第74話 お料理と手作りアクセサリー
家に籠っている間、私は最初、料理を作りまくっていた。
角煮も大量に作ったけれど、野菜の煮物とか、ミニハンバーグとかポテトサラダとかも作った。
一番たくさん作ったのはおにぎりだ。中の具は、梅干し、海苔の佃煮、青菜、ツナマヨ、肉みそ。
聖騎士さんたちへの差し入れでは、ツナマヨが一番人気だったこともあって、一度、ストックしてたツナ缶がなくなって、ユーコがいるから在庫の補充は大丈夫なのはわかってたはずなのに、一瞬焦った。
その作った料理は全て、マーコとニーコの収納に入っている。移動中にマーコたちが狩ってきてくれた肉はすでに在庫はない模様。庭で育てている野菜は、まだ収穫できない。
気が付けば、家にあるプラスチック製の保存容器は使い切ってしまっていた。
次に始めたのが、アクセサリー作り。
ブレスレットや、ネックレス、指輪。それにブローチにストラップ。
自分が使うってわけではないけれど、なんか色々作りたくなってしまったのだ。これまた気が付けば、テーブルの上に出来上がったアクセサリーで山盛りになっていた。
それを見たら、アクセサリー作りの熱が一気に冷めてしまった。単純だ。
そして、次は何をしようかと、ぼーっと考えた。
テレビやインターネットが使える環境だったら、もっといくらでも家に閉じこもっていられたと思う。しかし、実際にはないので仕方がない。
「マーコ、ニーコ」
「なーにー」
「んー」
日向ぼっこで寝ていた二人に声をかける。私に返事をしながら、んー、と背伸びをした
二人が、私にそろって顔を向ける。
うむ、可愛い。
「ちょっと、帝都に行ってみようかと思うんだけど」
「ほー」
「ほほー」
二人が興味津々な顔で見てくる。
「いや、さすがに暇だからさ」
「暇?」
「なんか、ずっとやってなかった?」
「やってたけど、なんか飽きた」
「飽きたって」
「あはは……あれだけ作れば、飽きるかー」
ニーコがテーブルの上のアクセサリーを見て笑った。
「ねぇ、あれ、売るの?」
マーコがトコトコとテーブルに近づいて、ブレスレットを手に取る。
彼女が手にしたのは、小さめな黒い天然石で作ったものだ。次に白いビーズや青いビーズで作ったものにも手を伸ばし、自分の腕につけるマーコ。
「売れたら嬉しいんだけど」
「ううん。この黒いの、その辺の店で売っちゃダメだね」
「え」
「これ、石の力も強いから、神殿とかに買い取ってもらったほうがいい」
「いやいやいや。買い取るって」
「でも、これ、かなり強い『浄化』の効果があるぞ」
マーコの言葉に思わずギョッとする。
スキル『アクセサリー細工』のおかげで、だいぶ上手に作れるようになってはいる。マーコたちへプレゼントしたブレスレットにも、それなりの効果がついてはいたのを思いだす。
「え、マジで」
「マジで」
「マジで、マジでー」
『雅、聖女にでも見てもらえばいい』
「うっ」
三人の言葉に、なんか大事になりそうな気がして、天然石で作ったブレスレットは慌ててしまい込む。
これで残りは三分の二くらい。
「残った、こっちのは?」
ビーズで作った細いブレスレットとかを手にしてみる。赤やオレンジといった、お子様受けしそうな色合いだ。
三人の言葉にちょっと自信を持った私は、売ってみるのもいいかな、とか思うようになっていた。
「んー」
「まぁ、いいんじゃない? (効果は薄めだけど、それなりに力はありそうだわね)」
「ユーコは?」
『いいのではないか。念のため、表の連中も一緒についていかせればよかろう』
「聖騎士さんたちを? 私の外出に付き合わせるのは」
『何を言う。私も一緒に行くと、家は消えるぞ? そこに、あやつらだけ残していくのか?』
「あ、そうか」
何もいないところに立っている聖騎士さんたち。シュールだ。
私は出かける準備を終えると、家の前で警備をしている聖騎士さんたちに声をかけに行くのであった。




