第75話 帝都散策 ーおでかけスタイルー
私はマーコとニーコ、ユーコ、それに聖騎士さん二人を連れて、帝都の街の中を歩いている。
格好は、マーコが祖母の若い頃のワンピースを使ってリメイクしてくれたチュニック。ベージュの生地にシンプルなレースが縫われていて、甘すぎない感じ。下は私のジーンズを、少し丈を短くしたもの。ちょっと幅が太目な感じだ。
――前の私だったら着なかったけど。
どうにもグレーや黒など暗めの地味な格好が多かったので、マーコが作ってくれた服は、少しばかり気恥ずかしい。
でも、マーコに、
「せっかく私が作ったのよ!」
と言われてしまえば、着ないわけにもいかず。
着てみれば、ニーコとユーコにも、似合う、似合うと言われて、その気になっている。
髪型までマーコはこだわり、いつもならゴムでまとめて一本にするだけなのに、髪を二つに分けて三つ編みにしてくれた。三つ編みなんて、高校生以来だ。
背中には小さめな革のリュックを背負っている。これは、ニーコのスキル、『魔道具作成』で作ってくれた特製のマジックバッグだ。この中に、私が作ったアクセサリー類がたくさん入っている。
帝都の大通りは人も多いので、私はマーコとニーコと手を繋ぎながら通りの端を歩く。
「……なんか、視線を感じるんだけど」
チラチラと見られているのが気になってしまう。
マーコとニーコは、いつも着ているお揃いのオーバーオール。袴姿よりはマシだとは思うのだけど。
ユーコはいつもと変わらず着物姿。彼女の姿は誰にも見られてないから、関係ない。
それとも、後ろを歩く聖騎士さんたちが目立っているのだろうか。
チラリと後ろへと目を向ける。
今日の警護で入っていた聖騎士さんは、ルーカスさんとランドルフさん。二人ともきっちり聖騎士の制服を着ていて、カッコいい。
ルーカスさんは、帝都まで一緒に来た聖騎士さんで、まだ十八才なのだとか。マーコが差し入れすると、たくさん食べてくれる人だ。
移動中も集団の中でも賑やかな人で、最年少だったせいか、周囲に可愛がられていた印象がある。
でも、今は真面目な顔で私の後をついてきている。
もう一人の聖騎士さんは、ランドルフさん。二十五才と聞いて驚いた。なんというか、貫禄があるというか。威圧感があるというか。
私の中の二十五才は、もっとお子様なイメージがあったので。たぶん、私の職場にいたランドルフさんと同い年の同僚と比べてしまうからかもしれない。
そのおかげなのか、混んでいる通りのわりにスムーズに進めている。
私の視線に気付いたのか、ルーカスさんと目が合うとニッと笑ったので、私もニッと笑い返す。
「雅、あれ、あそこがアクセサリー屋さんじゃない?」
「ん、どこ?」
「ほら、あそこ、あそこ」
マーコが指さす先にあるお店は、『アクセサリー屋』といういよりも『宝飾店』というのが正しいような、ご立派な店構えだった。
「……え、あそこ?」
私は一瞬、たじろいでしまう。
「どうかしましたか」
声をかけてきたのは、ランドルフさん。
「いや、あの、マーコがアクセサリー屋さんって言ってるお店って、ちょっと高そうだなと」
「ああ、『マカーリオ宝飾店』ですか。あちらは、貴族がよく利用する店ですね。愛し……んんっ、ミ、ミヤビ様は宝石をお求めで?」
慌てて言い直す、ランドルフさん。
帝都に入る前に、さすがに街の中の、それも人の多い場所で『愛し子』なんて呼ばれたら、パニックが起きそうなので、名前で呼んでくださいとお願いしていたのだ。
「あ、いえ。私が作った物が売れないかなぁ、と思って」
私は、背中に背負っている革のリュックを叩いてみせた。




