第67話 イダ神殿に行く
背が高かった頃とは違い、いわゆる女性の平均身長より若干低めになっている私なのに、まさか男と思われるとは。
『その格好じゃ仕方ないんじゃない?』
「そ、そうなの?」
『マーコに乗るからジーパンなのは仕方ないけど、こっちじゃ基本的に女性はスカートみたいだからねぇ』
「ハッ!」
そういえばと、周りを見回すと、道沿いにいる女性たちは皆スカートをはいている。
私はといえばジーパン姿。もしかして、村や街でも男と思われていたんだろうか。
再び村や街に戻ることはないだろうから、そう思われてても何の問題もないけれど、そこは少なからず、女性としてのプライドが傷つくわけで。
「え、でも、騎士の女性は」
『みんな髪は長かったし、胸も、ねぇ?』
見るからに私のツルペタな胸元を見て言う。
ユーコが酷い。
「クッ、悔しいけど、それもまた事実かっ」
『まぁ、聖騎士たちやヘルカはわかってるんだからいいじゃん』
「そ、そうだけど」
そんな話をしているうちに、徐々に沿道の人々の数が増えていき、歓声もどんどん大きくなっていく。
まさにパレードのような状態に、私の顔もより一層強張っていく。
【まもなく神殿です】
私のそばに馬を寄せてきて何やら話しかけてきたのは、エサイアスさん。アレクシスさんの部下だ。
『もうすぐ神殿だって』
「わかった」
ユーコの言葉を聞いて、私はエサイアスさんに頷いてみせると、エサイアスさんはニコッと笑って、そのまま前の方へと戻っていった。
――まぁ、アレだよねぇ。
わざわざ教えてもらわなくても、私たちの進む先の真正面に、神殿の先に巨大な建物が見えている。まるでサグラダファミリアみたいだな、と思った。行ったことはないけれど、テレビの特番とかで見たことはある。
今まで通った村や街には神殿はなく、教会のみ。
アルタン帝国の隣のモブル王国の中でも、比較的大きかったレザマの街の教会もここまで大きいことはなかったので、思わずあんぐりと口を開けてしまう。
ちなみに、私たちが向かう方向とは右に90度違うところには、某テーマパークにある城のような建物が建っている。こっちは、いわゆる王城だろう。
とりあえず、今まで見てきた村や街とは違うというのは明白。
――とんでもないところに来ちゃったなぁ。
ゴクリと喉を鳴らしながら、目の前の神殿の門をくぐる。
正面の建物の大きな扉(5メートルくらいありそう)は、数段階段を上ったところにある。
その前に三人の人が立っているのが見えた。
とても小柄で穏やかな表情の老女と、キラキラした鎧を着た立派な体躯の偉そうな初老の騎士、そして、騎士と同世代くらいの白いローブを着た男性。
『……あれが、この神殿の聖女のようだの』
ユーコの言葉に目を瞠る。
――確かに、あんな高齢の女性を遠征に行かせるのは無理だよね。
少しだけ、偉そうな聖女をイメージをしていただけに、予想が外れた感じではある。




