第73話 我が家はやっぱり快適です
イダ神殿から出て三日が経った。
その間、私たちはずーっと我が家から出なかった。
やっぱり、家で寝る方が安心してぐっすり眠れる。睡眠、大事。自分でもかなり疲れていたんだと思う。ただひたすら、のんびり過ごした。
のんびりといっても、普通に洗濯や掃除、お料理をしたりと、移動中にはできなかったことをしていただけだ。
今のところ、どこかに急いで移動するわけではないけれど、作り置きをしておこうと思い立つ。
――今日は時間もあるし、角煮でも作ろうかな。
帝都までの移動中にマーコたちが狩ってきた魔物肉。ほとんどはマーコたちが預かってくれているけれど、いくつかは冷蔵庫に入れてあったりする。
これは作れ、ということだ。
そのマーコやニーコ、ついでにユーコだが、彼らものんびりしたもので、日当たりのいいところで三人揃ってお昼寝をしている。その姿にほのぼのする。
仏壇に供え物をした後、スッと窓の障子を少しだけ開ける。玄関の門の前で、警備している聖騎士さん二人の姿が見える。
彼らを置くことが、帝都の外であるここに家を置かせてもらうことの条件の一つだったのだ。
一日に昼、夜の二交代らしい。今は朝のシフトの聖騎士さんたちが立っている。
実際のところ、ユーコの結界があるから警備の必要性はないと思うのだけれど、ちゃんと神殿と関係のある場所である、という主張をしておきたいようだ。
外から家を見えなくすることはできるけれど、それだと警備する聖騎士さんが何もないところに立っているように見えてしまうので、家が見えるようにしてある。
今回、警備に立ってくれることになったのは、私たちを迎えにきてくれたアレクシスさんたちの所属する第二聖騎士団の方々だそう。
あの無駄にキラキラしたイケメンは第一聖騎士団で、外での警備はやらないのだとか。
ああいうのに、警備とかされたら、家にいても落ち着かないから、ほどよくイケメンな第二聖騎士団の方々のほうがホッとする。
台所に移動し、冷蔵庫の中を覗いていると。
「雅~」
むにゃむにゃ言いながら私の足に抱きついてきたのはマーコ。
「起きたの? ニーコは?」
「まだ寝てる~」
「マーコ、起きたばっかりのところ悪いんだけど、お茶とおにぎり用意するから、家の前の騎士さんに差し入れしてきてくれる?」
「むー。あいつらも、頑張ってるからな」
ふあーと大きくあくびをするマーコ。
私は冷蔵庫にしまってあったおにぎり四つをレンジで温めている間に、マグカップにお茶をいれる。さすがに湯呑で熱いお茶は厳しかろう。
温めたおにぎりとお茶を丸いお盆に載せたのをマーコに持たせて、持って行ってもらい、その間に、角煮を作り始めた。
「ただいまー」
「ん、おかえり~」
くつくつと塊肉を煮込んでいるところにマーコが戻ってきた。
お盆の上は空になったマグカップだけ。綺麗に飲んでくれたらしい。
「ごちそうさまだってー」
「そう」
「何作ってるの?」
「前にマーコたちが狩ってきた魔物のお肉で、角煮を作ろうかと」
「角煮!? やった! かっくにっ、かっくにっ」
マーコが嬉しそうに踊りだして、凄く可愛くて、私もニヘラッとなってしまった。




