずなんだ! 通してくれ! もう一度【力】を使ったら! 瑞樹は……瑞樹は!」
泣きながら訴えるが、ガードマンに阻まれ近づく事すら出来ない。
「瑞樹! みずきぃぃぃ!」
手術室の前で暴れていると、中から研究員とストレッチャーに乗せられた瑞樹が出てきた。
「くっ」
瑞樹とシーツは真っ赤に染まっていた。
研究員はもう手遅れだと確信しているのだろう、特に治療を施していない。
「まだ、まだ生きている!」
パァッと、瑞樹が白い光で包まれる。
「もう無駄だ。止めなさい」
研究員が止めに入るが、その手を振り払う。
「死なせてたまるか! 絶対に死なせない!」
全力で【力】を使う。
それでも、徐々に瑞樹から命が失われているのが感じられる。
「くそっ! くそぉ!」
叫びながら力を使う。
そんな時、いつも見ている夢を思い出した。
男の人がかざした手から生まれる温かい光。
黄色い、綺麗な光を。
プツン。
僕の中で、何かが切れた音がした。
手の中で生まれた黄色い光が辺を染め尽くす――――。
目が覚めると、周りがすごく騒がしかった。
「どうして?」
私は確か、【力】を使って死んだはず。
ふっと隣を見ると、誰かが横になっている。
「にー……さん?」
血だらけでにーさんが目を閉じている。
手を伸ばして腕を触ってみると、すごく冷たい。
「嘘・・・・・・いや・・・・・・いやぁあああああああああ」
にーさんに手をかざし、【力】を込める。
黄色い光が溢れ出るが、今にも消えそうなほど弱い。
「何をしてるんだ! やめなさい!」
研究員が慌てて止めに入る。
「いや! 離し・・・・・・ごほごほっ!」
研究員の手を振り払おうともがくと、こみ上げてきたものを吐いてしまう。
真っ赤な液体。
自分の体なんてどうなってもいい。
必死に力を込めて手をかざすが、光はだんだん薄くなっていき、瑞樹の意識とともに、消えた。




