第78話 帝都散策 ーアクセサリー屋ー(3)
ユーコの屋敷精霊という言葉に固まった私。
それから店の中をキョロキョロと見回す。綺麗にディスプレイされているアクセサリーはあるものの、屋敷精霊らしき姿は見当たらない。
「それは、ユーコの仲間な感じ?」
『私とはレベルが違う! 同じにするな!』
私の言葉にユーコがプリプリと怒る。
そう言われても、その屋敷精霊の姿がどんなのかわからないから、何とも言いようがない。
『まったく! こら! さっさと出てこいっ!』
「いやいや、そんな強く言ったら、出てこれないじゃん」
私が宙に浮かんでいるユーコを宥めていると、ふと視線を感じて目を向ける。
「あっ」
ルーカスさん、タンドルフさん、そして店主のメリーアンさんが不安そうな顔で見ていた。
「だ、大丈夫です?」
心配そうに声をかけてきたのはルーカスさん。
「雅は大丈夫だ」
「ちょっと、うちの座敷童としゃべってただけだし」
「は?」
「ザシキワラシ?」
「あ、えーと、そのー」
マーコとニーコの言葉に、ルーカスさんたちの頭にクエスチョンマークが浮かびまくっている感じだ。『座敷童』の意味がわからないんだろう。
私はそんな二人にどう説明したものか、と戸惑っていると。
「ああ、お嬢さんは精霊が見えるのね!」
「えっ」
メリーアンさんが両手をパチンと合わせて、嬉しそうに言ってきた。
「精霊!?」
「え、メリーアンさんは精霊が見えるんですか?」
「見えない、見えない」
ルーカスさんたちが驚いて聞くと、メリーアンさんはコロコロと笑いながら否定する。
「見えませんけど、うちにいる子は何故か、存在感がわかるんです」
そう言うメリーアンさんは、少し恥ずかしそう。
『ほほ~、それだけここの屋敷精霊に好かれているってことだろうな』
「なるほどね……うちの座敷童のユーコが言うには、メリーアンさんは屋敷精霊に好かれてるって」
「まぁ! そうなら、凄く嬉しいわ!」
『ワタシモウレシイ!』
「えっ!?」
私の耳に、甲高い子供の声が聞こえた。
『メリーアン! ウレシイ!』
クリーム色に光る玉が一つ、メリーアンさんの周りを飛び回っているのに気が付いた。先程までいなかったのに、メリーアンさんの言葉に反応して出てきたのか。
「おお~、もしかして、アレ?」
それに気づいているのは私とマーコ、ニーコ、それにユーコだけ。
ユーコに聞くと、不機嫌そうに頷く。この小さい子と仲間扱いされるのは、ユーコとしては不本意なようだ。
私がジッと光を見つめると、ぼんやりと小人のような姿が見えてきた。ノースリーブのワンピースを着てる女の子のようだ。
「え、何、何?」
「メリーアンさん、あたなの周りを小さい光が飛んでて、嬉しいって言ってます」
「そうなのね!」
見えないなりに、手を伸ばすメリーアンさん。彼女の手のひらに、屋敷精霊が乗って座り込んだ。嬉しそうな顔をしているような気がする。
「……ウフフ。実はね、うちのアクセサリーって、ちょっとだけ幸運があるって言うので人気なの。きっと、この子のお陰かもね」
メリーアンさんが、嬉しそうに言う。




